「第2回 JARI先進自動車シンポジウム」開催

ホンダ新型「クラリティ フューエル セル」

JARI(一般財団法人日本自動車研究所)は、3月25日に「FCV量産化と水素エネルギーがもたらす循環型社会とは」 のシンポジウムを開催する。

2015年より国内大手自動車メーカが市場投入をはじめ、いよいよ普及に向け本格始動した燃料電池自動車(FCV)。国内初プロトタイプFCVが誕生したのは、地球温暖化や化石燃料枯渇の危機感が高まり、環境負荷の低い次世代自動車が世界的に求められた1990年代だった。それからわずか四半世紀でFCVはR&Dのフェーズから量産化の時代を迎えたが、それは一つの通過点に過ぎず、今その先にFCVの燃料である水素エネルギーと共に歩む循環型社会が描かれ始めている。

水素は、製造方法の多様性、エネルギー密度の大きさや、電気と違い貯蔵できるという特性から災害時のエネルギー源としても有望視されている。東京都は2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、水素エネルギーを活用した「水素社会」を現実のものにすると宣言した。

しかし、水素社会実現には、技術課題への対応に加え、安全に関わる法規制の理解促進、市場要請の把握や、社会の受容性を高める必要がある。また、これからの視点は産業界からマーケット側へ移りつつあり、既存のエネルギーや技術の中にどう生かすかなど、水素エネルギーに関わる幅広い関係者と慎重な議論を重ねていくことが必要とされている。

JARIは、国産FCVが誕生した1990年代より実証試験、研究を通してFCV実用化のための技術開発に貢献してきた。FCVや燃料電池、水素エネルギーに関係する組織や団体は多岐に渡り、かつ関心も高いため、我々はその取組みを幅広く社会へ発信する役割も担っていると認識している。

このような背景から、今回、最新のFCV・水素エネルギー技術動向や取組みを紹介する講演と、水素社会実現のための課題を議論するパネルディスカッションから成るシンポジウムを開催。同シンポジウムでは、技術動向のみならず、マーケット側の視点で水素の強み、水素導入の本質的意義を考える。

プログラム

13:00 開会

1.基調講演(13:10~13:30)

「水素社会の実現に向けた取組み」

経済産業省 資源エネルギー庁新エネルギー対策課 燃料電池推進室 室長 戸邉 千広 氏

国が平成26年6月に策定し、水素社会の実現に向けた道筋と必要な取組みを示した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を中心に、最近の動向について説明する。

2.講演Ⅰ「水素がもたらす循環型社会」(13:30~14:30)

(1)水素社会実現を目指して ~サプライチェーンのグローバル化と地域との連携~

東京工業大学 ソリューション研究機構 特命教授 岡崎 健 氏

昨年発足した、将来の水素利用体系に関する総合的かつ技術的な検討を産学官が連携して推進する「東工大グローバル水素エネルギーコンソーシアム」を紹介。将来の大量水素導入に向けて必要とされる、海外の未利用エネルギーを水素に変換・輸送するサプライチェーン構築、国内の水素利用技術、利用体系等、技術的側面に重点をおくと共に、国際的な連携、グローバルな視点で水素社会を検討する取組みについて説明する。

(2)水素エネルギーサプライチェーンの実現に向けた川崎重工の取組み

川崎重工業(株)技術開発本部 水素チェーン開発センター 副センター長/理事 西村 元彦 氏

川崎重工が提唱する水素エネルギーサプライチェーンを構成する大量の水素を、安価に、安定的に、そして安全に「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」ための様々な技術開発の取組みを紹介する。

(3)水素社会に向けたイワタニの取組み

岩谷産業(株)水素エネルギー部 シニアマネージャー 藤本 守之 氏

イワタニは、研究開発から製造・供給・物流までトータルで担う強みで、来るべき水素エネルギー社会の基盤整備に貢献。水素の大量消費時代を見据えて、液化水素のアドバンテージを追求するイワタニの液化水素サプライチェーンの取組み等を紹介する。

3.講演II「FCVが目指す新しいクルマ社会」(14:45~15:45)

(1)燃料電池自動車開発と水素社会に向けて

(株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター 上席研究員 齊藤 信広 氏

燃料電池自動車が創り出す、クルマ社会の未来に向けたモビリティの広がりや「つくる・つかう・つながる」のコンセプトを中心とした水素エネルギー活用のあり方など、水素社会の実現に向けたホンダの取組みを「CLARITY FUEL CELL」の技術紹介を交えて紹介する。

(2)GMにおける燃料電池自動車開発

ゼネラルモーターズ・ジャパン(株)コミュニケーションズ/R&Dサイエンスオフィス ディレクター ジョージ・ハンセン 氏

GMにおける次世代自動車展開の中でのFCVの位置付けと、将来に向けた燃料電池システムのコスト削減戦略、そして米国カリフォルニア州における水素供給インフラ整備の動向と課題についてのお話。

(3)燃料電池自動車の安全・安心に関わるJARIの取組み

(一財)日本自動車研究所 FC・EV研究部 安全研究グループ グループ長 田村 陽介氏

JARIが保有する、世界で唯一の屋内耐爆火災試験設備Hy-SEFでの研究を紹介。JARIにおけるFCVに関わる研究は、規格・基準化に関する課題が主でしたがFCV量産化に入った今、課題は、事故時・事故後の安全な対応方法や廃車やクズ化に変化しつつある。本講演では、火災時や鎮火後及び水素漏洩時に関わる対応方法について、実験映像を交えながら紹介する。

4.パネルディスカッション(16:00~17:00)

「水素社会実現のためのオールジャパンの取組み」

国は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催エリアを中心に水素技術に関する実証を検討しており、いよいよオールジャパンによる、水素社会/街づくりが描かれ始めようとしている。「燃料電池とは何か~水素エネルギーが拓く新世紀」の著者であり、15年以上前より、燃料電池の開発現場から、エネルギーの民主化に向けて大きく胎動する世界の最前線をレポートしてきた清水和夫氏をコーディネータに迎え、FCV・水素エネルギーエキスパートのパネラーと共に、水素社会実現に向けたリアルな思いを大いに語る。

コーディネーター:国際自動車ジャーナリスト 清水 和夫 氏

パネラー:岡崎 健 氏:東京工業大学/西村 元彦 氏:川崎重工業(株) /藤本 守之 氏:岩谷産業(株) /齊藤 信広 氏:(株)本田技術研究所/ジョージ・ハンセン 氏:ゼネラルモーターズ・ジャパン(株)/赤井 泉明 氏:日本自動車研究所 FC・EV研究部 部長

技術交流会(17:15~19:00)

開催概要

日時:2016年3月25日(金)

【シンポジウム】13:00~17:00

【技術交流会】17:15~19:00

場所:目黒雅叙園(3階 シリウス) 〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1

定員:200名(定員になり次第締切)

参加費(消費税込)・支払い方法:

【シンポジウム参加費】賛助会員:8,000円/一般:13,000円/学生:3,000円(消費税込)・銀行振り込み

【技術交流会】賛助会員/一般/学生とも:2,000円・事前申し込みのうえ、当日現金にて支払い

◎申込みはこちらから

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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