インディカー第8戦:佐藤琢磨、武藤英紀ともにリタイア

インディカー

IZODインディカー・シリーズ第8戦がアメリカ中央部のアイオワ州デモイン郊外で開催された。全長が1マイルに満たないショート・オーバル、アイオワ・スピードウェイを250周して争われるレースは、今年が4回目の開催である。今年の決勝日は雷雨の予報が出されていたが、アイオワでのインディカー人気は高く、レース観戦を楽しもうと多くのファンがサーキットに集まった。

雨が心配される状態でスタートした250周のレースでは、Chip Ganassi Racingのダリオ・フランキッティとスコット・ディクソンがトップ争いを展開。そこにトニー・カナーン(Andretti Autosport)が予選15位から序盤にして加わって、トップ3による激しいバトルが始まった。

レースの折り返し点を目前にカナーンはトップに立ち、その後、ディクソンはハンドリングの悪化で後退、フランキッティはギアボックスのトラブルでピットへと向かった。

これでカナーンのトップは安泰かに思われたが、終盤に入ってエリオ・カストロネベス(Team Penske)がスピードアップし、最後のピットストップでカナーンのクルーが他車に接触されたこともあり、トップの座を手に入れた。

雨でレースが短縮される心配がなくなった終盤、カナーンは順位を落としても冷静さを保ち、カストロネベスの背後へと着々と接近していった。そして、訪れたチャンスを逃すことなく、残り10周でトップを奪い返し、2008年6月のリッチモンド以来となるキャリア14勝目を飾った。

カストロネベスは今年2回目の表彰台となる2位でゴール。予選19位だったE.J.ヴィソ(KV Racing Technology)がキャリアベストとなる3位でフィニッシュし、参戦3シーズン目にして初めての表彰台登壇を果たした。4位はライアン・ブリスコー(Team Penske)で、ポールポジションからのスタートだったウィル・パワー(Team Penske)は5位、ディクソンが6位でゴール。フランキッティはリタイアで18位となった。

予選7位で4列目のイン側グリッドからスタートした佐藤琢磨(KV Racing Technology)は132周目に5位へと浮上し、167周目には4位、168周目にはディクソンをパスして3位までポジションを上げた。ところが、177周目、バックマーカーに接近してマシンのコントロールを乱し、ターン4の壁に吸い寄せられるようにぶつかり、リタイアとなった。アグレッシブな走りで表彰台圏内まで順位を上げていただけに、非常に悔しいアクシデントであった。

予選24位だった武藤英紀(Newman/Haas Racing)は、完走を目指してスタートした。ペースが上がらずに周回遅れに陥った後も武藤は粘り強く走り続けた。マシンセッティングを改善しようと、チームとともに全力で戦っていたが、131周を走ったところでピットへと向かい、今年2回目のハンドリング不調によるリタイアを喫した。

これで2010年シーズンは17戦のうち、8戦が終了した。ポイントトップでアイオワ入りしたフランキッティのリタイアにより、5位でゴールしたパワーが再びポイントリーダーの座に返り咲いた。11点差のポイント2番手はディクソン、トップと14点差、2番手と3点差のポイント3番手はフランキッティだ。

トニー・カナーン(優勝)

「久しぶりの優勝ができ、最高の気分だ。これまでずっと頑張ってきてくれているチームに感謝したい。今週の我々のマシンは本当に速かった。それはチームワークによって作り上げられたものだった。予選では私がミスを犯して落ち込んでいたのだが、チームメートたちが励ましてくれた。そして、彼らはセッティング面でも私を助けてくれた。マルコ・アンドレッティとライアン・ハンターレイ、2人のセッティング・アイデアを借り、私のマシンをセッティングした。それが今日のレースでの安定した速さにつながった」

佐藤琢磨(19位)

「トップグループで戦い、オーバーテイクを重ねて3位まで順位を上げていけました。とても楽しいレースになっていました。ところが、2台いた周回遅れの1台をインからパスしようとした時、彼もラインを下げて来たために乱気流を浴び、私のフロントが流れてしまいました。ピットストップでセッティングを調整して、スピードを上げていく戦いができていました。最後のピットストップでまた小さな調整をし、前の2台を追いかけようというところでのアクシデントだっただけに非常に残念です。チームに申し訳ない気持ちです。それでも、特徴の異なる4つのオーバルを経験し、シーズン終盤のオーバルでのレースで戦う準備はできたと思います」

武藤英紀(20位)

「新しいセッティングでレースに臨みましたが、その効果を明確に感じることはできませんでした。グリップ不足は改善されないままで、みんなと同じペースで走り続けるのが難しかったです。レースが中盤に入ったころ、ラップタイムがトップグループと比べて明らかに遅かったため、リタイアを決めました。今日のレースで新たに試したセッティングでも、小さな効果は何かしらあったはずです。シーズン終盤のオーバル連戦に向け、今回のデータも深く分析し、オーバルコース用のマシンセッティングをよくしなくてはなりません」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー

「スタートから激しいバトルが繰り広げられ、多くの順位変動が見られた。トップの交代劇もとても多く、予選順位とは大きく異なるレース結果となった。カナーンの優勝は本当に久しぶりだ。最後のピットストップでトラブルがあってポジションを落としたが、今日の彼はレースを通して速さを保ち続けた。カナーンはチャンスを見逃すことなくトップを奪い返し、ゴールへ突っ走った。カストロネベスはレース中盤まで苦しい走りとなっていたが、終盤のピットストップでマシンを向上させて2位フィニッシュを飾った。そして、3位にはヴィソが入賞した。KV Racing Technologyは苦しいシーズンを送っていたが、今回ヴィソが表彰台に上った。今日のレースには雨の予報が出ていたが、本当にたくさんのファンが足を運んでくれた。雨雲はサーキットの南側を通過したらしく、集まったファンはインディカーならではのエキサイティングなレースを楽しんでくれたことと思う」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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