autoc-one.jp 記事・レポート 自動車ニュース 三菱、車両運動統合制御システム「S-AWC」、自動変速マニュアルトランスミッション「Twin Clutch SST」技術発表会

自動車ニュース 2007/7/10 19:33

三菱、車両運動統合制御システム「S-AWC」、自動変速マニュアルトランスミッション「Twin Clutch SST」技術発表会

 三菱は、4輪の駆動力、制動力の制御を軸とした高度な車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」と、クラッチ操作を行わなくても通常のマニュアルトランスミッション以上の俊敏な変速を可能とする自動変速マニュアルトランスミッション「Twin Clutch SST(Sport Shift Transmission)」を新開発したと発表。次期ランサーエボリューションに搭載される予定とも発表した。

■「S-AWC」

1) システム概要
「S-AWC」は、三菱自動車独自の制御システムである「AYC」に新たにブレーキ制御を追加するとともに、「ACD」、「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」、「スポーツABS」全てを統合制御することで、通常走行から緊急回避時までの広範囲な走行状況で駆動性能、旋回性能、および安定性能を向上させる車両運動統合制御システムである。

2) ACD(Active Center Differential)
センターデフの差動制限装置に電子制御の油圧多板クラッチを採用して、走行状況に応じて前後輪の差動制限力をフリー状態から直結状態までコントロールすることで、前後輪へ伝達される駆動力を最適に配分し、操舵応答性とトラクション性能を高次元で両立させるシステムである。

3) AYC(Active Yaw Control)
リヤデファレンシャル内に設けた左右トルク移動機構によって、走行状況に応じて後輪左右のトルク差をコントロールすることで、車体に働くヨーモーメント(旋回力)を制御し、旋回性能を向上させるシステムである。また、左右輪間のスリップを抑制する制御により、LSD(Limited Slip Differential:リミテッド スリップ デファレンシャル)効果を発揮しトラクション性能も向上する。
「AYC」は、1996年8月に発売された『ランサー エボリューションIV』に世界で初めて採用され、2003年1月発売の『ランサー エボリューションVIII』では、デファレンシャル機構をベベルギヤ式から遊星ギヤ式に変更することで最大トルク移動量を約2倍に増大した「スーパーAYC」へ進化。更に今回、ヨーレイトセンサーを用いたヨーレイトフィードバック制御を採用するとともに、ブレーキ制御も追加することで、車両の旋回運動を的確に判断し、ドライバーの操作に対して、より忠実な車両挙動を実現する。

4) アクティブスタビリティコントロール(Active Stability Control)
各車輪のブレーキ力、およびエンジン出力を制御することにより,車両姿勢を安定させながら駆動力を確保するシステムである。4輪それぞれにブレーキ圧センサーを備えることで、より緻密で正確なブレーキ圧制御を可能とした。滑りやすい路面などで発生する駆動輪の空転を防止することで加速時の駆動性能を向上させるとともに、緊急回避時などの急激なハンドル操作によって生じる車両の横滑りを抑制して車両の安定性能を高める。

5) スポーツABS(Sport Anti-lock Brake System)
急ブレーキや滑りやすい路面でブレーキを踏んだときに車輪のロックを防止し、制動力・ステアリング操作性・車両安定性を維持するシステムである。今回新たに追加したヨーレイトセンサーやブレーキ圧センサーの情報を活用することで、旋回中の制御性能を向上させた。

6) S-AWC制御
「ACD」、「AYC」の制御に新たにエンジントルク、ブレーキ圧情報を用いることで車両の加減速状態を素早く判断。これによりレスポンスの良い制御を実現した。また、ヨーレイトセンサーを用いたヨーレイトフィードバック制御を新たに採用。ヨーレイトセンサーから得られる車両の状態と、ドライバーのステアリング操作から得られるドライバーの意図する車両挙動を比較演算し、その差に応じて制御するなど、ドライバーの操作により忠実な車両挙動を実現。さらに、「AYC」機能には、左右トルク移動制御に加え、新たにブレーキ制御を追加することで、限界走行領域付近での車両挙動もアシスト。アンダーステア時には旋回内輪に、オーバーステア時には旋回外輪にブレーキ力を付加することで,左右輪間のトルク移動制御と相まって高い旋回性能と安定性を実現する。
また、「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」「スポーツABS」との統合制御により、加速・減速・旋回のあらゆる走行状態においてシームレスで効果的な制御を実現する。「S-AWC」の制御は、乾いた舗装路での走行を想定した「TARMAC(ターマック)」、濡れた路面や未舗装路での走行を想定した「GRAVEL(グラベル)」、雪道での走行を想定した「SNOW(スノー)」の3つのモードを設定。路面状況に応じてモードを切り換えることで、各路面に応じた適切な制御を行い高い運動性能を発揮する。


■「Twin Clutch SST」

1) 基本構造
奇数(1、3、5速)段用クラッチと偶数(2、4、6速)段用クラッチの計2系統のクラッチを交互に切り換えることで、変速タイムラグの無い、素早い変速が可能となる。また、トルクコンバーターではなく、クラッチで動力を伝達するため、構造がシンプルで、動力損失も少なく伝達効率に優れているため、燃費の向上にもつながる。

2) ドライブモード
走行シーンに合わせ「Normal」「Sport」「S-Sport」の3つの変速プログラムが選択でき、街乗りから、ワインディング路走行まで幅広い走りに対応する。

a 「Normal」モード
市街地など通常の走行を想定したモードであり、比較的低回転で変速するため、変速も滑らかである、快適性や燃費を考慮した変速パターンとしている。
b 「Sport」モード
ワインディング路走行やエンジンブレーキが必要な場合を想定したモードであり、「Normal」モードと比べると、高回転で変速し、変速も速いため、ダイレクト感のある素早いアクセルレスポンスを実現する変速パターン。
c 「S-Sport」モード
「Sport」モードと比較し,より高いエンジン回転で変速し,更に素早い変速が可能な変速モード。

 VW車との違いはクラッチの配列で、こちらは冷却効能が良い並列になっており、耐久性や滑らかさにつながるとしている。

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