2リッターエンジンを搭載した“マツダ ロードスターRF”の実燃費を測ってみた(2/3)
- 筆者: 永田 恵一
- カメラマン:小林武夫/永田恵一
マツダ ロードスターRF 実燃費テスト/高速道路編
ロードスターRFは1.5リッターという排気量の小さいエンジンゆえに、全体的にトルクが細くATとのマッチングが今一つであったソフトトップに対し、2リッターエンジンの搭載によりATとのマッチングが劇的に向上していることが印象的だった。
特に乗用域、高速道路での暖加速のような走行シーンでのアクセルの踏み込み量の少なさはRFのラグジュアリーなキャラクターを際立たせ、“余裕”と呼べる大きな武器であると断言できる。
スムースかつ素早いシフトアップやダウンを行う6速ATと組み合わせられていることもあり、AT同士であればアクセルを全開にした際の動力性能の向上も明確だ。同じ4気筒で1.5リッターから2リッターに排気量が増えているため、動力性能は向上しても振動や騒音といったフィーリングの悪化が心配なところかもしれない。
その点に関しても、RFの2リッターエンジンはレッドゾーンが1.5リッターの7,400回転に対し6,500回転に抑えられている有利さもあり、6500回転までシッカリ回るのに加えてエンジン音もマツダの1.5リッターと1.3リッターのガソリンエンジンの原稿で何度か書いている「いい意味での共鳴音」をRFの2リッターエンジンも(1.5リッターほどではないにせよ)聴かせてくれる。
なお、RFのAT車の100klm/h走行時のエンジン回転数は、1.5リッターのATに対してファイナル(最終減速比)が約15%高く変更されていることもあり、1,750回転と非常に低く抑えられている。
筆者は、今回の燃費レポートとは別の機会にロードスターRFの6速MTに乗る機会もあった。ロードスターRFのMTは、ATに対しエンジンのフィーリングをよりダイレクトに味わえるというアドバンテージはあるものの、絶対的な動力性能は重量増と相殺された部分が大きいのか意外に1.5リッターとの差は感じられなかった。
2リッターのトルクの太さはMTと組み合わせても、例えば「若干の上り坂でトップギアの6速で70km/hで走行中、暖加速する」という場面でシフトダウンせずに加速できるといった余裕は感じられるが、RFに関してはキャラクターやマッチングの良さを加味するとATの方が似合い、ロードスターRFを選ぶメリットは大きいように思う。
それだけに惜しいのが、高速道路をゆったりと流したいクルマである上にラグジュアリーなキャラクターであるにも関わらず、先行車追従型でない通常のクルーズコントロールすら設定が一切無い点だ。(筆者はこれまでの燃費レポートでも幾度か述べているように、マイカーのトヨタ86に後付けまでしてクルーズコントロールを着けるほどの“クルコン好き”なので、文句を言うところも大きいが・・・)この点は、輸出仕様には設定があるだけに早急に改善を願いたい。
また電動メタルトップに関しては、クローズドにしていれば実質的にクーペと言える静粛性に代表される快適性を備えており、高速道路でオープンにしても風の巻き込みは適度で、オープンカーらしさを十分に感じられる。
加えて、好みはあるにせよ頭の後ろがCピラーで包まれているという安心感もあり、こういった点も前述したロードスターRFを採用した理由の1つの「オープンカーに対する敷居を下げる」に繋がっているように感じられた。
冬場でもしっかり防寒し、ヒーターやシートヒーターをフルパワーにすると非常に快適というかいい意味で緩くオープン状態を楽しめるので、欲というかダメ押し的にSUVのようなハンドルヒーターや輸入車で見ることがあるシートから首に温風がでるデバイスが欲しくなるくらいだ。
高速道路での燃費は18.0km/Lと、高速道路なら20km/L近い燃費が出るソフトトップに比べると劣るにせよ、この種の車としては望外と言える数値を記録した。
これだけの数値を記録した要因としてはトルクの太さゆえに可能となったファイナルのハイギヤード化などが考えられる。なお高速道路ではオープンだとクローズドに対して5~10%燃費が悪化する傾向に感じた。
マツダ ロードスターRF VS(6AT)の高速道路での実燃費/18.0km/L
マツダ ロードスターRF 実燃費テスト/郊外路編
郊外路では、17インチにサイズアップされたタイヤや電動パワステのセッティングなども含めて、全面的にソフトトップから見直されたサスペンションの大きな進歩を確認できた。
ソフトトップのロードスターは、ハンドルを切った際の妙なシャープさや全体的な足回りの柔らかさ、ロールスピードの早さ、その割に乗り心地が悪いなど、ハンドリングという部分において運転する楽しさがないことに筆者はこれまで失望していた(車高調整機能付きのビルシュタイン製ダンパーが付くNR-Aについては、別次元のように楽しいハンドリングと引き締まった快適な乗り心地であり、良いアフターパーツの足回りを付けたソフトトップのロードスターはNR-Aに近いフィーリングになるため、原因はダンパーであろう)
それが、標準の足回りのロードスターRFはどうかというと、足回り自体は柔らかめでロールの量はそれなりにあるものの、ロールの起き方はゆっくりとしており、ハンドル操作に対する車の動きは適度にシャープかつ正確でライントレース性も素晴らしく、自分の思う通りにクルマが動いてくれるという、NR-Aに近いフィーリングのハンドリングを得ている。
さらに、乗り心地も足回りが非常にしなやかに動いており、路面の大きな凹凸を通過しても不快な硬さを感じることは皆無で、ここでもNR-Aに近いフィーリングとロードスターRFのキャラクターに合った快適性の一部になっていることも印象的であり、11月に公道試乗会を行ったプロトタイプからの進化は著しい。
こういった進化は非常に嬉しいことであるだけに、ロードスターRFの開発で得たノウハウがNR-A以外のソフトトップのロードスターにも早急に盛り込まれることを期待したい。
ちなみにビルシュタイン製ダンパーが付くRSの市販車にも短時間ながら乗ったのだが、こちらはVSより引き締まったセッティングでハンドリングは若干シャープで、乗り心地も悪くはないのだがVSに劣る。この点でもロードスターRFのRSにはATの設定がないこともあり、VSのATが一番キャラクターに合っていると感じる。
郊外路での燃費は13.0km/Lと、この種の車としては良い値ではあるが、郊外路であれば15.0km/L程度は期待できるソフトトップには見劣りする結果となった。
燃費が見劣りする原因としては、重量増や6速ATがトップギアの6速に入るタイミングが意外に遅いことが考えられる。
マツダ ロードスターRF VS(6AT)の郊外路での実燃費/13.0km/L
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