トヨタ、豊田市で低炭素社会システム構築に向けた実証プロジェクトを開始

トヨタ自動車および豊田市、株式会社ドリームインキュベータは、中部電力株式会社をはじめ民間企業13社(下記に記載)と共同で企画した、「愛知県豊田市における『家庭・コミュニティ型』低炭素都市構築実証プロジェクト」が、経済産業省が募集した「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定されたことを受け、実証実験への取り組みを開始する。

このプロジェクトの狙いは、豊田市における街づくりの一環として、地方都市型の低炭素社会システムを構築するとともに、将来、日本国内はもとより海外の都市へ横展開することを視野に、国や地域、先進国と新興国といった、それぞれ異なる社会環境に応じたシステムを構築することにある。

本プロジェクトが目指すシステムは、太陽光発電、風力発電といった再生可能エネルギーが大量導入されるという想定のもと、二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果が大きいこと、電力の供給が平準化され安定的に供給されるための系統の整備にかかる社会コスト(インフラコスト)を最小限に抑えること、が重要であると考えており、具体的には、以下の5項目に取り組んでいく。

(1)家庭内でのエネルギー有効活用

(2)コミュニティのエネルギー有効活用

(3)低炭素交通システムの構築

(4)生活者行動支援によるライフスタイルの変革・インセンティブ効果の検証

(5)グローバル展開に向けた戦略検討

まずは、近年増加傾向にある家庭(生活者)からの二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けた取り組みから着手し、そこからコミュニティ単位で拡げていくとともに、交通システムや生活者のライフスタイルの変革といった領域への取り組みも進める。さらには、グローバルな視点でシステムの拡がりをにらみ、国際標準化や海外への展開戦略の検討を行う。

これらの取り組みによって、主要な注力分野である家庭・交通両セクターにおいて、それぞれ20%(スマートハウス※1単体では70%以上の削減)・40%の二酸化炭素(CO2)排出量削減を可能とする、地方都市型の低炭素社会システムの構築を目指す。

【今回のプロジェクトへの参加団体・民間企業一覧】

豊田市、KDDI株式会社、株式会社サークルKサンクス、シャープ株式会社、中部電力株式会社、株式会社デンソー、株式会社東芝、東邦ガス株式会社、株式会社豊田自動織機、トヨタ自動車株式会社、トヨタホーム株式会社、株式会社ドリームインキュベータ、富士通株式会社、三菱重工業株式会社

* 2月26日の経済産業省へのプロジェクト応募時点。民間企業は50音順

【具体的な取り組み内容】

国内外で普及する「地方都市型低炭素社会システム」を目指し、次の3点を基本方針とする。

1.家庭セクター(家+自家用乗用車)からのCO2排出量を削減する

2.社会コストを抑える

・ 車の蓄電池を有効活用する

・ 情報・通信技術 等により、消費者の生活行動や運転行動を支援し、総合的に無駄のないエネルギーマネージメントを進める

・ 個別家庭内の取り組みをコミュニティまで単位を拡げ、効果を拡張する

3.グローバルにも、各地域に貢献できるシステムとし、国際標準を目指す

以上により、世界で最も、費用対効果及び市民満足度の高い「低炭素社会システム」の構築を目指す。

なお、本プロジェクトの事業規模は、平成22年度(2010年度)から5年間で約113億円を予定しており、実証にあたり必要な予算は、経済産業省などの関連予算を活用していく。

具体的には、以下の5点について取り組みを行っていく。 *( )内の数値はCO2削減目標

(1) 家庭内でのエネルギー有効活用(スマートハウス普及率込みで約▲20%、単体では▲70%以上)

・ 省エネ・創エネ機器(太陽光電池、燃料電池など)に加え、蓄エネ機器(各種家庭用蓄電池、エコキュート、次世代自動車)を、多様な組み合わせで大規模に導入

・ PHV※2、EV(電気自動車)などの次世代自動車搭載蓄電池の電力活用(V2H※3)の可能性を検証

・ HEMS※4を導入し(5年間でHEMS装備住宅70戸、次世代自動車75台の使用を想定)、上記エネルギー機器の制御や余剰グリーン電力の家庭用蓄電池・PHV・EVへの充電、住宅内電力消費量・太陽光発電量・各機器の制御状況の「見える化」、これを活用した「生活者行動支援」が可能なシステムの開発を進め、その効果を検証

・ 「見える化」や「生活者行動支援」、エコポイントなどによるインセンティブ効果を検証

(2)コミュニティでのエネルギー有効活用(▲2~▲(1)0%)

・ HEMSをコミュニティ内でネットワーク化することで、コミュニティ単位でエネルギーマネジメントシステムを構築し、地域単位でのエネルギー使用の最適化・有効活用策を検証

