BMW 440i・420i GC(グランクーペ)試乗・燃費レビュー(1/2)

BMW 440i・420i GC(グランクーペ)試乗・燃費レビュー
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3L直6、2L直4の4シリーズで実燃費を比較テスト!

BMWは積極的にモジュラーエンジン化を推進している。今回テストした440iグランクーペも4月にこの新世代モジュラーエンジンを搭載したモデルで、この特徴は気筒あたり500ccのシリンダーを直列に配置して、総排気量に応じて幅広い出力範囲を実現したことにある。

今回のテスト車は3000ccなので6気筒エンジンを搭載。その出力は以前の435iと比較し20ps、50Nmアップし、326ps、450Nmを発揮する。

数回にわたりディーゼルエンジンのテストが続いたので、今回はこの新世代モジュラーエンジン、しかもガソリンターボエンジンを試してみよう。

テスト車はBMW 440iグランクーペ ラグジュアリーだ。テスト期間は8月23日から9月8日までの16日間、高速道路から都心の渋滞まで様々なシーンを1157kmほど走行。燃費計測は車載計を使用した。タイヤはブリヂストン ポテンザ S001 RFT 225/40 R19(前) 255/35 R19(後)を履いていた。

今回はもう一台、比較のため同じく420i xDrive グランクーペMスポーツも連れ出したので、最後に簡単にご報告しよう。

440iグランクーペの第一印象は「スムーズで静か」

BMW 440iグランクーペ

BMWの6気筒を以前、シルキーシックスと評し、そのスムーズさが絶賛された時代があった。今回の6気筒エンジンはさすがにそこまでではないものの、バランスの取れたスムーズなエンジンであることには変わりはない。

いくらディーゼルエンジンが静かでスムーズになったといっても、さすがにガソリン6気筒エンジンにかなうことはない。

メーター左側にあるスターターボタンを押すと、ボワン!というちょっとこもった、しかし重々しい音とともに目覚めたエンジンはそのあと静かに回り続けた。これはアイドルストップからエンジンが再始動するたびに、そのかかり方のスムーズさ、静かさを常に感じることになった。

BMW 440iグランクーペ 市街地燃費テスト/街中ですら感じるパワフルさ

BMW 440iグランクーペBMW 440iグランクーペ

BMW 440iグランクーペ 市街地における実燃費:8.7km/L

走行距離:735.8km

BMWの広報車が置いてある地下駐車場からそろそろと地上へ這い出し、そっとアクセルを踏み込んだ時、まず初めに印象付けられたのはパワフルさだ。

2000rpmも回してやると、あっという間に後続車を置いてきぼりにすることが出来る。更にそのシフトアップのスムーズさも感銘的だ。タコメーターは忙しくアップダウンをしているが、そのショックは全く感じられないのだ。

その一方、ほんのわずかではあるが、減速時にシフトダウンのショック(とまではいかない本当にわずかなもの)を感じ取ることが出来たが、これは、あまりにもシフトアップがスムーズなため、子細に観察した結果かもしれない。

また、このパワフルさは時々いたずらもしでかす。雨の交差点で少し乱暴にアクセルを踏もうものなら、テールが外に出たがるのだ。もちろん、そのタイミングでメーター内の警告灯が点滅し、同時にDSCなどが介入し何事もなかったかのように走行するのだが、一瞬肝を冷やしたのは事実だ。

もう一つ、街中で感じたことはアイドルストップの時間だ。これまでテストした各車と比較し、明らかに短く、30秒ほどで再スタートしてしまうことがほとんどだった。これまでとそれほど大きく条件が変わったとは思えず、また後述する420についても、ここまではないものの、ディーゼルと比較して短かったことから、4シリーズGC全体の傾向なのだろう。

燃費は8.7km/Lとそれなりだ。しかし、このパワーやスムーズなエンジンを考えると満足度は高いといえる。

BMW 440iグランクーペ 高速道路燃費テスト/直進安定性に若干難あり?

