日産、1台あたり約15kgの軽量化が可能となる超高張力鋼板を開発
日産は5日、世界で初めて自動車の車体構造部材の冷間プレスが可能な引張強度1.2GPa級の高成形性超ハイテン材(高張力鋼板)を新日本製鐵株式會社、株式会社神戸製鋼所の両社と、それぞれ共同で開発したと発表した。
今回開発した超ハイテン材を適用することにより、通常のハイテン材と同等の車体性能を保ちながら鋼板を薄くできるため、1台あたり約15kgの軽量化が可能となり、車両の燃費や走行性能を向上させることができる。
また、1台あたりの鋼板の使用重量が少なくなることに加え、この超ハイテン材は冷間プレスが可能なため量産に適しており、生産コストを含めた車両トータルでコストの上昇を抑えることができるという。
ハイテン材は強度が高くなればなるほど、伸びにくくなり成形性が低下する性質を持ち、またスポット溶接強度を確保しにくくなるという特性があるため、従来複雑な加工を伴う車体構造部材の冷間プレス用には、980MPa級ハイテン材の適用が限界とされてきた。
同社と鉄鋼メーカーは1.2GPa級超ハイテン材においても高い成形性とスポット溶接強度を確保するため、最適な成分設計と製造プロセスにより、材料の組織を極限まで微細化させる技術を確立し、従来のハイテン材のような単一組織ではない、硬質相・軟質相の最適な組織分率を持った複合組織を開発。
また、この材料開発とあわせて、スポット溶接工法の開発にも取り組み、超ハイテン材に最適な加圧力・電流・通電時間等のパラメーター設計により、新たなスポット溶接パターンを確立した。
これらの技術開発により、この超ハイテン材をさまざまな部位の車体構造部材に適用することが可能となり、車両の軽量化に大きく貢献することができるようになった。
同社は、2013年に発売する新型車からこの超ハイテン材を車体のセンターピラーレインフォース、サイドルーフレール、フロントルーフレールなどの車体構造部材に適用し、グローバルに採用を進めていく。
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