ホンダ エリシオンプレステージ 試乗レポート

ホンダ エリシオンプレステージ 試乗レポート
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300馬力エンジンを搭載する走りの高級ミニバン

エリシオンはホンダのボックスタイプ・ミニバン。ステップワゴンの兄貴分にあたるクルマだ。現行モデルがデビューしたのが03年5月。トヨタアルファード、日産エルグランドに対抗するラージクラスのミニバン、というポジションだった。

しかし、豪華さではアルファードに、豪快さではエルグランドに及ばず、低迷気味。そこで、新たにプレステージというシリーズを追加した。

このシリーズはスタイリングも大型のヘッドライトとグリルを備え、エンジンはV6、SOHC、3.5Lで300馬力を発生する高性能型を搭載する。大型のグリルはトヨタアルファード似だが、実車はアルファードよりも高級感があり、迫力もある。

300馬力のパワーを得たエリシオンプレステージは、サスペンションなどにも手を加えられ、走りのミニバンとして甦ったのだ。

よりスポーティなテイストが加えられたデザイン

ノーマルのエリシオンとの違いはフロントマスクだけではない。リアパネルもよりスポーティなデザインになっている。さらにホイールも18インチ、225/50タイヤが標準で装着された。

機能面では助手席側のドアミラーにプリズムアンダーミラーを内蔵したことが新しい。これにより、助手席側の死角が大幅に減少した。ボディカラーはパールとブロンズが追加された。

インテリアの最大の特徴は、フロントシートの間に大型のセンターコンソールが設けられたことだ。この追加でフロントシートからリアシートへのウォークスルーやフロントシート同士のサイドスルーはできなくなってしまった。スポーツセダンのようなコクピットにはなったが、ミニバンとしての機能がひとつ失われたのは残念。

セカンドシートはメーカーオプションで2名分のキャプテンシートも選べるようになった。

V6、3.5L、300馬力の実力は予想以上だった!

エリシオンプレステージの印象は300馬力のパワフルな走りがすべてといってもよいだろう。

センターパネルの5速ATレバーをDレンジにシフトする。アクセルペダルを踏みこむと、スタートの瞬間こそやや重め(車両重量は約2トン)だが、エンジン回転計の針が3000回転あたりまで上昇して、ダッシュを開始する。そのまま6000回転まできれいに吹け上がり、シフトアップ。停止から100km/hまで7秒台という速さ。これは3.5Lクラスのセダンと同じレベル。専用の足回りもしっかりしている。

100km/h巡航は1800回転だが、V6、300馬力エンジンは本当はここからが楽しい。120~140km/h(2000~4000回転)のレスポンスが抜群なのだ。この高速巡航性能は、メルセデス・ベンツの最新ミニバン、V350(3.7L)よりも上。静粛性も乗り心地もとてもよかった。高性能なラージクラススポーツサルーンをドライビングしているような爽快さが楽しめる。

ホンダらしい、楽しいドライビング

ホンダのクルマというのは、例えこのエリシオンのようなミニバンであっても、ドライビングを楽しめるようにセッティングされている。今回、エリシオンプレステージに試乗して改めてそれを認識した。

このクルマは間違いなくトヨタアルファードよりも上級車感があり、日産エルグランドよりも豪快な走りを楽しめる。

シフトホールド制御(コーナリング時の不要なシフトアップを抑制する)の採用により、日本の峠道を、それこそスポーツカーを追いかけるぐらいの走りを楽しませてくれる。ブレーキも軽い踏力で強力な制動力を発揮するので、こうしたスポーツドライビング向きだ。

プレステージはもっとも低価格なFF車のSGでも357万円だが、高速走行の機会が多く、しかも大人3~4人を乗せて走るような人には、このモデルはかなりのおすすめといえる。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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