豊田章男社長 「今年度は新しいトヨタの再出発の年」

トヨタ 豊田章男社長

2010年3月期 決算発表説明会 豊田社長あいさつ

社長の豊田でございます。本日はお忙しい中、多数お集まりいただきましてありがとう ございます。

まず2010年3月期を振り返ってみますと、昨年6月にバトンを引き継いだときに 「嵐の中の船出」と申しあげましたとおり、大変厳しい経営環境でした。業績につきま しても、当時は大変大きな赤字決算を予想していました。

そのなかで、NUMMI の生産停止やF1 からの撤退など数々の苦渋の選択をしてまいりま した。また、皆様に大変ご心配をおかけしました一連のリコール問題など一瞬たりとも 気を抜くことのできない1年でありました。

しかし、こういうトヨタが苦しい時期であっても販売店や仕入先の皆様が1台でも多く のクルマをお客様にお届けしたいという気持ちでご尽力いただいたこと、そして海外事 業体をはじめ従業員が1 日でも早く健康体に戻りたいという気持ちで一丸となって頑 張ったこと、そしてなによりも、世界中の700万人を超えるお客様が新たにトヨタの クルマをご購入いただきましたことに対しまして、深くお礼申しあげます。

決算につきましては、後ほど専務の伊地知よりご説明いたしますが、2010年3月期 の営業利益1,475億円は、トヨタを支えていただいた皆様のおかげと、心より感謝 しております。なお、株主の皆様への期末配当金につきましては1株当たり25円を本 年の株主総会へ提案させていただく予定です。これにより、当期の1株当たり配当金は、 中間配当20円と合わせ、年間では45円となります。

今回の決算も含め、私はやっとスタートラインにつくことができたと考えております。 今年度がまさに新しいトヨタの再出発の年と考え、新たな成長戦略へと舵を切っていき たいと考えています。

今後の成長戦略では、「攻める分野」を明確にしたうえで、リソーセスを最適配分する ことで持続的な成長を目指してまいります。常に人や組織の身の丈を確認し、将来の成 長に向けた投資と収益構造改善による体質強化のバランスを見定めながら前進してま いります。

攻める分野とは、大きく言えば、「次世代環境車」と 「新興国」の2つになると思いま す。

まず、次世代環境車としては、ハイブリッド技術の一段の向上とモデルの拡充を図って まいります。昨年は3代目となる新型プリウスやレクサス「HS250h」など新モデルを お求めやすい価格で投入してまいりましたが、今後も、プレミアムコンパクトセグメン トのハイブリッド車「CT200h」の発売を予定するなど、積極的に新モデルの投入を図 ってまいります。

さらに、プラグインハイブリッド車につきましても、2012年には一般のお客様への 販売開始を予定しており、次世代環境車をより一歩前進させるとともに、お客様にとっ て一段と身近なクルマにしていきたいと考えています。

また、少し長期的な視点になりますが、プラグインハイブリッド車やEV を活用したス マートグリッドなどの新たな環境技術への取り組みが非常に重要であると考えていま す。青森県六ヶ所村や米国コロラド州ボルダー、そして先月発表しました豊田市など、 世界各地での実証実験プロジェクトへの参画により、こうした技術の実用化など、低炭 素社会の実現を目指し、グループを挙げて取り組んでまいります。

これらの環境技術への取り組みに加えて、たとえば昨年の東京モーターショーに出展し た小型FRスポーツ、FT-86コンセプトなど、「走りの味」や「クルマの楽しさ」に こだわった、お客様にわくわくしていただけるクルマも提供していきたいと考えていま す。

次に、中国、インドなどの新興国の戦略につきましてご説明します。

まず、成長の著しい中国では更なる商品ラインアップの拡充と生産体制の整備を図って まいります。これまでも中国のお客様の需要にお応えするために生産能力を拡充してま いりましたが、今回さらに長春新工場を建設し、2012年前半に稼動を開始すること を決定しました。また、プリウスに続きカムリハイブリッドの現地生産を開始するなど、 中国のお客様の幅広いニーズにお応えするための生産体制を構築してまいります。

中国同様、成長が見込まれるインド市場向けには、新型車のエティオスを投入する予定 です。日米欧向けに開発した商品を流用するのではなく、インドで新規にクルマを購入 されるお客様にご満足いただけるクルマを目指した開発は、新興国向けの新たなクルマ づくりへの挑戦であります。

新興国への積極的な投資を図る一方、日米欧の先進国においては、市場構造の変化にあ わせた生産車種の見直しや、為替変動に強く、フレキシブルな生産体制の再構築が必要 です。一部余剰となっている生産設備の「寄せ停め」により、グローバルに生産能力の 最適化を図っていきます。

最後になりますが、私は就任以来、従業員に対して「もっといいクルマをつくろうよ」 と申しております。安全で高品質の良品廉価なクルマ、より環境にやさしいクルマ、お 客様にわくわくしていただけるクルマ、そういったクルマをより多くのお客様にご提供 することにより、持続的に成長のサイクルを回していきます。それにより当社の創業の 理念である「クルマづくりを通じて社会に貢献する」という使命を果たす所存でありま す。皆様におかれましては引き続きのご指導ご支援をお願いいたします。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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