ダイムラー、2010年のEBITは40億ユーロ以上の見込み

ダイムラー

ダイムラーAG は2010 年第1 四半期業績を発表した。それによるとEBIT は2010 年4 月19 日発表の速報で伝えられたとおり、11 億9,000 万ユーロとなった(前年同期: マイナス14 億2,600 万ユーロ)。ダイムラーAG 取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ部門統括のディーター・ツェッチェは「第1 四半期の非常に好調な業績は、ダイムラーが危機において課題を果たし、再び繁栄への道をしっかりと歩み出したことを示しています」と述べている。

このきわめて大幅な増益は、ほとんどの部門で引き続き業績が上向いていることによるもので、とりわけメルセデス・ベンツ・カーズ部門では、E クラスおよびS クラスセグメントの販売台数増加により、大きな黒字を計上した。

EBIT の増益によって、グループ純利益は6 億1,200 万ユーロと、前年同期に比べ大きく改善した(前年同期: 純損失12 億8,600 万ユーロ)。また、1 株当たりの収益は0.65 ユーロ(前年同期:マイナス1.40 ユーロ)となった。

総販売台数は前年同期比21%増

2010 年第1 四半期のダイムラーグループ全体の販売台数は40 万2,700 台(乗用車・商用車合計)と、前年同期を21%上回った。

グループ売上高は前年同期の187 億ユーロを大きく上回る212 億ユーロとなった。為替変動の影響を除いた増加率は15%となっている。

産業部門のフリーキャッシュフローは3 億ユーロとなり、前年同期のマイナス11 億ユーロから黒字に転換した。

2010 年第1 四半期末現在のダイムラーの従業員は全世界で25 万4,779 人(前年同期:26 万3,819 人)。このうちドイツは16 万1,449 人(前年同期:16 万4,983人)となっている。

部門別の詳細について

メルセデス・ベンツ・カーズ部門は2010 年第1 四半期、きわめて好調な業績を上げた。とくに、E クラスおよびS クラスのセグメントが大きく伸びたことから、販売台数は前年同期比20%増の27 万7,100 台(前年同期: 23 万1,200 台)と、2009 年第4四半期の好調を今年に入っても維持している。売上高は前年同期比28%増の116 億ユーロとなった。

同部門のEBIT は8 億600 万ユーロ(前年同期: マイナス11 億2,300 万ユーロ)となった。この大幅増益の背景には、大型車およびラグジュアリーモデルを中心とした販売台数の著しい伸びに加え、商品構成、価格設定の改善などを行ったことがあげられる。販売台数がとくに大きく増加した地域は米国と中国だった。為替の変動がマイナスの影響を及ぼしたが、効率の改善とコスト削減により一部調整されている。

ダイムラー・トラック部門は、販売台数7 万600 台(前年同期: 6 万5,400 台)となった。ドイツ、中東、日本での減少をラテンアメリカ(79%増)と東南アジア(48%増)の増加が補った。売上高は49 億ユーロと前年同期なみの水準となった。

EBIT は1 億3,000 万ユーロと、黒字を回復した(前年同期: マイナス1 億4,200万ユーロ)。最大の増益要因はラテンアメリカが好調なためだが、加えて2 つの子会社、ダイムラー・トラック・ノースアメリカと三菱ふそうトラック・バスのポジショニング見直しなどのコスト削減策も寄与している。このポジショニング見直しによるEBITへのマイナスの影響は1,700 万ユーロ(前年同期: 4,500 万ユーロの減益要因)となっている。

メルセデス・ベンツ・バン部門は、市場がわずかに回復したことを受けて、販売台数が4 万6,700 台と、前年同期の2 万8,800 台から増加した。売上高も17 億ユーロと前年同期の13 億ユーロを上回った。

またEBIT は6,400 万ユーロ(前年同期: マイナス9,100 万ユーロ)となった。

この増益は主に、西欧を中心とする販売台数の増加によるものだ。為替変動によるマイナス要因は、効率改善とコスト削減により調整された。

ダイムラー・バス部門では、世界販売台数(バスおよびシャーシ)が8,400 台と、前年同期(6,800 台)に比べて大幅な増加を記録したほか、売上高も10 億1,100 万ユーロと、前年同期の9 億400 万ユーロを上回った。

EBIT は4,100 万ユーロ。前年同期が6,500 万ユーロと好調だっただけに予想どおり減少に転じた。減益の主な要因は西欧における販売台数の減少で、これをラテンアメリカでの増加で補いきれなかった。

ダイムラー・ファイナンシャル サービスでは、第1 四半期末の世界契約額は599 億ユーロと、前年同期比3%減となった。2009 年末との比較では3%の増加だが、為替変動調整後は1%減となっている。新規事業は前年同期比6%増の62 億ユーロとなった。なお、為替変動調整後の伸び率は5%となっている。

