トヨタ、WECタイトル奪還に向けて好感触! ~ドライバーコメント公開~

小林可夢偉 選手と中嶋一貴 選手/トヨタ 2016年モータースポーツ体制発表会(マシンはTS040に今季のカラーリングを施したもの)
トヨタ 新型TS050 HYBRID

トヨタは2014年、『FIA 世界耐久選手権(WEC)』においてシリーズチャンピオンを獲得。翌・2015年は、苦いシリーズタイトル防衛シーズンとなった。優勝は344ポイントを獲得したポルシェ、2位にはアウディが264ポイントで入っており、トヨタは3位で、164ポイントと優勝したポルシェ(344ポイント)の半分以下の164ポイントという厳しい結果に終わっている。

2016年シーズンは新型「TS050 HYBRID」を投入!ドライバーラインナップに大きな変更はないが、小林可夢偉が加入し、中嶋一貴に加え日本人ドライバーは計2名となった。

チーム体制としては、TS050 HYBRID #5号車には、2014年のWECチャンピオンであるアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミに、ル・マン24時間レースでのポールポジション獲得ドライバーである中嶋一貴の3名が昨年に続きステアリングを握る。

#6号車は、ル・マン24時間レースで複数回にわたってポールポジションを獲得しているステファン・サラザンと、WEC・LMP2での勝利経験を持つマイク・コンウェイがドライブ。この2人に、F1での表彰台経験を持ち、昨年はテスト兼リザーブドライバーを努めていた小林可夢偉が加わる形となった。

トヨタは再びチャンピオンを奪還すべく2016年シーズンに臨む。

期待の若手「平川亮」がテストに参加

平川亮選手

また、今年はチームとして正式なテスト兼リザーブドライバーを設けていないが、若き日本人ドライバー、平川亮がチームの一員としてテストに参加した。

平川はトヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)のメンバーであり、日本のスーパーGTでの勝利経験を持つほか、全日本F3でのチャンピオンも獲得している。平川は今年、ティリエ・バイ・TDSレーシングより、LMP2カーで欧州ル・マンシリーズとル・マン24時間レースに出場する予定となっている。

チームには、何人かの新たな顔ぶれが加わり、TS050 HYBRIDのパフォーマンスと信頼性を高めるべく、絶え間ないテストが続けられている。テストの走行距離は、これまでに総計22.000kmとなり、有意義な結果を得ている。

2016年のWECシーズンは、4月17日(日)のシルバーストン6時間レースで幕を開ける。

ドライバーコメント

▼TS050 HYBRID #5号車

■中嶋一貴

「新型TS050 HYBRIDでの2016年シーズン開幕を、昨年の早い時期から楽しみにしていたので、ついにそれが叶い、嬉しいです。昨年は厳しいシーズンでしたが、それが我々に、雪辱という意欲を増してくれました。全く新しいパワートレインを搭載する新型のTS050 HYBRIDを紹介することが、我々の今季に臨む意欲を示してくれるでしょう。TS050 HYBRIDは新しいエンジンとハイブリッド・システムにより、明らかに速くなったことが感じられます。8MJに対応したハイパワー型リチウムイオン電池によるブーストが利いている間の加速は本当に印象的で、今季への期待を高めてくれます。我々とチームの士気は非常に高く、開幕戦へ向け全員がハードに作業を続けています。今季は何戦かで勝ちたいと思っていますし、それが目標です。」

中嶋一貴選手

■アンソニー・デビッドソン

「シーズン開幕はいつもエキサイティングなものですが、特に新しいTS050 HYBRIDと共に迎えられる今シーズンは楽しみです。昨年は残念な結果となってしまいましたが、今年こそは力強く、2014年シーズン以上の競争力で戦えることを望んでいます。もちろん、ライバルも強力であり、それは易しいことではありません。しかし、我々は全力で、信頼性とパフォーマンス向上に努めていきます。我々はそれぞれの役割を果たし、可能な限り早く進化を続け、新型TS050 HYBRIDのパフォーマンスをフルに引き出すために集中しています。TS050 HYBRIDには感銘を受けました。ターボエンジン特有のサウンドや、新しい8MJに対応したリチウムイオン電池を採用したシステムは大きな進化でした。ドライバー全員がその進化と、昨年足りなかったものを実感しています。実際のレースでこれを試す日が待ち切れません。」

アンソニー・デビッドソン選手

■セバスチャン・ブエミ

「シーズンのスタートへ向け、やる気に満ちています。我々は本当にハードな作業をしてきましたが、それは確実にラップタイムに反映されています。新しいTS050 HYBRIDは間違いなく大きく前進しています。我々のシャシーはいつも非常に競争力が高いですが、それをさらに向上させるべく努力してきました。しかし、今回の大きな向上はパワートレインです。間違いなく我々は新しいエンジンとハイブリッド・システムに多くの労力をつぎ込んできました。そしてその努力は結果として現れています。東富士とケルンのスタッフによるハードワークに感謝しています。彼らの最適化開発は今も続けられています。ライバルとのパフォーマンスにおける位置関係は、シルバーストンで走り始めるまで全く予想は出来ませんが、我々の目標は明確で、表彰台の中央に戻ることです。」

セバスチャン・ブエミ選手

▼TS050 HYBRID #6号車

■小林可夢偉

「新しいTS050 HYBRIDが気に入りました。大きな向上があり、今シーズンへ期待が高まります。特に、新しいターボエンジンと8MJに対応したリチウムイオン電池によるハイブリッド・システムのパワートレインは素晴らしく、ドライブするのは最高です。もちろん、このような新しいパッケージを採用するのは常に挑戦ですが、我々は努力を続け、最大のパフォーマンスと信頼性を得なくてはなりません。今季は私にとって新しい経験となります。過去にWECのシーズンを戦ったことはありますが、それはGTクラスであり、LMP1カーは全く別物なので、新たに学んでいかなくてはなりません。ステファン、マイクと共に#6号車の一員になれて嬉しいです。彼らは素晴らしいドライバーで、多くの経験を持っています。私の目標は今季、良いパフォーマンスを見せ、もちろん勝つことです。シルバーストンでスタートを切るのが待ち切れません。」

