【ahead femme×オートックワン】-ahead 1月号-弁天様と江の島と(4/4)
- 筆者:
海も街もくれなずむ相模湾
エスカーを乗り継いで江の島の頂上に着くと、龍と天女様の伝説にあやかった「恋人の丘」という一角があった。ここで鐘を鳴らした二人は永遠に結ばれるらしいが、記憶をたぐりよせれば私の場合は効果がなかったようだ。
もしかしたら天女様が、私が結ばれるべき相手ではないと判断してくれた、のかもしれない。
下りの階段をのんびり降りながら、三姉妹の末っ子が祀られる辺津宮を見回すと、なにやら絵馬が鈴なりに掛けられた大木があった。ここは縁結びで有名らしく、絵馬は恋成就を願う言葉でいっぱいだ。それを見て私は思わず笑ってしまう。
我が家の三女は学生時代から、「夢はお嫁さんになること」と言ってはばからず、無事に意中の人と結ばれて幸せな結婚生活を送っている。
やはり恋成就には、それくらいの情熱が必要だということなのだろうか。ただし、三女に一度だけ別れの危機が降りかかった時には、私と次女は真剣に心配し、三女を支え励ましたものだった。だからきっと、三女のところばかりに熱心に参拝しても、天女様のパワーはマックスではないだろう。
もしいつか、私がここに絵馬を掛けに来る時は、中津宮と奥津宮にも同じように参拝すべし。そう心に書き留めた。
それにしても、江の島から眺める相模湾は、なんともいえず味があるものだ。新しい年を、私はどんなふうに生きていこう。そんなことを考えながら、ローズ色に染まる海沿いを走っていけば、ゆるゆると心地よい1日が暮れてゆく。
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