日産 新型リーフで1000キロ走破! 世界で最も売れたEVの2代目、その完成度を徹底評価する(3/4)

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新型リーフにはまだまだ未知なるポテンシャルが秘められていた!

しかしながら今回の御殿場の試乗会では、まだ知らぬ未知の領域での新型リーフの走りのポテンシャルの高さに驚愕することになったのだった。

実は今回の試乗会は、御殿場にあるレーシングカート場で開催された。御殿場周辺で公道試乗をする一方で、カートコースを使ってeペダルのワンペダルドライブを試すという特設コースが用意された。おそらく読者のみなさんの中には、先ほどのeペダルについての印象を読んで、本当にそんなに使えるものなのか?という疑問を抱く人も多いだろう。が、この特設コースでは、驚きの実力を見せてくれたのだった。

日産の方にはあくまでもスムーズに走ってくださいと言われたものの、コースを下見するとパイロンでシケインが作られていたり、あきらかにここがアクセルオフでeペダルの減速開始ポイントという作りだとわかる。ならばいかにここを速く走れるかも興味があるところ。僕が試乗した時はタイム計測もなぜかできたので、どこまでいけるか試してみたわけだ。

まずはコースのレイアウトを考えて、新型リーフのeペダルの効き具合を試しつつ、最速で走れるかを考える。そうして走ってみたら、2人乗車で58秒台で走れたわけだが、これはこのコースをカートで走る(どんなカートかは聞かなかったが)よりも速いタイムだと、施設の方は言う。

しかしながら僕はアクセル操作だけで、いわゆるフットブレーキは使わずに走っているわけで、いかにeペダルが操作次第で加減速できるかが分かる。eペダルの効き具合さえ把握できれば、実に痛快なレベルまでコースを攻められるほどeペダルは使えるのだ。

しかも!  驚愕なのは、このカートコースでeペダルで走りながらもシャシーの限界領域まで性能を引き出せたことで、これもいかにeペダルが使えるかの証。そしてこれと同時に、実に高次元なシャシーコントロールが行われている証だと感じた。

“e-Pedal”をフル活用しタイムアタック! そこから見えてきた緻密な制御システム、その全容を解明

eペダルでタイムアタック(笑)をしている際には、様々なシーンに出くわした。

例えばアクセルを床まで踏み込むほど加速した後のヘアピン。ここなどはアクセルをリリースするタイミングが遅れると、その先のヘアピンで曲がりきれない速度になってしまう。しかしリーフのハンドルを少し多めに切り込んであげることで様々な制御が働き、さらに強い減速を得ることができる。

そしてこれはこの場所でさらに速く走るためのワザにもなるわけが、リアルワールドでは急なハンドル操作をした際にも、しっかりと減速しつつ制御を入れてくれるということでもある。だからイザという時には、自分の操作以上にプラスアルファの操作もクルマの側で密かにしてくれているわけだ。

そして圧巻だったのは、シケインの通過。ここはアクセル全開から一瞬だけアクセルを戻してすぐ全開にして左右にハンドルを切るわけだが、第一操舵でリアが少しスライドする傾向にあるので車両制御安定装置が働く。これによって姿勢は安定方向に引き戻されるわけだが、一瞬にして摘んでいたブレーキをリリースしてくれて、アクセルの加速がすぐに生きてくるのである。

通常のエンジン車で同様のことを行うと、スピンしないように制御が働き、ブレーキを摘んで姿勢を安定させる一方で、エンジンは出力をダウンする方向に制御される。が、そこからブレーキがリリースされて復帰する際に、エンジン回転は落ちているためにアクセルを踏んでも加速が始まるまでのタイムラグがある。なのでこの手の制御が入ると、オットットと前のめりな感じの減速に感じてしまう。しかしリーフはそんなことは感じさせず、間髪入れずに加速に入っているのである。

これもいかにモーター駆動が、車両のダイナミクスを活かしてくれると同時に、走りの気持ち良さを痛感させる原動力になっている。

もちろん、普段使いではこうしたシーンを見ることはできないが、こうしたシーンで良いと評価できる制御は、普段使いの領域でも貢献してくれているし、いざという時の安心をも担保してくれる要素にもなるわけだ。

僕の個人WebサイトやYouTube“LOVECARS!TV!”でも、「スポーツカーじゃないのにサーキットを全開で走っても意味がない」というコメントが良く入るが、無意味どころかとても意味があると僕は思う。

なぜなら、こうしたクローズドな場所で露見する限界域のクルマの振る舞いは、一般道を走らせた時に必ず共通するものである。何が言いたいかといえば、こうした限界域で優れた動きをするクルマは、リアルワールドでも懐の深い走りを持っており、それが反映されているから高い快適性や安定性が感じられるのだ。

だからその意味においては今回、リーフのダイナミクスを知れたことは実に大きな収穫だったといえる。新型リーフはEVであることによって、通常のエンジン車では実現できない高レベルな走りを実現する1台ということ。

日産のCMではプロパイロットやその他も含めて、「いきなり新次元」と謳っているが、実はリーフはその走りにおいて、我々がこれまでのクルマでは感じなかった走りの次元を見せた。それをすれば、その走りでこそ、いきなり新次元を見せつけた1台ともいえる。

>>実際の航続可能距離は300キロ以下だが十分に“使える”電池性能[次のページ]

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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