日産 ノートe-POWERはライバルのアクア/フィットに勝ち日産国内販売を救えるか(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:オートックワン編集部
『ノート』のイメチェンが日本市場復活への最短路
では、なぜ日産は『ノート』を『e-POWER』第一弾に選んだのか?そして、本稿の主題にあるように、『ノート e-POWER』は日産の国内販売を救えるのか?その答えは、統計値によって一目瞭然である。
日産の2016年4~9月期の販売実績は、世界累計で263万3615台で、前年同期比で1.7%の微増だ。そのうち、日本市場は北米(105万台)、中国(63万台)、欧州(36万台)に次いで21万台。日産にとっては、日本は世界市場全体の7%に過ぎない『小さな市場』だ。
その日本市場での販売の不調が続いている。上記の21万台は前年同期比では20.2%減という大きな落ち込み。今年5月に発覚した三菱自動車の燃費不正問題で、同社からOEM供給を受けていた『デイズ』と『デイズルークス』の生産が一時的に停止した影響が大きい。
軽自動車のみでは、前年同期比で47.5%減という衝撃的な結果だった。だが、販売の落ち込みの影響は、『発注先が犯した燃費不正』という不可抗力だけに止まらない。
軽自動車だけではなく、登録車と呼ばれる分野にも及んでおり、乗用車で7.7%減、商用車で1.5%減と苦戦しているのだ。
このような市場環境を踏まえて、別の資料を参照してみよう。
『e-Power』の使命は新たなるブランド戦略の一環でもある
2015年に販売された日産車のセグメント構成を見ると、軽が全体の27%で最も大きく、次いでコンパクトカーが17%、さらに商用車が16%と続く。
一方で、同年に販売された日産車をモデル別で見ると、トップが17%の『ノート』、2番手が『デイズルークス』と『エクストレイル』の2車がそれぞれ11%で追う展開だ。
こうした各種の値を並べてみると、日産が日本国内販売を立て直すためには、『ノート』の販売を押し上げることが最も効率的な近道であると分かる。
ということで、『ノート』がライバルたちに劣っていた、電動パワートレインは、新たなる次世代車の技術であると同時に、新たなるブランド戦略の一環である必然があったのだ。それが、『e-POWER』の使命なのだ。
なお、日産は今回、一部改良を加えて『ノート』で3モデル投入される『e-POWER』が、『ノート』全体の約6割を占めると予測している。
[Text:桃田健史]
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