「燃費」「エコカー減税」が追い詰め、三菱自が燃費偽装を行った4つの理由(1/4)

「燃費」「エコカー減税」が追い詰め、三菱自が燃費偽装を行った4つの理由
平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 (左)三菱自社長 兼 COO 相川哲郎氏/(中央)三菱自会長 兼 CEO 益子修氏/(右)三菱自 副社長 中尾龍吾氏 (左)スズキ株式会社 鈴木修 代表取締役会長/(右)スズキ株式会社 代表取締役 鈴木俊宏社長 三菱eKワゴン/日産デイズ 発表会 三菱eKカスタム メーター 三菱自動車本社前に集まる報道陣 燃費不正問題が明るみになった4/20夜の三菱自動車本社前 日産・三菱資本提携で会見する三菱 益子会長 三菱自動車本社前 平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 スズキ ハスラー発表会でスピーチする鈴木修会長 画像ギャラリーはこちら

三菱自動車の燃費偽装問題に続いて、スズキも走行抵抗の測定が国の定めた方法と違っていたと明らかにした。

いかなる理由があっても、規則には従わなければならない。規則に背いたり不正をすれば、当然に責任を問われる。

この点を確固たる前提と認識した上で、一連の燃費問題について、背景にある理由と経緯を考えたい。

■理由1:激しい燃費競争が生み出す脅迫観念で、三菱自が燃費偽装に至った経緯を探る

燃費不正問題が明るみになった4/20夜の三菱自動車本社前

三菱自動車による記者会見では、eKワゴン&デイズの開発過程で、社内的な燃費数値の目標が、2011年5月、同年9月、2012年3月、同年8月と頻繁に引き上げられ(商品会議でプロダクト・エグゼクティブが提案して同会議で承認)、2013年6月発売時点の29.2km/Lに至ったと説明された。

燃費目標を引き上げる過程では、ほぼ同時期にスズキとダイハツの新型車(改良を含む)が発売されている。

そこでライバル車の燃費改良と、社内的な燃費目標の引き上げ過程を時系列で見ていきたい。

なお2011年4月以降の型式指定(新型車)からJC08モードが義務付けられたが、追加モデルでは一部に10・15モードも混在する。また下記のライバル車の燃費数値は、いずれも発売あるいは改良時点のものになる。

三菱自動車の商品会議における燃費数値目標の引き上げとライバル車の燃費動向

・2010年中頃までのライバル車の10・15モード燃費:22~24km/L

★eKワゴン&デイズの開発初期段階における燃費目標:26.4km/L

・2010年12月13日に発売された先代ムーヴの10・15モード燃費:27km/L

・2011年3月10日に追加された現行MRワゴンアイドリングストップ車の10・15モード燃費:27km/L

★2011年5月23日に改訂されたeKワゴン&デイズの燃費目標:27km/L

・2011年9月20日に発売された現行ミライースのJC08モード燃費:30km/L

★2011年9月26日に改訂されたeKワゴン&デイズの燃費目標:28km/L

・2011年11月7日に改良された先代ムーヴのJC08モード燃費:27km/L(10・15モード:30km/L)

・2012年2月14日に追加された現行MRワゴンエコのJC08モード燃費:27.2km/L(10・15モード燃費:30km/L)

★2012年3月12日に改訂されたeKワゴン&デイズの燃費目標:28.2km/L

★2012年8月27日に改訂されたeKワゴン&デイズの燃費目標:29km/L

・2012年9月6日に発売された現行ワゴンRのJC08モード燃費28.8km/L

・2012年12月20日に改良された先代ムーヴのJC08モード燃費:29km/L

★2013年6月6日に発売されたeKワゴン&デイズのJC08モード燃費:29.2km/L

・2013年7月16日に改良された現行ワゴンRのJC08モード燃費:30km/L

・2013年11月20日に発売された現行N-WGNのJC08モード燃費:29.2km/L

★2014年6月26日に改良されたeKワゴンのJC08モード燃費:30km/L(デイズは7月3日改良)

・2014年8月25日に追加された現行ワゴンR・FZのJC08モード燃費:32.4km/L

・2014年12月12日に発売された現行ムーヴのJC08モード燃費:31km/L

★2015年10月22日に改良されたeKワゴン&デイズのJC08モード燃費:30.4km/L

※ ★マークは三菱eKワゴン/日産デイズの燃費動向

三菱eKワゴン/日産デイズ 発表会

このようにeKワゴン&デイズの社内的な燃費目標は、スズキワゴンR、スズキMRワゴン、ダイハツムーヴ(先代型を含む)の燃費改良と歩調を合わせるように、引き上げられていった(ホンダは燃費競争にほとんど加わっていない)。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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