・ 中規模グリッド用エネルギーマネジメントシステムの構築に向けたシミュレーション

・ 再生可能エネルギーを導入した熱・電気の面的利用と複合的ハイブリッド型エネルギーマネジメントシステムを構築

・ 大規模災害等を想定し、自動車蓄電池エネルギーからコンビニなどの商用施設や公共施設向け電力供給の活用を検証

・ 定置用蓄電設備の商用施設などへの導入を進め、商用施設の電力需要の平準化やEV普及のためのインフラを拡充

・ インセンティブ効果の検証

(3) 低炭素交通システムの構築(運輸部門で▲40%)

・ 豊田市での次世代自動車普及促進のための購入補助の対象に、PHVとFC(燃料電池車)を追加し次世代自動車の導入を促進

・ 基幹路線バスにFCバスを試験的に導入し、さらに現在デマンド方式で運行している地域バスにEV・PHVバスの導入を検討

・ 公共施設やコンビニなどに充電インフラを導入(5年間で16箇所26基)

・ 中核型水素ステーションを市内に設置(1箇所)

・ ITSを活用した交通流整序(プローブ情報を活用した移動支援)とエコドライブ促進(エコルート情報の提供)

・ 公共交通優先信号・バス専用レーンの導入及び輸送力向上の検討、共通ICカードやパークアンドライド駐車場利用割引サービスの導入などによる公共交通利用促進策を検討

・ 充電スタンドやカーシェアリング向けスケジューリングシステムの構築により、パーソナルモビリティや次世代自動車の共同利用を検討

・ 公共交通の利用インセンティブの付与

(4) 生活者行動支援によるライフスタイルの変革・インセンティブ効果の検証

・ ライフスタイルそのものを進化・変革させるための環境学習及び啓発活動

・ 家庭単位・コミュニティ単位の両方でエネルギー使用の「見える化」を実施し、HEMSなどを活用したエネルギーデータの収集やエネルギー利用に係わる最適行動を促す生活者行動支援策

・ 生活者の省エネ・低炭素行動に対し、地域通貨(とよたエコポイント)を発行

・ 低炭素社会モデル地区の整備

(5) グローバル展開に向けた戦略検討 

・ グローバル展開の検討

・ 標準化検討ワーキングによる標準化の検討

※1 スマートハウスとは、家電などの住宅機器と、太陽光発電や家庭用蓄電池、自動車搭載蓄電池などを情報ネットワークで繋ぎ、家庭内の電力平準化やエネルギー最適化を行う住宅のこと。

※2 PHV : Plug-in Hybrid Vehicleの略。

※3 V2H : Vehicle to Homeの略。家庭電力から自動車搭載蓄電池へ充電、あるいは自動車搭載蓄電池の電力を家庭用電力へ供給する電力やりとりの連系。

※4 HEMS : Home Energy Management Systemの略。

(参考1) 実証地域の概要

実証地:愛知県豊田市

人口:423,0(1)6人 (平成22年1月1日現在)

市長:鈴木公平

豊田市では、平成21年度より環境モデル都市アクションプラン「ハイブリッド・シティとよたプラン」に基づき、中期目標2030年30%削減、長期目標2050年50%削減に向けてCO2削減プロセスを開始しており、家庭・交通の両セクターにおいてもPHV普及促進や太陽光発電の普及を初めとする取り組みを強力に推進している。

(参考2) 経済産業省の募集する「次世代エネルギー・社会システム実証地域」について

「次世代エネルギー・社会システム実証」は、政府の定める「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~(2009年12月30日閣議決定)」に位置づけられる「6つの戦略分野の基本方針と目標とする成果」「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」における、日本型スマートグリッドの構築と海外展開を実現するための取り組みとして、成長戦略の工程表にも位置づけられている。

「次世代エネルギー・社会システム協議会」では、中間とりまとめにおいて、日本型スマートグリッドの方向性を示し、日本型スマートグリッドを含めた次世代エネルギー・社会システム実現のために実証事業を行う。エネルギーや関連機器を中心とし、通信、都市開発、交通システム、ライフスタイルなどを含め、様々な実証を都市の中で行うこととし、次世代のエネルギー・社会システムの実現に向け高い目標を掲げて先駆的な取り組を行う地域を「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定する。

本実証に選定された地域では、次世代エネルギー・社会システム実証に当たっての実行計画の策定とその実施に取り組む。 国は、次世代エネルギー・社会システム実証の実行計画の円滑な実施に向けて、「次世代エネルギー・社会システム実証 関係省庁連絡会議」を活用し、予算措置や標準づくり、国内・海外への成果の発信など、省庁一体となった総合的支援を行う。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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