ブリヂストンは、熱帯農業の研究を通じ小規模農家への支援を行う世界アグロフォレストリーセンター(the World Agroforestry Centre)とインドネシアで共同プロジェクトを推進することに合意し、4月29日にボゴール(ジャカルタから南に約50km)にある同センター東南アジア支部にて200万円の寄付を含む合意書を締結した。
共同プロジェクトでは、ブリヂストンの子会社が保有するスマトラ島のゴム農園を通じ、小規模農家に対してゴムの木の栽培指導を行っていく。また、将来的には安定的な地域農業の実現に向けた研究を行うことについても同センターと検討していく予定としている。
世界アグロフォレストリーセンター(正式名称:the International Centre for Research in Agroforestry (ICRAF[イクラフ]))は、CGIAR(国際農業研究協議グループ、Consultative Group on International Agricultural Researchの通称)に属する15の研究機関の一つで、本部はケニアの首都ナイロビにあり、アフリカ、東南アジア、南アメリカで熱帯農業に関する研究を通じ小規模農業の支援を行っている国際機関。
同センターは、「ジャングルラバー」と呼ばれるジャングル状態の中に生育しているゴムの木から採取された天然ゴムの効率的な生産、他の樹木や作物との適切な栽培の組合せについて研究を重ねているが、ブリヂストン・グループはこうした活動に賛同し、共同プロジェクトの推進に合意した。
1)小規模農家の経済的安定
ブリヂストン・グループはインドネシアでは、スマトラ島とカリマンタン島の2ヶ所に天然ゴム農園(敷地面積:合計約24,000ヘクタール)を保有している。一方で、インドネシア国内では、多くの天然ゴムが2ヘクタール以下の敷地面積しか持たない小規模農家によって生産されている。ブリヂストン・グループは、小規模農家の支援を通じて天然ゴムの収量増を図り、その経済的安定と地域社会の発展に貢献していく。
2)品質改善
ブリヂストン・グループは、小規模農家に向けた教育訓練活動を行うことで、ジャングルラバーの品質改善を図る。また、将来的には、次のステップとしてゴムの木の育成や病害などの科学的分析を通じ、より安定的な栽培に向けた支援を行うことについても同センターと検討していく予定。
3)生物多様性
ブリヂストン・グループは、同センターが提唱する農家の経済的安定と 生物多様性を両立させるという考え方に基づき、小規模農家が他の様々な樹木や作物と混在した状態でゴムの木を生育するための栽培指導をすることで、生物多様性の保護にもつながることを期待している。
1)スマトラ
社名 :P. T. Bridgestone Sumatra Rubber Estate(ピーティー・ブリヂストン・スマトラ・ラバー・エステート)
所在地 :北スマトラ州 スルバラワン市
設立年月 :2005年8月
出資比率 :株式会社ブリヂストン95%
代表者 :フィリップ・ヒックリング
生産品目 :天然ゴム
敷地面積 :約1万8千ヘクタール
従業員数 :約6,000名(2010年4月末)
2)カリマンタン
社名 :P. T. Bridgestone Kalimantan Plantation(ピーティー・ブリヂストン・カリマンタン・プランテーション)
所在地 :南カリマンタン州 タナラウット県
設立年月 :1999年11月
出資比率 :株式会社ブリヂストン99%
代表者 :アスワンシャー・ノールディン
生産品目 :天然ゴム
敷地面積 :約6千ヘクタール
従業員数 :約800名(2010年4月末)