日産 電気自動車 e-NV200 新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
移動コストと環境負荷を大幅に低く抑えられる商用EV
車両重量は1,660kgだから、1.6リッターエンジンを積んだベース車の「NV200バネット 16X-3R」に比べて310kg重い。リーフ Xとの比較でも、220kgの増加になる。e-NV200はリチウムイオン電池をコンパクト化して床下に搭載するが、これに伴って足まわりの強化なども行ったからボディが重くなっている。
加えてリーフに比べると背が高く、空気の抵抗も増える。そのために交流電力消費量は、JC08モード走行においてリーフが「114kWh」、e-NV200は「142kWh」だ。
1回の充電によって走れる距離は、リーフは「228km」でe-NV200は「185km」とリーフよりやや短い。だが、リーフが2010年12月に発売された時点で1回の充電で走れる距離は「200km」とされていたので、e-NV200は初期型のリーフに近い性能と考えれば良いだろう。
ボディは前述のようにNV200バネットがベースだが、外観はリーフの手法も取り入れて変更を受けている。ボリューム感の強い造形に仕上げた。
ボディサイズは、全長が4,560mm、全幅は1,755mm、全高は1,850mmになり、ベースのNV200バネットに比べると、160mm長く60mm幅広い。ホイールベースは2,725mmだから等しい。全幅が1,755mmまで拡大されると、取りまわし性に影響を与えそうだが、ホイールベースが変わらないこともあって最小回転半径は5.2mを維持した。
e-NV200で注目されるのは、100V/1500Wの電源コンセントを設けたことだ。
エスティマハイブリッドやアウトランダーPHEVなどにも用意されているから珍しい装備ではないが、容量の大きな駆動用電池を備えたクルマならではのメリットになる。
特に商用車やミニバンでは、屋外で作業をしたりレジャーを楽しむ機会も多い。100V/1,500Wの電力を供給できれば便利だろう。電子レンジなども使えるから、災害時にも効果を発揮する。車両価格は、最も安いバンVXの2人乗りとルートバンが388万440円。ワゴンのGは2列シートの5人乗りが462万4,560円、3列シートの7人乗りが478万6,560円になる。
本稿を執筆している時点で、経済産業省による補助金額の詳細は未定だが、最大で85万円の補助金が交付される模様だ。ちなみにリーフの主力グレードとなるXは、車両価格が329万2,920円で、補助金額は53万円。これを差し引くと約276万円だ。e-NV200ワゴンG(7人乗り)の車両価格は478万6,560円だから、仮に85万円の交付を受けたとすれば約393万円。
補助金額を加味した実質的な価格で、e-NV200ワゴンG(7人乗り)は、リーフXよりも120万円ほど高い。既存のミニバンと比べると、ヴェルファイア&アルファードのハイブリッドXが、406万2,857円で設定されている。
率直にいってe-NV200の価格は少し高めの印象だが、目下のところ究極的なエコカーといえるかも知れない。3列シートのワゴンであれば7名乗車も可能。EVに多人数で乗車して移動すれば、1名当たりの移動コストと環境負荷を、大幅に低く抑えられるからだ。
日産電気自動車e-NV200(G・7人乗り)主要諸元
全長×全幅×全高:4,560x1,755x1,855mm/ホイールベース:2,725mm/車両重量:1,660kg/乗車定員:7人/駆動方式:FF/最小回転半径:5.2m/バッテリー:リチウムイオン電池/総電圧:360V/総電力量:24.0kWh/原動機:EM57/定格出力:70kW/最高出力:80kW(109ps)/3,008~10,000rpm/最大トルク:254Nm(25.9kgf・m)/0~3008rpm/交流電力量消費率:142Wh/km/一充電走行距離:190km
日産電気自動車e-NV200グレードと価格
【VX】
ルートバン:3,880,440円/2人乗り:3,880,440円/5人乗り:3,991,680円
【GX】
ルートバン:3,978,720円/2人乗り:3,978,720円/5人乗り:4,078,080円
【G】
5人乗り:4,624,560円/7人乗り:4,786,560円
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