上海で“春のEV祭り”!? 中国が進める日本では想定外の技術開発計画(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:VW AG/Audi AG
上海モーターショーは「EV祭り」
あっちも、こっちも、EVだらけ。
さながら“EV(電気自動車)祭り”の様相を呈している、第17回上海国際汽車工業展示会(オート上海:通称で上海モーターショー)。中国最大級のモーターショーとして、4月24日からの一般公開の前に、19日から報道陣向けに取材が許された。
海外メーカーでは中国での最大シェアを持つVWグループが、VWとアウディそれぞれのブランドから、クーペスタイルやSUVのEVコンセプトを発表した。また、中国メーカーの吉利汽車(ジーリー)の親会社である浙江吉利控股集団の傘下にある、スウェーデンのボルボが2019年から中国でEVの量産を始めることを明らかにした。
この他、第一汽車、東風汽車、上海汽車、北京汽車、広州汽車などの大手を筆頭に、中国地場メーカーからも量産型EVが続々登場している。
中国ではここ数年、EVやプラグインハイブリッド車など電動化を促進する流れがあったが、今回のオート上海2017ではそうした動きが加速しているようにみえる。
それにしてもいまナゼ、中国でEVなのか? その背景には、中国政府による次世代車開発計画の大幅な見直し策がある。
日本では想定外のモデルを、中国では「つなぎ役」として投入
中国政府は2016年10月、2030年までの次世代自動車の開発ロードマップを公開した。それは、驚きの内容だった。
開発計画の期間でみると、2016年~2020年はEVとプラグインハイブリッド車をこれまでのペースで普及を目指す。そして、2020年以降もEVとプラグインハイブリッド車を継続しつつ、燃料電池車へとシフトを加速させる。こうしたEVから燃料電池車への転換期となる2016年~2020年には、「つなぎ役」として「プラグインハイブリッド燃料電池車」の量産を促進するというのだ。これは、ある程度大きな容量のリチウムイオン二次電池を搭載し、外部からの充電が可能な燃料電池車を意味する。
こうした中国独自の燃料電池車開発について、日本メーカーの技術者に話を聞くと、「日本では想定外の技術だ」「かえってコストが上がってしまい量産には不向き」というネガティブな反応がある一方で、「瓢箪(ひょうたん)から駒で、ありかもしれない」「我々は中国の施策に追従することが義務のような状況なので、結局、我々も開発するしかない」といった声もある。
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