日産 ムラーノ海外試乗レポート(2/2)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:日産自動車株式会社
V6 3.5L×エクストロニックCVTの新たな走りは優秀なり
生産が行われる日本から、はるばるポルトガルの地まで運ばれたテスト車はFWD仕様。
現在アメリカで販売中のムラーノの場合、メインとなるのは4WD仕様であるものの、「あの個性的なルックスにこそ惹かれて購入をする」というのであれば、より安価で身近なこちらを選択する手も当然アリだろう。
CVTのモードセレクターでDレンジを選び、クリーピングの状態から軽くアクセルペダルに力を加える。と、その段階で飛び出すように加速が始まるのは、「そうしたシンプルな味付けが好みの人が多い」というアメリカ仕様ゆえか?日本販売の折にはこのあたりはもう少しスムーズにして欲しいもの。でないと、町中での緩加速や車庫入れといったシーンで、いささか扱い辛い事になってしまいそうだからだ。
ひとたび走り出してしまえば、ゆとりあるトルクを発する3.5Lエンジンを、なるべく低回転で使うべくCVTが巧みにコントロール。それゆえ静粛性にも優れ、燃費も意外に良さそう。大外径のオールシーズン・タイヤは路面への当たり感がやや粗いが、サスペンション・ストローク自体は滑らかかつしなやかなので、快適性は上級サルーン同様だ。
初代のインパクトより若干の薄れはあるが、世界に通ずる独創的なSUVには間違いない
率直なところ全長約4.8m、全幅およそ1.9mというその寸法は、やはり日本の街中に合ったサイズとは言いがたい。けれど、各エッジ部分を丸めたデザインのこのモデルの場合、全体的には実際のサイズよりもやや小さく見える。すなわち、前述のようなサイズの持ち主であるからこそ、数あるSUVの中に置いても埋没する事のない、独自の存在感をアピール出来ているのもまた事実だろう。
前述のようにリアビューのインパクトがむしろ初代モデルよりも小さくなったように感じるのは、既に先代のデビュー以降5年以上の時が経って目が慣れたため、ということもありそうだ。
インテリアのデザインも相変わらず斬新さを狙っているものの、こちらも個性的なバイザーレスを改めバイザー付きとなったメーターのデザインなどを含め、インパクト的には初代モデルのデビュー時には及ばないと感じられるものだが。そうは言っても、新型ムラーノのスタイリングの個性と存在感はやはり圧倒的。日本でのデビューが待ち遠しくなる、世界に誇れる独創のSUVだ。
この記事にコメントする