三菱 アウトランダーPHEV 燃費レポート/永田恵一(1/5)
- 筆者: 永田 恵一
- カメラマン:オートックワン編集部
三菱「アウトランダーPHEV」は、昨年10月に発売された同社のミドルSUV「アウトランダー」に追加されたプラグインハイブリッドモデルで、アウトランダーシリーズの目玉的存在となっている。
アウトランダーPHEVのパワートレーンは、ハイブリッド用に専用チューニングされた2リッター直4エンジンを主に発電用として使い、モーターでタイヤを駆動する“シリーズハイブリッド”方式を採用している。
床下には12kwhという大容量のリチウムイオンバッテリー(i-MiEV 上級グレードの4分の3、日産リーフの半分)が搭載され、外部から充電することで60.2kmを電力だけで走行できるプラグインハイブリッド機能を備える(60.2kmはカタログ発表値)。
さらに、モーターは前輪と後輪に二つの駆動用モーターが備わり(それぞれ82ps)、プロペラシャフトを持たない四輪駆動車でもある。
しかし、電気自動車の電費(電力1kwhで走れる走行距離、エンジン車の燃費に相当)がスピードが上がるにつれて悪化すると同じように、シリーズハイブリッド走行では高速域の燃費が芳しくないため、スピードがおおよそ70km/h以上になると前輪をエンジンで直接駆動するパラレルハイブリッド(エンジンに余剰トルクがあれば、その分は発電機を回す分に使われ、起きた電力はバッテリーに充電する機能も含む)としても機能する。
つまり、アウトランダーPHEVは、8月に実燃費レポートをお届けしたホンダ「アコードハイブリッド」にプラグインハイブリッドと四輪駆動の機能が加わったミドルSUVと考えられる。バッテリー残量が減りハイブリッドカーとして機能する際のハイブリッド燃費はJC08モードで18.6km/hと車重約1800kgのSUVとしては素晴らしい値を誇る。
四輪駆動システムもスバルと並んで長い経験を誇る三菱自動車らしく、より駆動力を高めるロックモードを持つのに加え、 後輪左右の駆動力を適正化するAYC(アクティブヨーコントロール)などから構成されるS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)となっており、ランサーエボリューション並みの高度な四輪の制御を実現している。
なお、アウトランダーPHEVは今年3月末に納車前の個体からバッテリーの不具合が見つかり、生産を中断するというアクシデントがあったが、原因はバッテリー製造メーカーの生産ミスであったことが判明。
問題があったのは納車前のごく少数の個体だけであったが、万全を期すため納車済みの個体のバッテリーも生産を担当する岡崎工場で交換するという真摯な対応を行った後、8月から生産を再開している(現在は幸いなことにフル稼働状態)
今回のテストでは純正カーナビや運転支援システムe-Assistを装備するG NAVI Pakage(397万8000円、現在30万円の補助金が使えるので実質的な車両価格は367万8000円)を起用。
テストは晴天だった10月17日(木)の早朝から行い、最高気温も22℃程度と燃費計測日和と言えるコンディションだった。
テスト方法はテスト車の受け取り時点ではバッテリーが満充電になっていたため、いつも行っているテストの開始前にEV状態で走行できる走行距離を計測し(結果は市街地編で掲載)、3つの走行パターンでの燃費計測はクルマ任せのハイブリッドモードで燃費を計測した。
燃費測定の基本ルール
・燃費の測定は、車両に純正搭載されている車載燃費計を使用
・スピードは流れに乗ったごく一般的なペースで走行
・車両の状態もエアコンは快適に過ごせる温度(オートエアコンなら25度)に設定
・走行モードが選択できる場合にはノーマルモードを選んで走行
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