夏だ!レジャーだ!ミニバンだ!日産 ハイウェイスター 試乗レポート(2/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
まずはキング・オブ・ミニバンこと、エルグランド250ハイウェイスターから!
1997年に投入された初代エルグランドは、広くて豪華な車内と存在感の強い外観により、高価格のLサイズミニバンながらヒット作になった。
2002年に2代目、2010年には3代目の現行型へフルモデルチェンジされている。今や伝統となった上級ミニバンだから、キーワードも「キング・オブ・ミニバン」。フロントマスクは存在感を際立たせ、遠方から見てもエルグランドだと識別できる。
最も注目されるのは、ミニバンのキモになる内装の造りだ。まずはインパネだが、ていねいに仕上げて立体感を持たせた。ATレバーやエアコンのスイッチが収まる中央部分は、適度に手前に張り出して囲まれ感を演出。着座位置は高いものの、フーガのようなLサイズセダンの運転席に座ったような気分になる。
1列目のシートはサイズを十分に確保。腰の部分を少し硬めに仕上げ、着座姿勢も安定している。ミニバンながら、スポーティな運転にも対応できる座り心地だ。
助手席にも注目。座面の下側からオットマンを持ち上げると、ふくらはぎが適度にサポートされてリラックスできる。このあたりもLサイズセダンに近い。
大開口のスライドドアから乗り込む2列目は、サイズが十分にあり、後方にスライドさせれば足元の空間も余裕タップリ。頭上も広く、まさに「特等席」で長距離ドライブを快適に楽しめる。背の高いLサイズミニバンを買う価値を、明確に表現したのがこの2列目シートだ。
試乗した250ハイウェイスターの場合、8人乗りの2列目はベンチタイプ。7人乗りはセパレートタイプになる。後者にはオットマンが装着され、バックレストの上側が折れ曲がる機能も採用した。バックレストを寝かせた上で、上側を立てると、リラックスした姿勢を取りながら前方も見やすい。
3列目も豪華な仕上がり。床と座面の間隔は少し不足するが、中央にアームレストを装着した。バックレストは簡単に前側へ倒れ、荷室の容量を拡大できる。シートアレンジにも目を向けたい。1/2列目、2/3列目をリクライニングさせて連結すれば、駐車時にゆったりと足を伸ばして休憩できる。
快適装備については、メーカーオプションの11インチ大型ワイドモニターを備えた後席エンターテイメントシステム、あるいはBose製の5.1chサラウンドサウンド付き後席プライベートシアターシステムを装着すれば、車内を文字どおりのシアターに見立ててDVDなどを楽しむことも可能だ。前述の足を伸ばしてリラックスできるシートアレンジを併用すれば、映画館で観賞するより快適かも知れない。
収納設備では、荷室後端の床下に装着されるラゲッジアンダーボックスが便利。セダンのトランクスペースのように荷物を隠せるほか、フタをはずせばゴルフバッグが縦に4個置ける。多人数で乗車できる上、さらに荷物も積みやすい。
走りはどうか。搭載される直列4気筒2500㏄エンジンは、背の高い重量級のミニバンながら、動力性能の不足を感じない。特に走行安定性と乗り心地は入念に煮詰められ、高重心のミニバンながら、腰高感を抑え込んだ。左右に振られにくいため、子供のクルマ酔いを防ぐ効果も期待できる。内外装の質だけでなく、運転感覚もフーガなどのLサイズセダンに近い仕上がりとなった。
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