トヨタ、発進用ギヤを採用した無段変速機など新パワートレーンを発表

トヨタは、「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」により、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求した、新しい無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2リッターエンジン・2リッターハイブリッドシステム・4WDシステムを開発した。

中でも、新型の無段変速機(CVT)は、新たに発進用ギヤを採用することで、従来のCVTに対して低速域の伝達効率を大幅に改善。アクセル操作に応じたダイレクトでスムーズな走りと、優れた燃費性能を実現している。

今回発表した新しいパワートレーンは、2018年春以降、搭載車種をグローバルで拡大していく。従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上に寄与するのはもちろんのこと、その基礎となる技術の一部は、今後トヨタが普及に向けたチャレンジを続けていくハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車においても、性能向上に反映されていくものである。

TNGAによって開発したパワートレーンについては、2021年までに、エンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定していることをすでに発表しているが、今回の無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2リッターエンジン・2リッターハイブリッドシステムはその中の4機種となる。

これらTNGAによって開発したパワートレーンの搭載車は、当面、5年後の2023年には、トヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約80%を目指す。これによるCO2排出量の削減効果は、TNGAによるパワートレーンの燃費向上寄与分だけでも、18%以上を見込んでいる。

新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」

トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」と「エンジン高効率領域の活用」、「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」に取り組んだ。これらの取り組みにより、ダイレクトでスムーズな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現している。

・「機械損失低減」

ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、乗用車用CVTに世界で初めて発進用のギヤを採用した。発進時はギヤ駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムーズで気持ちの良い発進性能を実現した。ギヤとベルトの切り替えには、AT技術で培った高応答の変速制御技術を使用している。

・「ワイドレンジ化」

発進用ギヤの採用に合わせて、ベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化し、2リッタークラストップの変速比幅7.5を実現した。

・「変速追従性向上」

発進用ギヤの採用により、入力負荷が軽減されたことで、ベルトおよびプーリー部の小型化を実現した。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させている。これにより、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができる。

新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)

欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるために、マニュアルトランスミッションも新規開発した。従来型に比べ、質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献する。

また、伝達効率も世界トップを実現しており、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用することで、ドライバーに不快なショックを感じさせないスムーズな変速操作をサポートする。

新型直列4気筒2リッター直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2リッター)」

新型エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現した。その結果、新開発の2リッターガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベルの熱効率40%・41%を達成した。

また、従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応する。

2リッタートヨタハイブリッドシステム(THSII)

4代目プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2リッターエンジン用ハイブリッドシステムを新開発した。加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現する。

新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」「新型E-Four」

さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指し、新しい4WDシステムを開発した。

エンジン車に採用する新システム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」では、走行状況に応じてリヤのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用することで、ドライバーの思い通りの旋回性能と、高い悪路走破性を実現した。

また、前後輪の車輪軸に世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減し、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用している。

ハイブリッド車に採用する「新型E-Four」においては、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させた上で、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れ、高い走破性と優れた操縦安定性を実現した。

さらに、「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」、「新型E-Four」双方に、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WDを統合して制御する「AWD Integrated Management(AIM)」を採用し、路面を問わない高い操縦安定性を確保している。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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