BMW 440iグランクーペ

BMW 440iグランクーペ 高速道路における実燃費:14.1km/L

走行距離:394.8km

さて、もう暫く街中を走っていて気付いたのはロードノイズだ。きれいな路面ではそうでもないが、少し荒れた路面では、特にリア周りからのロードノイズの侵入が気になった。これは高速道路でも同じで、常にフロアとリア周りからロードノイズが入ってくるのは、少々興ざめだった。

もうひとつ、これは420にはなかったので、今回のテスト車のみのことだろうが、荒れた路面を走行している際、びりびりとメーターナセルが共振し、同時にヘッドアップディスプレイが微妙にぶれる症状があったことをご報告しておく。

高速道路では100km/hで1500rpmを少し切るくらいなので、エンジン音はほとんど聞こえない。前車に追い付き、若干落ちた速度を回復しようと追い越し車線で一気に加速をすると、もりもりとパワーが湧き出し、ドライバーはシートに押し付けられながら、あっという間に制限速度を突破しようとする素晴らしい加速を味わえるのだ。

それは本当に変速ショックもない、途切れない加速なので、病みつきになってしまいそうだった。

BMW 440iグランクーペ

その時に、少し気になることが2点あった。ひとつはステアリングの握り部分が少し太いこと。そしてもう一つはステアリングの切り始めに僅かに切り遅れ感があることだ。

握り部分は手のひらが小さい人にはちょっと太すぎ、そのためにしっかりと握ろうとするので、疲れを誘発しやすい。ただし、10時10分あたりに指を置くスペースが作られているのは指を休めるのと、ドライビングポジションを常に一定にとることが出来るのは親切だった。

そして、もう一つ気になった切り始めについては、高速域での車線変更でわずかにステアリングを切った際に、一瞬反応がなくその後効き始めるという症状だ。従って、自分の意思よりワンテンポ遅れるということと、もうひとつ遅れたために無意識のうちに僅かに切り増してしまうので、緩やかに車線変更をしようとしても思ったよりも早くレーンチェンジしてしまうことになる。

これは、直進安定性にもつながり、ほんのわずかの修正舵が効かないことになるので、意外と神経を使わされた。この要因はエンジンの重さにあるかもしれない。その理由は、あとで乗った420では感じられなかったからだ。ただし、こちらはxDrive、つまり4WDであるために、それが感じられなかった可能性もあるので、一度、FRの420に乗って確認したいと思う。

さて、高速での燃費は14.1km/Lとそこそこ伸びた。若干渋滞に巻き込まれたりしたが、3リッターターボで直列6気筒エンジンを考えれば十分といえる。

BMW 440iグランクーペ ワインディング燃費テスト/有り余るパワーを操る楽しさを味わう

BMW 440iグランクーペ ワインディングにおける実燃費:7.1km/L

ちょっと場違いだが、少しワインディングで振り回してみた。

3シリーズのセダンよりもトレッドが広くなっていることもあり、コーナーでの安定性は抜群だ。しかも、意外と幅もつかみやすいので、インを突くことも容易だった。更にパワフルであり、テールが出ようと常に狙っているので、それをうまくコントロールしながらコーナーを立ち上がるのはとても楽しく、綺麗にコーナーを立ち上がれた時は、まさに駆け抜ける喜びだった。

もちろん6気筒エンジン故フロントの重さは感じられるものの、そこは重量配分がほぼ50:50で、しかも有り余るパワーを抱えているため、そんなことはすぐに頭の外に出て行ってしまった。

BMW 440iグランクーペ

このときに若干気になったのはシートが滑りやすいことだ。

今回のテスト車はインディビジュアルというBMWの特別オプションを纏った仕様で、そのインテリアは明るいブラウンのシートだったのだが、このシートが滑りやすく体をホールドしにくいものであった。

もちろんこれはハードなドライビングをしたときのことのみで、普段は決して不快に感じることはなく、気持ちよくドライブを楽しめるものであったことを付け加えておく。

それほどハードには走らなかったが、参考までに燃費は7.1km/Lであった。

そのほかに気になったことを付け加えておくと、これはBMWのいずれのモデルにも共通だが、シートベルトの高さが調整できないのは少し不便だし、アクティブクルーズコントロールの設定がこれまで乗ったどのモデルよりも荒く、ストップアンドゴーの時の止まり方がガツンと効く傾向にあったなど、気になることもあった。

一方で、他のBMWと同様にアクティブクルーズコントロールの設定はスイッチを押して回転スイッチを回すことでオンになるなど、簡単に操作が可能で、積極的に使いたくなるものであり、また、ヘッドアップディスプレイもいちいちメーターを見なくても速度等確認できるのは便利だった。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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