日産 新型リーフ 電費(燃費)レポート|航続距離はどこまで伸びたのか、2代目リーフを街乗りから高速道路まで徹底検証!(5/6)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:小林 岳夫・茂呂 幸正・永田 恵一
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日産 新型リーフの総合実燃費(燃費):7.9km/kWh

日産 新型リーフ実電費|総合平均
バッテリー容量実電費航続可能距離(計算値)

新型リーフ

40kWh

7.9km/kWh

316km/kWh

初代リーフ

30kWh

8.0km/kWh

240km/kWh

EVのパイオニアに相応しい進化や成長を強く願う

新型リーフは航続距離の延長や動力性能の向上に加え、プロパイロットとe-ペダルの採用などにより7年振りのフルモデルチェンジに相応しい期待通りの進化を果たしていた。

その一方で、スペックやカタログを見て想像できる以外の想定外の進化や驚きはなかったというのも率直な印象だ。しかし、それこそが正常進化であり、電気自動車が普及する時期になってきたという時代の変化の象徴なのかもしれない。

ただ新型リーフは、ぜひ装着したいプロパイロットやLEDヘッドライトを付けると、中間のXグレードでも40万円の補助金を差し引いても車両価格は340万円ほど。まだ途上にある電気自動車であるのを加味しても決して安い車ではなく、この価格帯は強力なライバル車も非常に多い。このあたりを考えると、ダッシュボードの質感がライバル車に見劣りするのもちょっと不満だ。

思えば先代リーフが登場直後に東日本大震災による電力不足に逢ってしまったが、新型リーフ登場のタイミングで日産の完成検査不正問題が発覚し、今回は出鼻をくじかれてしまった感は否めない。しかし、スポーツグレードの“ニスモ”やバッテリー60kWh仕様(価格が気になるところだが)の追加に加え、先代リーフが壊滅的となっている中古車価格の維持なども含めて、車そのものというハードウェアだけでない量産電気自動車のパイオニアに相応しい進化や成長を強く願いたい。

日産 リーフとは

デビューから約7年ぶりでフルモデルチェンジ

日産リーフは初代モデルが世界初となる量産電気自動車として、2010年12月に登場した。車格としては日本車ではホンダ シビックやマツダ アクセラ、スバル インプレッサ、輸入車ではVW ゴルフやボルボ V40といった競合が揃う。欧州流に表現すると世界的に激戦区となっているCセグメントに属する。

電気自動車の普及という大きな役割を果たした初代リーフは、登場から5年後の2015年12月に世界累計販売台数20万台を達成。途中2回のマイナーチェンジで各部の改良、バッテリー容量を登場時の24kWhに加え、大容量の30kWh仕様の追加による航続距離の延長、自立自動ブレーキの設定といった安全装備の拡充を行ってきた。

その初代リーフも登場から約7年が経ち、2017年9月に2代目モデルにフルモデルチェンジを果たした。

2代目モデルとなる新型リーフは、車の土台となるプラットホームは初代モデルを改良したものを使い、車格も初代モデルと同じCセグメントという意味ではキープコンセプトでのフルモデルチェンジなのは事実だ。しかし、エンジン車に比べればまた新しい分野の車だけに、スタイルが初代モデルから大きく変わった以上に各部は劇的な改良が施され、大きな進歩を実現している。

新型リーフ最大の進化ポイントはバッテリー容量の増加

まず最大の進歩といえるのが、床下に積む充放電性能に優れるリチウムイオンバッテリーの容量を、初代モデルで最大だった30kWhの三分の一増しとなる40kWhとし、一充電の航続距離を公表値で280kmから400kmに伸ばしたことだ。バッテリー容量が40kWhとなったため充電時間は、先代モデルの30kWh仕様の200V充電(1時間あたりに充電される電気の量はおおよそ3kWh)で、バッテリー残量警告灯が点いてから満充電まで11時間、バッテリー残量警告灯が点いてからの急速充電だと80%充電まで30分必要だったのに対し、新型リーフはそれぞれ16時間、40分と長くなっている。

200V充電には関しては、充電時間短縮のため装置そのものや電力の契約といった充電装置側と車側の変更も必要となるが、新型リーフは1時間あたり3kWhの倍となる6kwhでの200V充電にも対応しており、6kWhでの200V充電であればバッテリー残量警告灯が点いてから満充電までの時間は16時間から8時間に短縮される(車側の6kWh充電器はメーカーオプションで10万8000円)。

遅れてハイパフォーマンスな60kWh版も追加か

さらにバッテリー容量といえば、新型リーフには2018年にバッテリー容量とモーター出力をさらに増やしたハイパフォーマンスモデルの追加も公表されている。バッテリー容量は60kWhという噂で、航続距離は公表値で600kmくらいだろうか。