小林可夢偉選手

■ステファン・サラザン

「シーズン到来が本当に楽しみです。チームと共に多くのテストを行い、信頼性とシーズンへ向けたTS050 HYBRIDのセットアップを懸命にこなしてきました。まずプロローグのテストで、ライバルのアウディやポルシェがこの冬の間に何をしてきたかが明らかになるので、興味深いことになるでしょう。もちろん、我々が良いパフォーマンスを示し、開幕戦シルバーストンで彼らとの戦いに加われることを望んでいます。TS050 HYBRIDの第一印象は非常に良いものでした。全ての箇所で大きな進歩が遂げられていることは確かですが、特にパワートレインで顕著でした。リチウムイオン電池での8MJシステムのブーストは本当に驚くべきもので、我々にとって大きな力となるでしょう。我々はシーズン開幕への準備で忙しい期間を過ごしていますが、スタートは良い状況で、上位争いが出来ると思います。」

ステファン・サラザン選手

■マイク・コンウェイ

「今シーズンに大きな期待を持っており、目標は再びレースで勝つことです。可夢偉をチームメイトに迎えるのは嬉しいです。彼とはテストで一緒に走っていましたが、本当に速く、我々には戦う準備が出来ています。チームとして我々はこの冬の期間、良い進歩を遂げており、新しいTS050 HYBRIDも最高です。8MJに対応したハイブリッド・システムによる進化は驚くべきもので、昨年の雪辱を果たせるはずです。TS050 HYBRIDを全ての面で進化させるべく、チームは全員で大変な努力をしてきました。それだけに我々は、再びトップ争いが出来ると大きな期待を持っています。現時点でライバルとの比較を語るのは困難ですが、我々は間違いなく大きな進化を遂げました。」

マイク・コンウェイ選手

各コメント

■佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racingチーム代表

「今年、TOYOTA GAZOO Racingは新たなパワートレインコンセプトを含む、全く新しい車両を投入します。我々にとって非常にエキサイティングなシーズンになると思いますし、今回の変更は、現在の市販車のトレンドも反映していることから、さらにノウハウや技術をトヨタの市販車開発に活かすチャンスが得られると思います。我々のWEC活動は技術と人を育てる事にあり、これまでにもその結果が市販車に活かされています。しかし、トヨタはもっといいクルマづくりと同様、勝利を望んでいます。残念な結果となった2015年シーズンの後、我々の明確な目標は、再びシリーズで上位を争うことです。東富士とケルンでは今シーズンに向け多大な努力が続けられ、スタッフ全員が非常に高い意欲で再び表彰台の中心に立つべく努力を続けています。」

■村田久武 レーシングハイブリッド・プロジェクトリーダー

「今シーズンのレギュレーションでは、燃料流量と燃料の総エネルギー量が約7.5パーセント削減されます。モータースポーツのエンジニアとして、我々は常にパワートレインのパフォーマンス向上を望んでいます。そのため、より一層パワフルで効率的なパワートレインで対応することが重要でした。我々はV型6気筒直噴ツインターボガソリンエンジンこそが、新たなレギュレーションにおいて最もパワーと効率のバランスが良いと信じています。8MJを選択したハイブリッド・システムとの組み合わせは、これまでのパワートレインと比較しても際だって大きなトルクの向上を与えてくれるはずで、それこそが新型車両のキーとなる目標です。新しいパワートレインによって特に重量軽減と冷却の面でいくつかのチャレンジが課されました。しかし、東富士とケルンのチームスタッフは非常にハードな努力でこれに取り組み、対応出来たと信じています。我々は昨年同様、厳しい戦いに臨みますが、準備は出来ており、開幕戦のシルバーストンが待ちきれません。」

■パスカル・バセロン テクニカル・ディレクター

「これまでの知見を活かしながら、前年に先行投入された一部を除き、ほぼ全てのパートを変更しました。パワートレインや空力をはじめとする多くの箇所でコンセプト自体が変わりました。空力コンセプトについては、特に車両前部が大きく変わりました。我々は膨大な時間を新たなコンセプト開発に費やし、さらに改良を続けました。フロントのダウンフォースを生みだす構造によって後方の空気の流れも大きく変わりました。パッケージ面で全く新しいアイデアを導入することによりレベルアップが難しい近年のWECにおいても大きな進歩を遂げられたと思っています。TS050 HYBRIDはこうした基盤の上に開発されました。我々はライバルと競い合えることを望んでいます。それは我々が設定した最低限の目標です。バトルに加わり、その上でライバルを上回ることが目標です。」

■ロブ・ロイペン TOYOTA GAZOO Racingチーム・ディレクター

「チームは本当にハードにTS050 HYBRIDの開発に取り組んできました。それは関係部署間の密接な協力の結果でもあります。ケルンでの研究開発における我々の革新的なモータースポーツ技術は、もっといいクルマづくりへの技術開発へ貢献しています。TMGにおいてモータースポーツという試練の場で新たな技術を学ぶべく、日本から加わるスタッフを我々は歓迎しています。チームとしてケルンと東富士での技術交換がさらに活発になって行くことはとても良いことです。ドライバーラインアップも含め、新たな若いスタッフを加えて、厳しいシーズンだった2015年シーズンの雪辱を果たします。テストからチーム全員がハードな作業を続けています。さらに長い道のりになるでしょうが、今年こそは高い競争力を示せると思います。」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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