王者アウディ、ル・マン24時間5連覇なるか -ついに開幕-

過去最高の燃費性能を武器に2014年のル・マンを闘う

アウディ「新型Audi R18 e-tron quattro」/2014 ル・マン24時間レース
アウディ/2014 ル・マン24時間レースアウディ「新型Audi R18 e-tron quattro」/2014 ル・マン24時間レース

アウディは、世界でもっとも過酷なレースといわれる『ル・マン24時間レース』に1999年以来参戦し続けている。速さ、耐久性、燃費など自動車の総合力が試されるこのレースで、12回もの優勝を果たしている。2012年には、「Audi R18 e-tron quattro」を投入。ハイブリッドマシンで優勝という史上初の快挙を成し遂げた。そして2013年も同マシンにより、史上2回目の優勝を獲得した。

アウディ16回目の挑戦となる今年のル・マン24時間レースは、これまでになく厳しい課題に挑戦することになる。大会レギュレーションにより、他の参加車比で最大30%の低燃費化が求められるという厳しい状況ではあるが、2014年のマシンはこれまでの「Audi R18 e-tron quattro」の中で最も軽量かつ、高い燃費性能を実現している。これを武器にアウディは13回目の総合優勝獲得に向け6月14~15日に開催されるル・マン24時間レースに挑む。

6月1日に行われた公式テストを経て、アウディは完璧な事前準備を整えている。『第82回ル・マン24時間レース』が始まる6月14日の15時、その経験と実力を駆使してレース展開を描くアウディが必要とするものは運だけだろう。

レースの模様は、ユーロスポーツが24時間連続で放映。また、www.audi-motorsport.comでは、「Audi R18 e-tron quattro」のコクピットの模様のほか、多様なテレメトリーデータを見ることができる。

マシンのあれこれ

アウディ「新型Audi R18 e-tron quattro」/2014 ル・マン24時間レース

アウディは、ウルトラテクノロジーを駆使し、優れた燃費性能を実現し続けている。2001年から採用のTFSI(直噴ガソリン)エンジンは、ル・マンでの燃費を格段に向上させ、その成果は市販モデルに反映された。

2006年からセンセーショナルなTDI(直噴ディーゼル)エンジンを採用し、5回の総合優勝を獲得。そして2012年に登場したディーゼルハイブリッドモデルの「Audi R18 e-tron quattro」は、ル・マン不敗記録を更新している。

2014年から、レギュレーションによる燃費規制のクリアが大きな課題となる。抜本的に書き換えられた新しいレギュレーションは、最大30%におよぶ大幅な燃費性能向上を求めているが、これにより優れた燃費性能のマシンに、より多くの負担がかかっているのが事実である。

アウディはこの課題を克服するために2014年モデルを根本から一新。パワートレインは、誕生から25年目となるアウディTDIエンジンが、今年は4リッターV6ユニットとなった。このエンジン単体でも優れた燃費性能を持っているが、エアロダイナミクスなど他の部分と連繋することで、さらなる低燃費を実現する。

ちなみに2006年に「Audi R10 TDI」に搭載された5.5リッターV12エンジンと比較すると、レース中の平均燃費がおよそ40%も向上。

また新型マシンには、驚異的な視認性を生み出す独創的な技術アウディレーザーライトを含む、革新的な技術が数多く搭載されている。

燃費に関して具体的には、今年のル・マンで「Audi R18 e-tron quattro」が消費できるエネルギーは、1ラップあたり138.7メガジュールとなる。これは、ガソリンエンジンを使用するトヨタやポルシェのエンジンに対し、100km走行あたり6.16リッターも少ない燃料しか使えないことを意味している。

セフティカーピリオドの時間が短かった2012年のケースをベースに、トップ車両が24時間で378ラップすると考えると、「Audi R18 e-tron quattro」は、ガソリンエンジン搭載車より317.52リッターも少ない燃料で走らなければならない。

多くの状況が重なり合い、ル・マンはますます厳しくなっている。複雑なルールの数々が、多くのテクニカルコンセプトを生み出した。使用出来る燃料の量、ピットストップのインターバル、燃料タンク容量などをコントロールすることで、レギュレーションは“技術的な均衡”を図っている。

注目のドライバーラインナップ

アウディ「新型Audi R18 e-tron quattro」/2014 ル・マン24時間レース

2014年のゼッケン1号車の「Audi R18 e-tron quattro」は、昨年の優勝者であるロイックデュバル(フランス)、トムクリステンセン(デンマーク)の2人と、ルーカスディグラッシ(ブラジル)のトリオがドライブ。

ゼッケン2号車は、2011年および2012年に獲得した栄光を再び手にしようと意気込むマルセルファスラー/アンドレロッテラー/ブノワトレルイエ(スイス/ドイツ/フランス)がドライブ。

そしてゼッケン3号車は、ル・マン初出場のフィリップアルバカーキー(ポルトガル)が、ル・マン表彰台獲得経験者のマルコ ボナノミ(イタリア)、オリバー ジャービス(イギリス)とトリオを組んでドライブする。

Dr. ウォルフガング ウルリッヒ氏のコメント(アウディモータースポーツ代表)

「LMP1Hクラスに3メーカーが競合する状況となり、闘いの熾烈さが間違いなく上がっています。チャレンジングな要素は年を追うごとに増え、過酷さが減少することはありません。競合車との闘いだけでなく、レース自体との闘いが厳しさを増しています。ここ数年、我々のマシンは速さでは決してトップではないものの、総合優勝を獲得してきました。その経験を活かし、レースでは何が必要かを明確に分かっています。完璧なレース運びでスピードと耐久性の両面を発揮し、総合優勝獲得を目指します」

ラルフ ユットナー 氏のコメント(アウディスポーツ チームヨースト監督)

「今年のル・マン24時間レースは、わずかなミスも許されないレースです。レギュレーションにより競合車間のパフォーマンスが調整されるため、ラップタイムが均衡しています。しかし、それだけではありません。我々の使命は3-4時間ものスティントを走るドライバーに、最高のパフォーマンスを発揮し続けても疲れないマシンを提供することです。それが、結果的にレースでの勝利を導きます。そのために、チームは最高のセットアップをしなければなりません。我々は、ノーミスに向けたマネジメントを行う時点ですでに闘いの渦中にいます。今年も総合優勝を目指します」

トム クリステンセン選手による、ル・マンのコース解説♪

「ル・マンのコースを簡潔に表現することは不可能です。比較的低速のホームストレート前のシケイン、ユーノディエール、ハイスピードなインディアナポリスやポルシェカーブ、1速までシフトダウンするミュルサンヌとアルナージュの2つのコーナーなど、13.6kmの至る所に、チャレンジングな場所がたくさんあります。車速が300km/hを越えるセクションは4ヶ所もあります。高速サーキットで4クラスが混走するため、常に渋滞が発生します。しかも、レース用に常設された路面は一部しかありません。ほとんどを占める一般公道部分の路面は、通常のサーキットとは大きく異なり、他に類をみない魅力溢れるコースです」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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