三菱 eKスペース[e-Assist] 2015年モデル 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
ノンターボモデルはちょっと力不足
次は試乗チェックをお伝えしたい。
一部改良を受けた新型eKスペースのエンジン性能は、カタログの記載数値を見る限り、燃費向上の影響を受けていない。2014年デビュー時のモデルと同じだ。
ノーマルエンジンを積んだ標準ボディのeKスペース Gを試乗すると、平坦路では力不足をあまり感じない。しかし登坂路など、多少なりとも高い動力性能が要求される場面になると、幅広い回転域で不満を感じる。
ドライバーとしてはアクセルペダルを相応に踏み込んだつもりでも、加速力が緩慢で立ち上がりにくい。そこでさらに踏み増すと、エンジン回転が大きく上昇してノイズも増大する。
ノーマルエンジンの最高出力は49馬力(6500回転)、最大トルクは6.0kg-m(5000回転)だ。ライバル車に比べると数値が低めで、しかも発生回転数は高い。車両重量も900kgを超えるので、動力性能が辛くなった。
eKスペース用エンジンのルーツは、あの画期的な軽自動車からだった
このエンジン特性になった背景にあるのは、eKスペースに搭載される3気筒「3B20型」エンジンが、もともとは「三菱 i(アイ)」の搭載を前提に開発されたことだ。
ガソリンエンジンを積んだi(アイ)はすでに生産を終えた(電気自動車版の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」は継続販売中)が、ミッドシップレイアウトの画期的な軽自動車で、エンジンはボディの後方(荷室の下側)に45度傾けて搭載していた。そのためエンジンの上下寸法を抑える必要があり、シリンダーの内径×行程は65.4×65.4mmのスクエアタイプとしている。これが影響して高回転指向になった。
ちなみに他社の軽自動車のエンジンを見ると、内径×行程は、ダイハツが63.0×70.4mm、スズキとホンダは64.0×68.2mmで、すべて実用回転域のトルクを高めるのに有利なロングストローク型だ。3B20型は内径×行程の数値を見ても不利になっている。
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