アウディ R8 LMS、ニュル24時間レースで再びクラス優勝

アウディ R8 LMS

アウディ R8 LMSが、ニュルブルクリンク-ノルドシュライフェで行われた24時間耐久レースにて再びクラス優勝に輝いた。“緑の地獄”とも称されるサーキットで行われた世界で最も過酷で長距離なレースで、ミッドエンジンスポーツカーは、GT3(SP9)クラスの勝者となった。

レーススタート前にはほとんど注目されていなかったフェニックスレーシングのアウディ R8 LMSのマーク・ブロンゼル(シエク)、ルカ。ルドゥイグ(ロイズドルフ)、デニス。ロステック(ポルタ ウエストファリカ)とマルクス・ヴィンケルホック達は、チームに予期せぬサプライズをもたらした。しかし、基本に忠実でマシンを労って走らせる彼らフェニックスレーシングのメンバーは、最初に大きな犠牲を払わされていた。彼らのアウディ R8 LMSは、予選の序盤で発生したほんのわずかの電気系統の不具合により、予選97番手からのスタートとなった。

特筆すべきは、DTMドライバーのマルクス。ヴィンケルホックのパフォーマンス。彼はフェニックスレーシングに現場で合流するや否や、過去に走ったことがなかったにも関わらずノルドシュライフェでファストタイムをコンスタントに叩き出し、最終的にはマシンをクラス優勝に導いた。「アウディ R8 LMSとこのレースは、とても素晴らしい。ファンタスティックな体験だったよ。すばらしい仕事をしてくれたフェニックスレーシングにとても感謝しています。このレースで表彰台に立てるなんて、思ってもみなかったよ」と、ヴィンケルホックは自らのノルドシュライフェデビューの大成功について語った。

擁した2台のアウディ R8 LMSのうちの1台を総合5位、GT3クラス3位で完走させたブラックファルコンチームの活躍もまた、素晴らしいものだった。シーンポール・ブレスリン(英国)、クリスター・ヨン(インゲルハイム)、ケネス・ヘイヤー(ウェグベルグ)、ヨハネス・スタック(リヒテンステイン)の4人もまた、スピードと耐久性の狭間のベストポイントを見つけ出した。

とは言え、今回のニュルブルクリンク24時間レースは、最近カスタマースポーツセンターを開設させたアウディスポーツが当初描いていた通りの展開ではなかった。今年で38回目を誇る歴史あるこの長距離レースは、誰も無傷では帰れないほど多数のアクシデントが発生することで知られており、アウディカスタマーであるABTスポーツライン、ブラックファルコン、フェニックスレーシングは不運にも、素晴らしい予選結果を残したにも関わらず、必要な運に恵まれない結果となってしまった。

3チームはすべて、アクシデントに見舞われてマシンをリタイアさせている。一般とはかなりかけ離れて過酷で事故の多い24時間レースの中で、出場総数7台のアウディ R8 LMSのうち、チェッカーフラッグを受けることが出来たのはわずか2台だけだった。

世界でもっとも過酷で長いサーキットで行われたレースの終わりは、非常に速いペースで走っていた2台のアウディ R8 LMSにとって早すぎるものだった。ゼッケン98番のフェニックスR8 LMS(マルク・バッセン、マイク・ロッケンフェラー、フランク・スティップラー、ハンス-ヨアキム・ストゥック)とゼッケン100番のABTのR8 LMS(マティアス・エクストローム、オリバー・ジャービス、ティモ・シェイダー、マルコ・ヴェルナー)の2台は、アクシデントによって土曜日の夕方に、リタイアを喫した。

それは午後9時を少し過ぎた頃プランツガルテン 2の辺りで、自身2度目のスティントを走行していたマルク・バッセン(フェニックスレーシングR8 LMSゼッケン98番)の身に起きた。「左側ウインカーを出して走行していた遅いクルマを抜こうとしたんだ。こちらは完全な距離を置いて追い抜こうとしたのだけれど、遅いクルマが突然こちら側に寄ってきたんだ。僕はクラッシュを避けようとして芝生エリアに向けて急ハンドルを切ったのだが、クルマのど真ん中を縁石でヒットしてしまった」と彼は説明している。この下からのインパクトはV10エンジンに非常に大きなダメージを与えたため、マシンはティアガルテンの辺りで停車した。

その約1時間後、今度はマルコ ヴェルナー(ABTスポーツラインR8 LMSゼッケン100番)の身に悪運が降りかかる。ル・マン優勝経験3回の猛者は、2位で走行中に差し掛かったプランツガルテン付近でアクシデントに見舞われる。ヴェルナーは他の車両からぶつけられて左リアサスペンションを破損し、その場でリタイアを喫した。

マルセル・フェスラー(フェニックスレーシングR8 LMSゼッケン99番)もまた、日曜日の夜に衝突されて、ホイールに大きなダメージを負った。夜の10時22分、シルバーとレッドにカラーリングされたR8 LMSはトップの位置を獲得し、マルセル・フェスラー、フランク・ビエラ、ピエール・カッファー、マーク・フェネリッシ達は夜の間にそのリードを2分以上広げた。しかし、その約17時間後に発生した衝突によりエンジンマウントに損傷を受けたため、フェニックスレーシングの2台目のR8 LMSもまた、リタイアを喫した。マルセル・フェスラーは「我々は非常に速く走っていたのに、本当に残念だ。」とコメントしている。

ABTスポーツラインの2台目のR8 LMS(ゼッケン2番)を駆るクリスチャン・アブトもまた、衝突に巻きこまれてしまい、タイヤを欠損してホイールアライメントにも重大な狂いを受けてしまった。しかし、日曜日の朝10時42分には、クリスチャン・アブト、エマニュエル・コラー、ルーカス・ルール、クリストファー・ミースの4人は再びトップのハイブリッドポルシェと同一周回の2位にまで上り詰めるが、結局はミッショントラブルでプランツガルテンにクルマを停めた。

ブラックファルコンレーシングは、2台のうち1台のR8 LMS(ゼッケン111番)を、夜間のアクシデントによって失った。もう1台のR8 LMSは、フェニックスレーシングの3台目のマシンと同じく、24時間を耐えられるように丁寧に地元のプライベートチームが走らせていて、レース終盤のギアボックストラブルを除けば順調に走行していた。

アウディモータースポーツの責任者Dr.ウォルフガング・ウルリッヒは「アウディ R8 LMSが再びクラス優勝を獲得出来たことをとても嬉しく思っている。我々はこの車輌をお客様に提供するにあたって非常に論理的に開発したし、受け取ったお客様の運用が完璧だったので、総合3位と5位という成績を収めることが出来た。フェニックスレーシングとブラックファルコンレーシングの皆様には、おめでとうと申し上げたい。その他の車輌も優れたパフォーマンスを発揮していたが、他の速いマシンと同様に、あまりにも速すぎたために犠牲となってしまった。ABTスポーツラインとフェニックスレーシングは、確実に手にしたと思われたポジションをアクシデントによって失ってしまった。これは、ノルドシュライフェでは頻繁に起こることだ。2つのテクニカルトラブルもまた、ここでは頻繁に起こりうることだと思っている。」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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