THE NEXTALK ~次の世界へ~ 三菱自動車 MiEV販売推進室長 山田健二郎 インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤康彦
EVを売るには、人をまず育てる
三菱自動車工業の電気自動車i-MiEV(アイ・ミーブ)は、2009年6月に発表され、同年7月から実際に販売が始まった。それはまず法人向けに行われ、続いて、翌2010年4月から個人ユーザー向けの販売が始まる。ちなみに日産リーフは、同じ年の12月からの発売だ。
【山田健二郎】2009年の初年度は試行錯誤の面もあり、フルメンテナンス付のリースという形態で、法人向けに約1400台のi-MiEVを販売しました。三菱グループの協力もあって、かなりの台数を受注し、販売できました。
翌年から、一般のお客様向けの販売が始まります。これが、大変難しい。一番大きな課題は、走行距離への不安ですね。法人でのご利用であれば、ある程度走行の仕方が決まってくるし、もし遠出が必要な場合には他のガソリンエンジン車でといった使い分けができます。しかし、個人の方が一台のクルマで、日常的にはちょこちょこっとしか乗らなくても、たまには遠くのゴルフ場へも行きたいとなると、クルマの使い分けができません。
また、自宅に充電用のコンセントを設置する際も、これまで販売店のスタッフは経験したことのない話ですから、電気工事屋さんを紹介するといったことになります。しかし、お客様にしてみれば、ワンストップサービス(一カ所ですべての手続きが行える:筆者注)でやってほしいとなるのは当然ですね。
09年から2年間のそうした販売経験を踏まえ、私自身もその間に電気自動車を売るということをしてきましたので、持ち上がっている課題を解決するには、まずスタッフの教育が必要だと考えました。
三菱の電気自動車でもっとも新しいのが、2011年12月に発売された、軽自動車の商用バンであるMINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)だ。これは、量産では世界初の軽商用の電気自動車でもある。その予約注文は、同年4月から受け付けてきた。
【山田健二郎】MINICAB-MiEVを2台使って、日本列島の北と南から、各販売会社を巡るキャラバンをやりました。そして、スタッフの研修を行うとともに、関心のあるお客様に見てもらい、触ってもらうということをしました。軽商用バンということから、個人事業主の方の参加もありました。
こうしたことを行ううち、販売会社以前に、本社営業が電気自動車に熱くならなければいけないと思うようになりました。そこで、全国に約25名いるフィールドマネージャー(本社の国内営業に所属し、担当する各地域の販売を支援する人々:筆者注)に、研修の講師になってもらうようにしたのです。
彼らが、電気自動車や充電に関するインフラストラクチャー(社会基盤)などへの疑問にきちんと答えられるようになってはじめて、販売会社へ「電気自動車を積極的に売ってほしい」と、言えるようになります。従来フィールドマネージャーは、担当地域の販売会社の経営状況を見ながら新車販売を支援する仕事をしてきましたが、これからの三菱は、電気自動車を売っていかないと前へ進まないという意識付けが大切だと・・・。
販売会社で、電気自動車を販売するうえで疑問・質問があったとき、それらに的確にこたえられる人や部署がこれまで本社で明確化されていなかったという。山田健二郎が初代室長となったMiEV販売推進室は、まさにそうした販売会社との窓口になる部署として立ち上がったのであった。
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