トヨタ、実車を使った再現デモで欠陥説に反論
総合的な分析を通じて、ギルバート教授の公聴会証言およびABCニュース報道に懸念を表明
トヨタは3月8日、自社および他社の実車を使った再現デモンストレーションを実施してウェブサイトを通じて中継し、2月22日(現地時間)にABCニュースが放映した米国・南イリノイ大学のデイビッド・ギルバート教授による“意図せぬ加速”の疑念に関するデモンストレーションの有効性、手法、信頼性について懸念を表明した。
トヨタと米国トヨタ自動車販売(TMS)は、エンジニアリング・コンサルティング会社の米エキスポーネント社に委託して行った調査と、トヨタで実施した試験結果を総合的に分析し、以下のように結論付けた。
◇ ギルバート教授のデモは、車の配線に特定の手順を経て大幅な加工を施す必要があり、これらを実際の市場環境において発生させることは事実上不可能である。
◇ ギルバート教授のデモでは、トヨタ車の電子制御システムがフルスロットル状態となるよう意図的に操作されている。
◇ 今回のTMSのデモでは、他社の車両についても同様の現象が再現できた。
すなわちトヨタは、ギルバート教授のデモは人為的に不具合を発生させる「手順と内容」が市場での再現性に乏しく、トヨタおよびレクサスの車両、もしくは他社の車両に固有の欠陥があるという証拠にはならない、と考える。
これまでに、エキスポーネント社とトヨタの技術陣は、ギルバート教授のデモを検証し、他社の車両を使って同様の結果を再現してきた。
また、クリス・ゲルデス スタンフォード大機械工学准教授兼スタンフォード自動車研究センター(CARS)ディレクターは単独で、ギルバート教授の証言と議会に提出された予備レポートの精査を行った。
こうした結果に基づき、8日のTMSのデモで、トヨタ車両および他社の車両を使って、ギルバート教授のデモと同様の再配線を施して急加速を再現した。
トヨタの内山田竹志副社長は、3月2日の米上院通商・科学・交通委員会の公聴会で、「各種の試験を徹底的に行っており、弊社の電子制御スロットル技術によって、意図せぬ加速は一度も発生していない、と確信して おります。一方、将来、問題を起こし得る要素があれば特定に努め、その未然防止に徹してまいります。また、弊社の電子制御スロットル技術の安全性をさらに確認するために、工学・科学の分野で世界でも有数のコンサルティング会社として知られるエキスポーネント社に独自の総合的な調査を依頼しています」と述べている。
エキスポーネント社の調査の中間報告書はすでに議会に提出され、包括的な分析が完了した際には、データとともに最終分析結果が公開される予定である。トヨタは今後、イベント・データ・レコーダー(EDR)など先進技術を活用し、一層の安全確保に向け取り組んでいくとしている。
この記事にコメントする