ダイムラー、東レと軽量構造のパートナーシップ

ダイムラー

ダイムラーAG と東レ株式会社は、このたび、量産車向け炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部品の共同開発合意に関する契約を締結した。この合意により両社は、未来型軽量材料の自動車への利用に向けた取り組みを進めていく。

今回の合意について、ダイムラーAG 取締役 ダイムラーグループリサーチ、メルセデス・ベンツ・カーズ開発統括のトマス・ヴェーバーは「ダイムラーは、クルマのクリーン化や燃費効率向上のため一貫した取り組みを進めていますが、この取り組みでは高度な軽量構造が重要な要素となっています。東レは炭素繊維とCFRP に関する専門ノウハウを持ち、ダイムラーが国際的な取り組みを進めていく上で強力なパートナーとなります。今後、重要性がますます高まる炭素繊維複合材料を対象とした今回の合意は大きな一歩といえます」と述べている。

世界最大の炭素繊維メーカーとして、きわめて幅広い製品ラインアップを有するだけでなく、CFRP 関連取得特許数でも業界トップを誇る東レは、材料および生産プロセスについて長年の経験を蓄積している。一方ダイムラーは、車両総重量の低減と燃費およびCO2 排出量の削減を目指し、車両全体にわたって軽量材料の高度利用を進めており、今回の合意では自動車業界の大規模量産や品質保証におけるプロセスのノウハウを提供する。

ダイムラーの軽量構造戦略について、ダイムラーAG プロダクトイノベーションおよびプロセステクノロジー担当バイス・プレジデントのバーラト・バラスブラマニアンは「ダイムラーは、各モデルについてホワイトボディを先代より最大10%軽量化するという明確な目標を掲げています。安全・快適装備の追加や代替駆動システムに使用する新しい部品による重量増があっても、この取り組みのおかげでその増加を相殺してあまりある軽量化が実現できます。軽量化がこのように重要なのは、燃費と排出ガス削減の取り組みにおいて大きな役割を果たすためです。さらに、ダイムラーの技術陣には高度な材料コンセプトがあります。メルセデス・ベンツは『適材適所』の原則に従い、アルミニウム、マグネシウム、プラスチックなどの軽量材料を、各材料の効果が最大になる部分につねに適用しています」と述べた。

また、トマス・ヴェーバーは「クルマが軽量になれば、製品について社内で定めている高い持続可能性目標が達成しやすくなります。ダイムラーでは、持続可能なモビリティ実現のために開発したBlueEFFICIENCY テクノロジーにより、環境に配慮した低燃費駆動システムや高度なエアロダイナミクス、統合型エネルギー管理、高度な軽量構造など、あらゆる可能性を追求しています」とコメントしている。

メルセデス・ベンツは、自動車にいち早く炭素繊維複合材料を採用したメーカーの1つ。2004 年、ハイパフォーマンススポーツカー、SLR マクラーレンに量産車として初めてこの材料を導入、ボディおよびフロント構造を100%炭素繊維製とした。炭素繊維による第一次構造物には、同等のアルミニウム製構造物に比べて最大で30%軽く、しかも剛性がはるかにすぐれているというメリットがある。

今回の共同開発合意の下で生れる最初の成果物は、今後3 年の間にメルセデス・ベンツの量産車に採用されることになっている。両社はCFRP からスタートし、モジュール部品を経て、最終的には統合度のきわめて高い構造アッセンブリーへと進む形で、メルセデス・ベンツ車の量産に使用する部品の共同開発を行っていく。なお、これを実現するために必要なノウハウは今後ドイツでさらに開発が進められる。

炭素繊維とは

炭素繊維とは、純粋な炭素からなるフィラメントと呼ばれるきわめて細い繊維のこと。これを織り合せ、樹脂の中に埋め込んだものが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)です。CFRP はこれまで長年にわたり航空機やフォーミュラ1 カーに採用され、すぐれた成果を上げてきた。炭素繊維で作った部品は、同等のスチール部品やアルミニウム部品と強度は同じながら、重さはスチールより最大で50%、アルミニウムよりは約30%も軽く作ることができる。このようなすぐれた性質からCFRP は、ハイパフォーマンスカーに打ってつけの軽量材料となっている。軽量化が実現すれば燃費効率のほかパワーウェイトレシオも改善できるからだ。また加速も、質量が小さければ小さいほど速くなる。

市街地走行で消費される燃料のうち、クルマの重量によるものは約23%。新車の設計で100kg の軽量化に成功したとすると、モデルの違いや運転のしかたにもよるが、走行距離100km 当り0.3~0.6 リッターの燃料が節約できることになる。これをCO2 排出量に換算すると7.5~12.5g/km の削減となる。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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