トヨタグループ、「日本のモノづくり」強化に向けた新体制を発表
トヨタ自動車(株)と子会社であるトヨタ車体(株)関東自動車工業(株)は、2012年1月に予定されている株式交換による完全子会社化について合意したと発表した。
また、関東自動車とセントラル自動車(株)トヨタ自動車東北(株)は、3社統合(2012年7月目標)に向け協議を開始することで合意した。
(1)トヨタ車体、関東自動車の「専門性強化」に向けた新たな役割
トヨタグループの車両メーカーは、これまで全世界に向けたトヨタ・レクサス車展開のために、主に個々の車両ごとの開発や生産を中心にトヨタと連携・協業するという役割を担ってきた。今後は、各社がこれまで得意としてきた車種を中心とした領域で、企画・開発・生産を一貫してそれぞれ主体的に担当していく。
今回の両社の完全子会社化は、こうした体制づくりを迅速に進めるため、グループの方向性と合致した経営判断を可能とし、経営のスピード化をはかることが重要であると考え、合意にいたったものである。
この新体制により、車両メーカーの専門性が強化され、世界のお客様のご要望によりきめ細かくスピーディな対応が可能となる。さらには、「日本のモノづくり」の一層の強化につながっていくと考えている。
また、海外向け車両の開発や生産準備支援、車両周辺事業の海外展開に向けた機能強化を進める等、グローバルな事業展開を推進し、さらなる発展を図っていく。
具体的にトヨタ車体では、以下の3つにより従来の位置付けを大きく超えた役割を担っていく。
①ミニバン、商用車、SUV(フレーム付)など、特定車種の企画・開発・生産を一貫して主体的に担当
②トヨタ海外事業拡大に対応した、海外における部品生産事業強化、車両生産事業拡大、特装・架装事業を主体的にグローバルに展開
③得意領域である、福祉車両・超小型EVを主体的にグローバルに展開
また、関東自動車は以下の2つにより、従来以上に主体的な役割を果たしていく。
①グローバルで競争力のあるコンパクト車両の企画・開発・生産を一貫して主体的に担当
②コンパクト車を中心に、海外生産車両の開発・生産の支援や部品生産事業など広範囲なサポートを拡大
(2)関東自動車、セントラル、トヨタ東北の統合協議について
「中部」「九州」に次ぎ、「東北」を「トヨタ第3の国内生産拠点」とすべく、関東自動車、セントラル、トヨタ東北が統合する方向で協議を開始する。
国内生産体制の3極化を更に強固にし、自立性を高めていくことが、日本におけるモノづくりを一層強化するとの判断に基づくとしている。
統合により、コンパクト車の企画・開発から生産に加え、ユニット部品の生産、海外事業支援業務まで含めた総合車両メーカーへの発展を目指す。
今後は、東北の強化と共に、中部はさらに「新技術・新工法などのイノベーション技術の開発拠点」として、九州は「ミディアム系やレクサス系のクルマづくりの拠点」として、それぞれの役割を強化して、ともに発展していきたいと考えている。
トヨタグループでは、今回発表の新たな体制づくりにより、本年3月に「トヨタグローバルビジョン」で発表した「お客様にお喜びいただける、笑顔になっていただけるクルマづくり」を一層推進することができると考えているという。
これらの統合に関して、トヨタ自動車の豊田章男社長は「国際社会の競争に勝つ為には、徹底したコスト削減と、明確化、簡略化した組織構成が必要。そこからグローバルビジョンを推し進めるべく、未来へ向けたイノベーションを創造することができる」と話した。
一方で統合が行われる関東自動車工業の服部社長は、「一から企画、開発、製造ができるということは、関東自動車オリジナルの新たなモビリティの提案ができるということ。より顧客に対して近い位置からご提案できると考えている」と述べた。そしてセントラル自動車の葛原社長は「子会社化および統合することは、リスクとなりうる緊急時の対応も、迅速な行動によって対処しやすくなる」とコメントした。
最後に豊田章男社長は「トヨタは、この日本で生まれ、そしてこの日本によって育てられた。結果、今ではグローバルで展開できる企業にまで成長できたが、そんな日本で育んできた我々のモノづくり精神を、そう簡単に絶やすことは出来ない。震災の影響を受けても、自分達のことは自分達で舵をとり賄っていく、そういう気概も強く持って進んで行きたい。今回の統合による新体制の話合いは、昨年から進められていたが、3.11の影響も深刻化しているという観点から、より迅速に話が進められた次第だ。」と語り、グループ力を高め、日本のモノづくりを強化する考えを示した。
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