「自動運転」って本当に実現出来るの?~清水和夫氏に聞く~【前編】(2/2)

世界における「自動運転」の動向・・・積極的な欧米に比べ、日本は遅れている

編集部:グーグルが自動運転に積極的ですが、世界ではどう動いているのでしょうか。

自動車評論家の清水和夫氏

清水:アメリカのIT企業は自動運転とロボット技術を同列にイメージし、将来のOSなどのデファクトを取りたいのかもしれません。グーグルの狙いは、たぶんクルマを作ることではなくもっと他に狙いがあると思いますが、詳しくはわかりません。すくなくとも、クルマを作るのは自動車メーカーであり、IT企業ではないのですね。

編集部:海外メーカーはどう動いてるのですか?

フォルクスワーゲンの「Intelligent CAR」は高速道路において半自動運転が可能

清水:欧米のメジャーなメーカーはむしろ日本よりも積極的ですでにレベル2のクルマはどんどん市販されています。アメリカは自動車メーカーと大学の連携が積極的で、欧州、とくにドイツではメガサプライヤーがこの技術を牽引しています。

編集部:日本はどうですか?

清水:私見ですが、遅れています。ドイツやアメリカのような産学連携が弱いし、サプライヤーは多く存在しますが、横の連携がとれていません。

編集部:産業界の横串と、行政の横串が必要なのですね。

清水:それができないと、この領域の技術やシステムで欧米と戦うことはできないと思います。チームジャパンがないとサッカーみたいになってしまいそうです(笑)。

編集部:今後、ITがリードするのですね。

清水:センサーやCPUの領域、ビッグデータの扱いではハイテクが中心ですが、冷静に考えてみてください。コンピューターが運転しようと人間が運転しようと、サスペンションやブレーキはエンジンは普遍的です。ですから、人間の筋肉に相当するハードウェアの領域も進化させる必要があります。

編集部:筋肉とセンサーと頭脳がセットで進化するのですね。

清水:はい、つまりクルマを丸ごと進化させるわけですから、自動運転はクルマの正常進化なのですね。

編集部:なるほど、わかりました。自動運転はまだドライバーは必要なのですね。少し残念です。自動でどこでも行けるといいのに!と思ったので。

清水:そうですか(笑)。でもドライバーが要らなくて運転をしなくても良くなったのなら、それはクルマとは呼べないですし、無人のモノレールとかそういう乗り物に近くになりますよね。

編集部:確かにそうですね(笑)。でも、自動運転だとかえって退屈だし、クルマの愉しみが無くなりそうです。清水さんはどう考えておられますか?

清水:実はそこが本命の議論なのですが、詳しくは次回に話しましょう。

(後編へと続く)

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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