アウディ 新型A3スポーツバック 1.4 TFSI Sportの実燃費を測定! スポーツ志向のコンパクトハッチにしては・・・?

アウディ 新型A3スポーツバック 1.4 TFSI Sportの実燃費を測定! スポーツ志向のコンパクトハッチにしては・・・?
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ドアハンドルを引いてドアを開け、シートに腰を下ろす。そして、ゆっくりとドアを閉る。バスッと重厚かつ、高級感のある音と共に。その時の気分はかたいボディに護られているという安心感だ。そして、この印象は最後まで変わらないものだった。

◆新型 アウディA3スポーツバック1.4TFSI Sport燃費レポート

アウディのコンパクトハッチバック、A3スポーツバックがマイナーチェンジしたので早速引っ張り出し、実燃費を計測してみた。

2017年のマイナーチェンジの概要をまとめると、グリルやバンパー周りなどの外装デザインの変更や、安全装備の強化。また、Q7やTTなどに採用されている、デジタルディスプレイとバーチャルコックピットが、新型A3セダン/A3スポーツバックでも選択できるようになったことも、ポイントのひとつだろう。

今回試乗テストしたのは、新型A3スポーツバック1.4TFSI Sport。“Sport”とは、1.4リッターのFFモデルをベースに、スポーツサスペンションやスポーツシートが組み込まれた上級グレードで、今回はそれに加えて“S-Lineパッケージ”を装着したモデル。タイヤはブリヂストン TURANZA T005 225/40R18を履いていた。

テスト期間は3月3日から17日までの14日間。1,160kmほど市街地や高速道路、一部ワインディングで試乗。燃費の計測は車載計を使用している。

乗り込んだ印象はまさに冒頭の一言。そして、ゆっくりとクルマをスタートさせると、出足は軽く、非常にスムーズな加速を開始する。流れに乗って走らせていると、7速Sトロニックがショックを感じさせずにシフトアップとダウンを繰り返す。タコメーターはせっせと上下動を繰り返すのだが、良く観察しないと変速はわからないほどだ。

足回りは若干硬めだが、ボディ剛性が高く、また、ダンピングも効いているので、角の取れた硬さといっていいだろう。ホールド性の高いシートと相まって、第一印象は良好だった。

◆新型A3スポーツバック実燃費レポート/総合評価

今回の計測では、ストップアンドゴーが頻繁に発生する街乗りにおいて、JC08モードで計測したカタログ燃費の約70%の実燃費が記録された。エアコンなど季節の要因も影響するが、輸入車の中では平均的。良くも悪くもないという結果となった。

▼アウディ A3スポーツバック 1.4 TFSI Sport 燃費比較

アウディ A3スポーツバック 1.4 TFSI Sport 実燃費比較
市街地(街乗り)高速道路ワインディング(参考値)
実燃費14.3km/L17.8km/L8.1km/L
カタログ燃費(JC08モード)19.5km/L

◆新型A3スポーツバック燃費レポート/街乗り(市街地)編

走行距離:780.9km 実燃費:14.3km/L

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街中を走り始めると、アウディA3スポーツバックはそのコンパクトなボディと活発なエンジンにより、きびきびと走り回ることが出来た。特に1800mmを切る車幅は魅力で、狭い道でもすいすいと通り抜けることが可能なので、取り回しでのストレスはほとんど感じられなかった。

信号からのスタートダッシュも得意だ。アイドルストップからの再始動はスムーズで、そこから一気にアクセルを踏み込むと、あっという間に後続車を引き離し制限速度を上回ろうという勢いで加速するので、小柄なボディだからと侮ると痛い目を見るかもしれない。

一方でゆっくりとスタートさせると、10km/hにも満たない速度で2速へとシフトアップ。60km/hくらいではもう7速へに入るので、実燃費への貢献も高そうだ。実際の燃費数値は14.3km/Lであった。

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さて、少し郊外のオープンロードを走らせてみよう。後ほど高速道路編で詳しく述べるが、直進安定性の高さが光ってくる。若干ロードノイズは侵入してくるが、気になるほどではない。

ここで少しバーチャルコックピットを試してみる。ステアリングスイッチで簡単に変えられるそれは、ナビ画面がメーター内に表示されるので、視線移動を少なく、非常に見やすいものだ。しかし、交差点手前などで画面の拡大、縮小が自動で行われるので、慣れるまで気にはなった。それから、燃料系が小さく、どのくらい残っているのか一目で確認できなかったのは不満である。

街中では内装の細部にまで目が行くものだが、そのあたりはアウディが上手なところで、高い質感が感じられた。例えばエアコンの吹き出し口の開閉は周りのリングで行うのだが、そのクリック感もかっちりしたもの。そのほかのスイッチのタッチも同様であった、

◆新型A3スポーツバック燃費レポート/高速道路編

走行距離:379.3km 実燃費:17.8km/L

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高速道路を走り始めると、街中とは違った面が見えてきた。

郊外のオープンロードで感じたように、直進安定性は素晴らしく、ステアリングに軽く手を添えているだけで、どこまでもまっすぐに走って行けるほどだ。これは、ボディ剛性、特にフロア周りの剛性の高さが大きな要因だ。

