ボルボ、「Drive Me プロジェクト」用の自動運転車をラインオフ ~一般ユーザーが公道で走行実験を実施~
ボルボ・カーズは、イェーテボリでの「Drive Meプロジェクト」で使用される自動運転車の第一号車を完成させた。これに伴い、公道での自動運転実験である「Drive Me プロジェクト」が正式にスタートした。
2016年9月9日朝、スウェーデンのトースランダ工場で、自動運転テクノロジーを搭載したボルボ XC90をラインオフした。このXC90は、スウェーデンのイェーテボリの一般ユーザーに提供され、「Drive Me プロジェクト」として公道の走行実験を行うことになる。
ボルボは、自動運転テクノロジーの導入が自動車事故を減少や交通渋滞の解消、大気汚染を防止すると考えており、さらにドライバーが車内での時間をより有効活用できるようになると期待している。
現在ボルボでは、90シリーズのモデルに半自動運転機能(レベル2相当)である「パイロットアシスト」を搭載している。このテクノロジーは、緩やかなステアリング操作によって運転をアシストするもので、速度が時速130kmまでであれば、前走車がいなくても走行車線をキープしたまま走行することが可能である。
「Drive Me」用の自動車はそれに加え、ボルボが「自動運転頭脳(Autonomous Driving Brain)」と呼ばれる機能を搭載し、イェーテボリ周辺に設定した自動運転ゾーンにおいて、ハンドルを離したまま、アクセルやブレーキの操作も必要なく運転することができるというもの。
ボルボ・カーズのアクティブセーフティ部門でシニアテクニカルリーダーを務めるエリック・コリン氏は、「これは 『Drive Me』プロジェクトにとって重要な節目になります。お客様は私達エンジニアとは違った目で車を見ます。そのため、お客様が日常生活の中でこれらの車をどのように使うのか、またどんな意見が出るのかを楽しみにしています」と、ラインオフされるXC90を見守りながら語った。
「Drive Me プロジェクト」の一般ユーザー向け自動運転車は、ファクトリーでの組み立てが完了すると厳しいテスト工程に回され、搭載された最新の自動運転技術が設定通りに確実に機能するかチェックを受ける。ボルボのエンジニア達によって厳しいテストが行われたのち、この自動車は「Drive Me プロジェクト」に参加するカスタマーに引き渡される。
イェーテボリの「Drive Me プロジェクト」は、ボルボの自動運転車で、一般ユーザーが公道を走る初めての実証実験になる。今回のイェーテボリの試験と同様のプロジェクトが、2017年にはロンドンでも行われる予定になっている。さらに今後数年以内に中国でも「Drive Me プロジェクト」実施を予定しており、実施都市の選定を行っている。
ボルボは、自動運転技術の分野における戦略的提携についても積極的に取り組んでいる。2016年8月には、次世代の自動運転車を共同で開発するため、米国の配車サービス大手であるウーバー(Uber)と新たな提携を開始した。また9月には、次世代の自動運転ソフトウェア開発を目的に、自動車安全システムサプライヤーの大手であるオートリブ(Autoliv)と合弁会社をスウェーデンに設立することを発表した。
1959年に3点式シートベルトを発明して以来、ボルボの社名は自動車の安全性を象徴するものになっている。スウェーデンに本社を構えるボルボは、新しいボルボ車に乗車中の事故における、死者や重傷者を2020年までにゼロにするという中期的なビジョンのもと、自動運転システムの開発で先駆的な役割を果たしている。
カスタマーに焦点を合わせたこうしたアプローチこそが、「Drive Me」プロジェクトを他の自動運転試験と一線を画すものにしており、ボルボは自動運転車を開発するにあたり、自社のエンジニアが行う調査に頼るだけでなく、カスタマーから寄せられる様々な情報も活用していく。
ボルボは自動運転技術にさらに磨きをかけ、2021年頃の市販車への導入に向け、カスタマーの要望に沿った機能を、高水準で提供していくとしている。
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