同部門のEBIT は1 億1,900 万ユーロ(前年同期: マイナス1 億6,700 万ユーロ)となった。増益の主な要因はリスク対策費用の減少と金利差益の増加となっている。一方、リース契約の対象となっている売却用非自動車関連資産の評価を中心にマイナスが発生した(マイナス4,600 万ユーロ)。以上の各事業部門のEBIT からグループEBIT への「調整」の部は、持分法が適用されるEADS に対する出資にもとづき案分したダイムラーへの帰属分などの損益が中心となっている。

EADS の純損益に占める2010 年第1 四半期のダイムラー帰属分はマイナス2 億6,900 万ユーロとなった(前年同期: プラス8,300 万ユーロ)。大幅に落ち込んだ最大の要因は、EADS が2009 年連結決算において軍用輸送機A400M 関連で計上した追加引当金となっている。一方、保有していたタタモーターズ株式(同社全株式の5.3%)を売却したことで、税引き前利益2 億6,500 万ユーロが発生したため、これもグループEBIT への調整として計上している。

今後の見通し

ダイムラーでは、各事業部門の計画にもとづき、2010 年の総販売台数は前年実績の160 万台を大幅に上回るものと予測している。

グループ売上高は2009 年に大きく減少したこともあり、2010 年は再び増加するものの、2008 年に比べると低い水準にとどまる見込みだ。なお、今年の成長にはすべての自動車部門が寄与するものと予測している。

2010 年グループEBIT は、40 億ユーロ以上を予測している。主な根拠としては、継続的な市場の回復や、経済環境の改善、好調な製品販売が挙げられる。

各事業部門の2010 年通年のEBIT 予測は以下のとおり。

・ メルセデス・ベンツ・カーズ: 25~30 億ユーロ

・ ダイムラー・トラック: 5~7 億ユーロ

・ メルセデス・ベンツ・バン: 2 億5,000 万ユーロ前後

・ ダイムラー・バス: 1 億8,000 万ユーロ

・ ダイムラー・ファイナンシャル サービス: 5 億ユーロ以上

メルセデス・ベンツ・カーズ部門は新型E クラスが出揃ったことがプラスの要因となっている。新型E クラスは2009 年にセダン、クーペ、ステーションワゴンを発売して大成功を収めたのに続いて、2010 年第1 四半期には新型カブリオレが登場した。

これに加え、新型スーパースポーツカー、メルセデス・ベンツSLS AMG と、2010 年秋に発売予定のR クラス、CL クラスの新世代モデルも販売台数を押し上げる要因となっている。さらに、既存モデルシリーズにも低燃費および環境配慮型モデルを継続的に導入する。例えば、2010 年第3 四半期より、超低燃費の新型6 気筒および8 気筒ガソリンエンジンを導入する。BlueEFFICIENCY モデルラインアップは現在よりもさらに拡大し、2010 年末には85 モデルとなっている。また、スマートについては、2010年第3 四半期に発売するスマート フォーツー新世代モデルによる需要の増加を見込んでいる。

魅力的で競争力にすぐれたクルマを持つメルセデス・ベンツ・カーズ部門では、2010 年は厳しい景気が続く中でも市場地位を強化することが可能であり、成長率は世界の乗用車市場の約2 倍となると見込んでいる。なお、2010 年の世界乗用車需要は、現時点では前年比3~4%の増加が予測されている。

同部門のEBIT は、販売台数の増加と利幅の改善により増加が見込まれている。上記の予測に幅を設けたのは、市場動向、為替変動、マクロな経済状況などを考慮したものだ。メルセデス・ベンツ・カーズでは今後も引き続き新しい駆動技術や革新的な安全システムの開発・生産に多額の投資を行うことで、厳しい市場環境の中で競争力を強化していきたいと考えている。

ダイムラー・トラック部門では、販売台数が前年の低水準から今年は回復に転じる見込みだ。ラテンアメリカのいくつかの市場と、前年大きく落ち込んだNAFTA 地域では年初よりきわめて大きな伸びが見込まれているが、欧州については、需要が持ち直すのは早くても2010 年後半と予測している。

メルセデス・ベンツ・バン部門は、バン需要の増大と市場の安定化を背景に、今年は前年に比べて大幅な販売台数の増加を予測している。

ダイムラー・バス部門でも、ラテンアメリカの各市場での需要が堅調なことから、販売台数の増加を見込んでいる。

ダイムラー・ファイナンシャル サービスでは、自動車部門世界契約額が堅調に推移する見通しだ。2010 年通年では信用リスクコストの減少とこれまで以上の効率改善の達成を見込んでいる。

需要が増加に転じたことから、ダイムラーの2010 年の全世界における従業員数は、2009 年末と同じ水準か、わずかに増加するものと見ている。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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