ホンダは23日、取締役会において役員人事の内定取り決めが行われ、その内容を発表する緊急記者会見がホンダ青山本社で開かれた。
そこで代表取締役の人事交代が発表され、6年間という社長任務を遂行した福井威夫社長は、本年の6月下旬付で取締役相談役に就任。代わって、次期社長に内定するのは伊東孝紳氏(現専務取締役四輪事業本部長)となる。伊東氏は同時に本田技術研究所の社長にも就任する予定だという。
福井社長は「今回の社長交代は、今後のホンダの成長性、経済状況を鑑みてこの時期に踏み切った」と語る一方、先々も経営の継続性を考えるうえで、取締役として関わっていくと表明した。また企業の永続性を考慮すると、数年での経営陣の世代交代が必要だということも強調した。
福井社長は在任中に、ホンダジェットの事業化や、直近ではF1の完全撤退、新型インサイトの開発という、大きな決断を下してきただけに歴代社長の中でもインパクトは大きい。
また福井社長は会見中に「スーパーカブを超えるスーパーカブをつくりたかった」と寂しさとも取れるコメントを残すなど、まさに“ものつくりホンダ魂”を感じさせてくれる一面も見られた。
一方で、次期社長就任の伊東氏は、学生時代に航空物理学を専攻。就職活動中に同社の人事から「いずれホンダも飛行機を作るかもしれない」という一言と、元々本人がオートバイ好きだったという点から、真っ先にホンダへの入社を決めたというエピソードを披露した。さらに故本田宗一郎氏とNSXの開発中に、アルミボディの説明で会話を交えた貴重な経験も持っているという。
そんな伊東氏のホンダにかける想いは人一倍である。“時代を切り開く商品の開発”、“世界中のホンダ従業員の夢や志を高めること”、そして“この経済状況を打破できる新たなホンダの価値をお客様に提供していく”などの目標を掲げ、まずはお客様が望む商品とは何なのかということを、もう一度原点から見直していきたいとする考えを示した。
F1チームの売却先も現時点で買い手が見つかっておらず、ホンダの頭上には厚い雲が立ち込めているが、伊東氏はこの財政面を立て直して、再びモータースポーツに存分にチャレンジしていきたいと語った。
“熱いホンダ”を今後見ることができるのか。是非期待していきたい。
【お車の買い替えをご検討中の方へ】