井原慶子、世界選手権レースで女性初の表彰台を獲得
母国日本で魅せた!女性初の快挙達成!
今季ル・マンシリーズ(ヨーロピアン・ル・マンシリーズ:ELMS、アジアン・ル・マンシリーズ:AsLMS)および「ル・マン24時間」を含む世界耐久選手権(WEC)に参戦しているレーシングドライバー井原慶子は10月12日、静岡県の富士スピードウェイで開催された『WEC第5戦 富士6時間耐久レース』に出場し、世界で女性初となる3位表彰台を獲得した。
最後尾から追い上げ3位表彰台を獲得
井原の所属するオーク・レーシングチームの「#35モーガン・ジャッド」のマシンは、土曜日に行われた予選でLMP(ル・マン・プロトタイプ)2クラスの2番手タイムを記録した。しかし、セッション後の再車検で規定外の部品を誤って使用していたことが判明し、最後尾27番グリッドからのスタートとなった。
日曜日の午前11時にグリーンシグナルが点灯された決勝レース。チームメイトのグスターボ・ヤカマンとアレックス・ブランドルがセッションの前半を担当し、クラス4位、総合12位まで順位を上げた。レース開始からおよそ3時間半が経過した午後2時20分、ブランドルがピットイン。バトンタッチした井原は安定した走りでクラス3位にポジションを上げ約1時間半、2スティントをドライブの後、残りの1時間半をヤカマンに託した。
#35はピットストップ中に先行を許したライバルのマシンを果敢に追い上げ、ゴールまで1時間を切ったところで再び3位に順位を上げることに成功した。その後は、燃料補給のためのピットインを予定通りにこなし午後5時、6時間耐久レースのゴールを総合9位、クラス3位で迎えた。
念願だった世界選手権レースでの表彰台獲得を果たし、井原は「母国ラウンドで表彰台に上れるのは格別です!女性ドライバーにとっては、トップカテゴリーのマシンは体力的に厳しいですが、OAKレーシングのスタッフや日本の皆さんの温かい声援が追い風になり、ついにWECの表彰台に上ることができました。これまでサポートしてくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。8月のアジアン・ル・マンの総合優勝から連続表彰台できているので、次回参戦するWECのバーレーン戦では表彰台の頂点を目指したいと思います」と語っている。
女性のための環境づくりにも注力
FIA(世界自動車連盟)の主催する「Women in motorsport」委員の井原は、レースに先立ち10月11日(土)の予選後に開催された「Women in motorsportトークショー」にも登壇し、日本をはじめアジアでも女性がモータースポーツで活躍しやすい環境づくりに向けた抱負を語った。
また、9月に日本政府の主導で行われた“World Assembly for Women in Tokyo: WAW! Tokyo 2014”と題した女性の社会進出を考える国際会議では、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事と会談。夕刻に行われたレセプションでは、安倍首相に「Women in motorsport」の活動を報告した。
Women in motorsportトークショーの井原コメント
「女性レーサーのみならず、競技運営の要であるオフィシャルやボランティア、メカニック、エンジニアそしてチーム監督など、モータースポーツや自動車産業に関わるあらゆる職種で女性が活躍できる環境作りに貢献していきたいと思います。世界が刻々と変わる今、国も企業も個人も新しいことに挑戦してアイディアを生み出し、発展していく必要があると強く感じています。新しいアイディアとは、多様性から生まれるもの。性別も多様性においては重要なポイントです。今まで世界50か国をレースで転戦してきて、性別、国籍、年齢などさまざまな壁がありましたが、立場や価値観の違いがありながらも協力して挑戦すると、素晴らしい成果を達成できることを体感してきました。多様な人が協力しながら働けることを日常の風景とさせるために、先ずは女性の力を最大限に発揮できる社会作りに貢献できればと思います。」
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