だが、街中で感じられた乗り心地の印象は、S-Lineパッケージ特有の太いタイヤと固められた足回りの影響で、路面の凸凹をよく拾い、ひょこひょこと少々落ち着きのないものになってしまった。 また、ペダルの角度がいまひとつで、足首に疲れがたまりやすかった。

100km/hでのエンジン回転はおよそ2100rpm。エンジンや排気音の侵入は良く抑えられていたが、ロードノイズは意外と入ってきたので、これもやはりタイヤの影響であろう。

高速ではACC(アダプティブクルーズコントロール)も試してみた。比較的スムーズに前走車を追従するのだが、間にバイクが入った際に、過敏に反応するケースがあった。そのような、一定速度を保つことができず、車間距離を詰めたり、少し離れたりとぎくしゃくした走行になってしまう際には、キャンセルすることをオススメする。

実燃費は約18km/Lを記録。50リッターの燃料タンクをフルに使えば800km以上の長い脚を備えていることになる。

◆新型A3スポーツバック燃費レポート/ワインディング編

走行距離:2.9km 実燃費:8.1km/L(参考値)

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せっかく“スポーツ”バックと名乗っているのだからとワインディングを走らせてみた。あまり距離を走ることが出来なかったので、実際の燃費は参考値として表記する。

ボディサイズがコンパクトということもあり、ワインディングは得意である。またハンドリングも素直で、思い通りのラインをたどることが可能だ。中高速コーナーでは軽いアンダーステアで抜けられる。

しかし、気になる点もある。それはエンジンだ。1.4リッターダウンサイジングターボは燃費効率に秀で、また、街中での使いやすさは見事なものであったが、ワインディングではピーキーさを感じてしまった。具体的にはコーナリングでシフトダウンし、エイペックス付近からアクセルを踏み込んでいった際に、通常のシフトダウン程度ではトルク不足を感じてしまい、もう一段下げるとわっと吹け過ぎてしまうというもので、少々せわしない。

特にタイトコーナーでこの傾向は顕著なので、高速でストレスなくコーナーをクリアするには、パワーバンドを捕まえるべく、タコメーターを睨みながらパドルシフトを操作。ハーフスロットルを上手く使うことが要求される。このあたりはダウンサイジングターボのデメリットといえるだろう。

◆アウディA3スポーツバックのナビゲーションが使いづらい・・・

ここまで全くナビゲーションシステムに触れなかったのにはわけがある。普段仕事柄テスターは様々なクルマに乗る機会があり、そのほとんどのナビを使うことになるのだが、アウディA3スポーツバックのナビは最後まで思い通りの操作が出来なかったのだ。例えば目的地をセットする際に、その目的地の周辺にあるスポットを表示させ、そこから地図をスクロールさせて目的地を探し出してセットすることがある。その操作手順は以下の通りだ。

・目的地付近のスポットを入力し実行

・その後、右側ボタンを押して地図表示を目的地周辺に変更

・指でMMI(マルチメディアインターフェース)をスクロールさせて場所を選ぶ

まずスポット名を、文字を選びながら入力するのだが、いちいち行を選んで実行してから段を選ばなければならない。MMIに指で文字入力も可能だが、しかし、左利きであればよいが多くの日本人は右利きなので、そういう人が簡単に左手で入力が出来るだろうか。

また、スポットを入力し地図表示をした後に、そこからスクロールさせるのではなく、一度実行させたあと、改めて目的地周辺を表示させ、スクロールさせるという二度手間三度手間が必要になるなど、本当に使いにくい仕組みになっていた。どうやら音声入力や、アウディコネクトなどを利用し、オペレーターに操作してもらうことを前提にしているようなのだが、だからといって、通常のナビのセット方法をないがしろにしていいわけはない。

他との差別化は重要かもしれないが、それによって使いにくくなるのは本末転倒だ。せっかくバーチャルコックピットなどユニークなアイディアを搭載しているのだから、ぜひ、より使いやすいナビを開発してもらいたい。

◆アウディ 新型A3おススメグレードは・・・?

さて、ナビではつまらないケチが付いてしまったが、それ以外の走る、曲がる、止まるというクルマの基本性能はもちろんきちんと備えられている。ボディ剛性は高く、ハンドリングも楽しい。そこにプラスしてプレミアムブランドとしての質感の高さは見事なものだ。

ただ、今回のテスト車はスポーティに仕立てられたものなので、本来のA3を味わいたいなら、エントリーモデルである“1.4 TFSI”か、あるいは“2.0 TFSI quattro(クワトロ)”を。よりスポーティさを求めるなら最初からS3スポーツバックの検討をお勧めする。

なぜならば、あえてエントリーモデルにオプションをプラスして、スポーティなサスペンションや太いタイヤを装備することにより(見た目は格好いいけれど)、高速域での乗り心地を損うのは、せっかくのアウディの良さをスポイルすることに等しいからだ。

▼アウディ A3スポーツバック 1.4 TFSI Sport 主要スペック

アウディ A3スポーツバック 1.4 TFSI Sport 主要スペック
主要諸元アウディ A3スポーツバック 1.4 TFSI Sport
価格3,290,000円
全長4,325mm
全幅(車幅)1,785mm
全高(車高)1,450mm
ホイールベース2,635mm
車両重量(車重)1,320kg
最大出力90kW(122ps)/5,000-6,000rpm
最大トルク200Nm(20.4kgm)/1,400-4,000rpm

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[Text:内田俊一 Photo:内田俊一]

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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