マツダ CX-3 燃費レポート ~ハイブリッドカー超えの実燃費を叩き出すディーゼルターボ~(2/5)
- 筆者: 永田 恵一
マツダ CX-3 燃費レポート/高速道路編
高速道路編では、まずCX-3の動力性能からお伝えしよう。
CX-3の動力性能は、3,000rpmあたりまでの実用域に関してはデミオに対して過給圧の向上によるトルクアップでディーゼルエンジンらしいトルクの太さを感じられ、発進、追い越し加速の際の力強さでは高く評価できる。
しかし、アクセル全開でレッドゾーンまで引っ張った際の絶対的な加速力は、デミオよりも車重が150kg近く重いこともあり、速さという点ではそれほどではなく「デミオと同等」といった感覚であった。
価格が決して安くない車であることや、過給器やコンピューターといった周辺パーツで比較的容易にパワーアップが可能なターボ車である点などを考えると、トランスミッションに代表される駆動系のトルク容量との兼ね合いもあるにせよ、輸入車のディーゼルのようなハイパワーバージョンも欲しいところだ。
高回転域のエンジンフィールは、他のマツダのディーゼル車のような異例にレッドゾーン付近まで軽快に回るディーゼルエンジンとは異なり、4,000rpmあたりで頭打ちになってそれ以上は回るだけ、というタイプだ。
なお、トップギアとなる6速100km/h走行時のエンジン回転数は、他のマツダのディーゼル車と同等の1,750rpmであった。
シフトアップのタイミングは、Dレンジで普通のアクセル開度だと2,000rpm程度、5速、6速にシフトアップさせるスピードはそれぞれ65km/h、90km/h強といったところ。ちなみに、パドルシフトを使った場合は5速へのシフトアップが65km/h、6速が80km/hで、6速ギアをキープしてくれるスピードは75km/hであった。
振動、騒音面での快適性は大きな不満を感じることはないが、(ディーゼルということに気付かないことすらある)マツダのディーゼル車としてはどちらも大きめで、CX-3はディーゼルエンジンであることを意識する場面は多い。だが、ディーゼル車のエンジン音自体が好みという人も少なくないことも加味すると、これはこれでそれほどネガティブな要素ではないと個人的には評価している。
また、ナチュラルサウンドスムーザーの効果は、非装着車に比べると1,500rpmから2,000rpm付近のディーゼルエンジン特有のガラガラとした音を軽減させるのにかなり貢献している印象であった。
ナチュラルサウンドスムーザーの価格は、燃費向上に貢献するi-ELOOPとセットで6万4,800円であることを考えれば装着しておいてもいいオプションといえるだろう(もっともデミオの場合はi-ELOOPだけで6万4,800円だったのを思い出すと、ちょっと微妙な気分になるのも事実ではあるが)。
また、騒音に関してはデミオの強烈なロードノイズほどではないものの、CX-3もロードノイズが大きい部類であることと、高速道路のスピード領域になると風切音が少し気になるレベルであるのは残念であった。
そしてCX-3には車線逸脱警報システム、アダプティブクルーズコントロール、斜め後ろの車を感知するブラインドスポットモニタリングといった安全装備も車格を考慮すると充実しており、これらの完成度は良好であった。
アダプティブクルーズコントロールは、完全停止までは対応せずスピードが30km/hになると作動を停止してしまうのは残念なところであるが、その以外は4段階の車間距離が適切な上に、加減速もジェントルな「運転が上手」と言える部類だ。さらに車線逸脱警報システム、ブラインドスポットモニタリングが持つ安全性向上の貢献度は言うまでもなく、ぜひ装着を勧めたい(装着する場合には上級のXDツーリング以上のグレードを選ぶのが必須)。
高速道路での燃費は「23.5km/L」と、小型ディーゼル車の期待を裏切らない優秀な数値を記録した。
この値は直接的なライバルであるヴェゼルハイブリッドの「22.1km/L」を上回っていることに加え、CX-3の燃費は高速道路の一車線区間でCX-3だとギアが4速止まりになってしまう極端にペースが遅いトラックの後ろで走った距離もあった中での数値であり、条件が良ければ24.0km/L程度まで伸びることは十分に考えられるものであった。
快適性では若干の難はあるものの、燃費やアダプティブクルーズコントロールの完成度などを総合すると、CX-3が長距離走行に使うにはピッタリの1台であるのは他のマツダのディーゼル車と同様であった。
マツダ CX-3 高速道路の実燃費/23.5km/L
※ホンダ ヴェゼルハイブリッド 高速道路の実燃費/22.1km/L
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