日独人気ミニバンガチンコ対決!! 日産 エルグランドvsフォルクスワーゲン シャラン(2/5)

迷いに迷う、豪華なつくりのエルグランド、凝ったつくりのシャラン

室内は、従来より全高が低くなったというエルグランドだが、やはりフロア位置は高い。しかし従来のハイルーフミニバンに比べれば、段差は極力低く抑えられており、特に前席はステップ段差がないために乗降がしやすいのが強み。

一方シャランは乗用車のように段差があるのだが、ステップより10cmあまり低い位置にフロアがあるために、シートのヒップポイントも高すぎないのでワンステップで乗り込める。これはまったく苦にはならない。

インテリアデザインは、木目やシルバーの加飾を大胆に使って、パッと見でわかりやすくゴージャスに高級感を演出しているエルグランドに対し、シャランはシンプルな造形ながら質感はとても高く上品な印象。シャランはアイポイントがあまり高くないので、インパネの造りもコンソールで仕切られているなど、いたって乗用車的である。これに対し、エルグランドは従来よりもミニバンっぽさは薄れたと言う声も聞かれるが、やはり本質的にはミニバンらしいつくりがしっかりと息づいている。

両車はシフトレバーの位置が全く違う。しかしどちらも真ん中が抜けているのでサイドウォークスルーが可能だ。またシャランにも運転席と助手席の下に容量の大きいボックスがあるが、収納スペースの数や量はエルグランドが上回る。

また、エルグランドは助手席にオットマンの設定があり、独立したアームレストの有無も差異として挙げられる。ただし、誤解なきようにお伝えすると、これは良し悪しとか勝ち負けの問題ではなく、あくまで好みの問題としたい。ただ、シャランはシートの座面がとても長く、調整機構もないので、小柄な女性にはドライビングポジションが取りにくいという点と、ドアミラーの鏡の面積がやや小さい点が、ドライバーによっては少々気になる所だろう。

そして、2列目、3列目のつくりも大きく異なる。まずスライドドアについて、シャランはレバーだけでなくピラーの内張りにも開閉スイッチが付いているし、スライドドアやテールゲートが電動作動中に警報音がなるかどうかも両車の違い。

2列目について、エルグランドは7人乗りと8人乗りが選べて、7人乗りの2列目はご覧のようなオットマンの付くキャプテンシートが備わる。 さらに、オプションでリアエンターテイメントシステムを選べる。ここに座るとちょっとしたVIP気分を味わうことができる。

対するシャランは、3人分の独立したシートが並ぶ。3人分のシートが「対等」にあるところがポイントで、エルグランドだけでなく今の日本のミニバンで2列目3人掛けを選んでもこうはならない。真ん中はとりあえずシートの形をしていても、座れたもんじゃないものばかりだ。この差は非常に大きく、この使い勝手を求める人も少なくないのではと思う。

サンルーフのつくりも違って、大きく1つにつながった開口部を持ち、前側がスライドするシャランに対し、エルグランドは前後に分けて設定されている。頭上の開放感はシャランの勝ちだ。

3列目へのアクセス性については、エルグランドはごく一般的で、2列目シートが前にスライドし、その隙間から高い位置にある3列目に乗り込んでいく感じであるのに対し、シャランは驚くほど凝ったつくり。2列目シートにある肩のレバーを前方に倒すと、座面も持ち上がりながらシート全体が前に倒れつつ、前方にスライドするので、より大きな隙間ができるのだ。これはとても乗り降りしやすい機構だ。