トヨタ、欧州にプリウスPHVを導入 … 仏ストラスブール市で大規模実験を開始
トヨタとフランス電力会社(Électricité de France、以下、EDF)、およびストラスブール市の三者は27日、プリウス プラグインハイブリッド(以下、プリウスPHV)による共同での大規模実証実験をストラスブール市において開始した。
ストラスブール市には約100台のプリウスPHVが投入される。EDFが市内に設置した約150基の充電スタンドは車両識別や課金情報管理を行う機能を有しており、プリウスPHVの一部車両はこのシステムに対応し充電プラグを介して充電スタンドと情報交換することができる。本プロジェクトにおいて、トヨタはプラグインハイブリッド技術や車両の性能に関する研究開発、EDFは充電インフラの多様な使い方の検証を通じて、PHVの理解促進と将来の普及に備える計画である。
27日に行われた記者会見の席上、トヨタの技術開発担当副社長 内山田竹志は、「本日、ストラスブール市におけるプロジェクト開始を機に、当社のハイブリッド技術をベースに開発したプリウスPHVを、欧州18カ国に約200台導入していく予定です。今後は、電気利用の現実解として市場での評価等を検証し、サステイナブル・モビリティ実現を目指してまいります」と述べた。
トヨタは、2009年末からプリウスPHVの市場導入を開始しており、2010年半ばにかけて全世界で約600台を導入する計画である。すでに日本、米国、欧州の一部に納車しており、今後は他の国々・地域にも導入していく予定である。
プリウスPHVは、家庭用電源からの充電を可能とし、ベース車の3代目プリウスに比べ電池容量を大幅に増やすことによりEV走行距離を拡大した。さらに、電気を使いきりEV走行できなくなった後は、従来のハイブリッド車と同様に走行することができる。例えば、通勤や買い物などの日常での使用はEV(電気自動車)として走行し、休日のレジャーや遠出などの長距離使用は、エンジンを併用して従来のHV(ハイブリッド車)として走行できるため、電池の残存量や充電インフラの整備状況にかかわらず使用できる。すなわちプリウスPHVは、ハイブリッドシステムを備えることで、EVとしても安心して使えるクルマ、ということができる。
プリウスPHVは、駆動用電池にトヨタとして初めてリチウムイオン電池を搭載し、充電エネルギーの利用によりHVを大幅に上回る燃費を実現して、化石燃料の消費抑制、CO2排出量削減、大気汚染防止などの効果も期待できる。トヨタは、エネルギー多様化への対応のひとつとして、自動車エネルギーへの電気利用の促進において、現時点では、PHVが本格的な普及に適したエコカーであると考えており、車両を使った様々な検証や市場からのフィードバックを踏まえ、PHVの早期普及を図るため、2012年初めまでには市販を開始し、全世界で年間数万台規模の販売を目指す。
トヨタでは、電気をはじめとした代替エネルギーの利用促進により、石油消費の抑制、CO2排出量の削減を進めるため、長年にわたるハイブリッド車販売、RAV4 EVや燃料電池ハイブリッド車の市場導入を通じて培った電気利用技術の開発を加速させていく。
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