ダイハツ 新型ムーヴ/ムーヴカスタム(2012年ビッグマイナーチェンジ) 新型車解説(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:ダイハツ工業株式会社
新型ムーヴでは、衝突回避支援システムが「安価に」装備できることが大きなメリット
次は、衝突回避支援システム「スマートアシスト」だ。
従来型にも、ムーヴカスタムに衝突回避を支援するプリクラッシュセーフティシステムをオプション設定していたものの、31.5万円と高価だった。
レーザーレーダー方式ではあるが、検知距離を伸ばしてカメラも併用。車間距離制御機能を備えたクルーズコントロール、車線逸脱の警報機能など多くの機能を備えていたからだ。横滑り防止装置もセットされたが、軽自動車に30万円を超えるセットオプションというのは現実的ではない。
そこで、今回のニューモデルでは新たに「スマートアシスト」が採用された。スマートアシストは、ムーヴの特定グレードに標準設定されており、例えば「X」グレード(1,200,000円)のスマートアシスト搭載車「X・SA」グレードは、5万円高となる「1,250,000円」。スマートアシストには、オプション価格が3~6万円に達する「VSC(横滑り防止装置)」も含まれているので、かなり割安だ。
「衝突回避」「誤発進抑制」「先行車発進お知らせ」に加えて「VSC」まで付いたスマートアシストは実にお買い得!
「スマートアシスト」は市街地走行における安全性の向上が目的で、時速4~30kmではレーザーレーダーが前方の車両を認識。衝突の危険が迫ると、ブザーとメーター内のインジケーター表示でドライバーに警報を発する(低速域衝突回避支援ブレーキ機能)。
それでもドライバーが回避操作をとらず、衝突の危険性が高くなった時には、自動的に緊急ブレーキが作動。時速20~30kmでは自動的な減速によって衝突の被害を軽減し、相手車両との速度差が時速20km以下ならば衝突回避も可能だ。
また、レーザーレーダーを活用した機能として、アクセルとブレーキペダルの踏み間違いなどに基づく誤発進を抑制する機能にも注目したい(誤発進抑制制御機能)。
停車中、または時速10km以下で徐行している時、前方4m以内に壁などの障害物があるにもかかわらず過度にアクセルを踏み込むと、ブザーとメーター内の表示でドライバーに警報を発する。エンジン出力を抑えて発進を緩やかにすることで、壁や建物に衝突する事故を防いでくれる。
さらに、先行車の発進も知らせてくれる機能(先行車発進お知らせ機能)が便利だ。信号待ちや渋滞中、先行車が発進したのに自車が停止したままの状態が続くと、ブザーやメーター内の表示が作動してドライバーへ知らせてくれる仕組みだ。
「スマートアシスト」の低速域における衝突回避支援システムと同様の機能は、フォルクスワーゲン up!の「シティエマージェンシーブレーキ」、マツダ CX-5やアテンザの「スマートシティブレーキサポート」が挙げられる。
ムーヴの「スマートアシスト」は、スバルのアイサイトなどと違って時速30kmを超える速度域では作動しないが、前述のようにVSC付で5万円と安価に抑えたことがメリット。軽自動車は市街地の移動に使われるケースが多く、装着する価値は高いだろう。
このほかの安全装備では、最上級のカスタムRSにセーフティパックとしてVSCとサイド&カーテンエアバッグを10.5万円でオプション設定することができるが、代わりにカスタムRSでは「スマートアシスト」は選択できない。逆に、カスタムRS以外のグレードにサイド&カーテンエアバッグは用意されない。
せめて「スマートアシスト」を備えたグレードには、サイド&カーテンエアバッグもオプション設定できるようにして欲しい。
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