EVメーカーGLM、ボッシュエンジニアリングとEV駆動システム制御を共同開発
日本の電気自動車メーカーGLMは、自動車部品メーカーの世界最大手、ドイツ ボッシュ傘下のエンジニアリング会社「ボッシュエンジニアリング」と、車両制御の分野で協業する。GLMとボッシュエンジニアリングの協業は、今回が初となる。両社は共同で、EVの駆動システムを制御するユニット「VCU」(ビークルコントロールユニット)を開発する。
このVCUは、2019年の量産を計画しているGLMのEVスーパーカーGLM G4に搭載する方向だという。今回、GLMは、G4に求められる高性能なVCUを実現するため、ボッシュのグループ会社をパートナーに迎え入れた。GLMが構築した車両制御システムを基に、ボッシュのハードウェアを使いながら、ソフトウェアを電子制御の開発などを手掛けるボッシュエンジニアリングと共同開発する。
今回共同開発されるのは、車両の多機能を統合、制御できる高性能なEV専用のVCUで、バッテリーマネジメントシステム(BMS)やモーターを駆動するパワードライブユニット(PDU)、モーターの出力を調整するインバーター(電力変換装置)、車載用充電器等の協調制御を行う。
GLMは完成車両の開発、販売のほか、車両の内部にあたるプラットフォーム部分の販売も行っている。そのため、今回のVCUの制御対象は、ボディ部分を除く車両内部に特化し、GLM以外の他品種の車両にも応用できるようにする。これまで通り、完成車両とプラットフォームの両方を販売する戦略であるという。
京都の開発拠点でG4のプラットフォームとVCU試作機の動作テスト中、今後は協業領域拡大もGLMとボッシュエンジニアリングは、2016年春から互いに協業できる内容について協議を開始し、2016年秋頃まで細かな仕様について検討してきた。現在、第一号試作機の開発を終えており、次世代EVスーパーカーGLM G4のプラットフォームに搭載し、機能確認を実施している。ボッシュエンジニアリングの技術者が2017年7月上旬から京都のGLM開発拠点を訪れ、GLM技術者と共同で、8月上旬まで動作テストを重ねている。両社は今後も、VCUの精度をさらに高め、GLM G4に搭載する方向で引き続き共同開発を進めるという。EV乗用車の量産車として、ボッシュ製VCUを搭載した日本初の車両を目指す。
ボッシュは、車の機能をスマートフォン等で後から購入できる、VCUと連動したサービスも開発している。GLMはそうしたサービスの搭載も視野に入れているほか、協業領域を拡大し、自動運転の分野などでも、協力関係を深めたい考えだという。
今回の協業についてGLM代表取締役社長の小間裕康氏は「世界中の自動車メーカーに技術提供の実績があるボッシュのグループ会社であるボッシュエンジニアリングとの協業は、GLMのビジネスモデルの実現を加速させることになります。完成車事業だけではなく、グローバルに技術モジュールを提供するプラットフォーム事業にとっても、品質向上と開発スピードを飛躍的に向上させることが出来ると考えています」と話した。
ボッシュエンジニアリング日本法人の代表取締役龍﨑浩太郎氏は、「当社はこれまで、スーパーカー向けのエンジニアリングサービスをヨーロッパで展開してきました。EVスーパーカーの開発を行っているGLMとの協業は、欧州で築いたビジネスモデルを日本でも実現し、カスタム開発のノウハウを、日本の自動車メーカーに提供できる良いチャンスと捉えています。また新しい発想に溢れるGLMのような創造的な企業との協業は、当社にとっても様々な洞察をもたらしてくれます」と話した。
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