ちなみに初代リーフの標準車のバッテリー容量は24kWhだったが、新型リーフも床下のバッテリーを積むスペースはプラットホームが同じであるため初代リーフとほとんど変わらない。このことを考えると、新型リーフのバッテリー容量40kWh仕様に対しては、それほど変わらない大きさと重さで初代リーフ登場からの7年間で1.7倍近いバッテリーを積めるようになり、2018年に出る60kWh仕様に対しては、重さはさておきとして少なくともほとんど変わらない大きさで2.5倍ものバッテリーを積めるようになったことになり、バッテリーの進化の速さには驚かされる。

インバーターの改良により最高出力と最大トルクも向上

モーター自体も、初代リーフの中期型以降と同じものを使うものの、バッテリーの直流電流をモーターに使う交流電流に変換するインバーターの改良により、簡単に言うとモーターに流す電流を増やせるようになった。これにより最高出力&最大トルクは初代リーフの109馬力&25.9kgmから、150馬力&32.6kgmと大幅なパワーアップを果たした。パワーアップにより時速0-100キロ加速と時速60-100キロの中間加速のタイムは初代リーフに対し、それぞれ15%、30%短縮されていると日産では公表している。

なお、新型リーフは電気自動車ということで40万円の購入補助金に加え、エコカー減税でも取得税と重量税の免税、登録翌年度の自動車税のおおよそ75%軽減も適応となる。

"e-ペダル”と"プロパイロット”の採用も大きなニュース

さらに新型リーフは、最近日産が「日産インテリジェントモビリティ」と謳っている、電動化と知能化による車の進歩も著しい。

その代表的なものとして挙げられるのが、「e-ペダル」と、日産車ではセレナやエクストレイルに搭載されている運転支援システム「プロパイロット」の採用だ。

e-ペダルは日産のコンパクトハイブリッドカーであるノートe-POWERに採用されているワンペダルドライブを発展させたもの。走行用モーターを持つ電気自動車やハイブリッドカーが、アクセルを戻して減速する際に減速エネルギーを使いモーターを発電機として利用。バッテリーに電気を戻す回生ブレーキの効きがe-ペダルをオンにすると強くなり、フットブレーキを使う頻度を大幅に減り、運転の疲労を軽減できるという機構だ。特に市街地ではe-ペダルをオンにすると、フットブレーキを使う頻度が90%も減らせるという。

運転支援システムのプロパイロット(「スイッチ一つで自動運転」というテレビCMはかなりの誇張表現であるが)は、単眼カメラからの情報を基盤に、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)、限度はあるがコーナーも含め車線の中央をキープしようとするレーンキープ機能に加え、先行車の走った軌跡を追従することで高速道路での渋滞中にもレーンキープ機能が作動する。

さらにリーフには、文字通り「スイッチ操作だけ」でリーフが駐車を行う運転支援システム「プロパイロットパーキング」も設定される。

自動ブレーキなど先進安全装備も充実

その他の安全装備に関しては、単眼カメラからの情報を基に車両のような物体だけでなく、歩行者にも対応する自立自動ブレーキ「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や、車線逸脱を警報する「LDW」が全グレードに標準装備される。加えてグレードによって異なるが、インテリジェントLI(車線逸脱防止システム)、死角になりやすい斜め後方を監視し進路変更の際の事故防止に役立つBSW(後側方車両検知警報)や、後方を横切る車を検知しバックでクルマを出す際などの事故防止に寄与するRCTA(後退時車両検知警報)も設定され、安全装備が充実したことは、フルモデルチェンジによる大きな進歩と言える。

なお、自立自動ブレーキの性能に関しては、新型リーフは国が行うJNCAPのテストを受けていないが、JNCAPのテストでは先代リーフでも停止車両に対しては時速50キロ、歩行者に対しても単純な飛び出しなら時速45キロ、駐車車両のような陰からの飛び出しに対しても時速40キロでの停止が確認され、十分納得できる性能を備えていただけに、新型リーフではさらなる性能向上が期待できそうだ。

また新型リーフは、室内スペースこそ先代リーフと同等にとどまるものの、ラゲッジスペースが先代リーフの370リッターから435リッターと2割近く拡大されている点も大きな進歩だ。

日産 新型リーフ主要スペック

日産 2代目リーフ主要スペック
グレードG

駆動方式

2WD

価格

3,990,600円

航続可能距離(JC08モード)

400km

全長

4,480mm

全幅(車幅)

1,790mm

全高(車高)

1,540mm

ホイールベース

2,700mm

乗車定員

5

車両重量(車重)

1,520kg

駆動用バッテリー

リチウムイオン電池

総電力量

40kWh

モーター最高出力

110kW(150PS)/3283~9795rpm

モーター最大トルク

320N・m(32.6kgf・m)/0~3283rpm

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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