【ahead】ランエボ・フォーエバー
- 筆者:
今年度内でSST車の生産が終了する
2.0リッターという限られた排気量内で最高のパフォーマンスを目指し、モータースポーツを通し技術力と速さに磨きをかけてきたのがランサー・エボリューションだ。WRC ( 世界ラリー選手権) で大暴れし、数多くの神話を築いたランエボが、年度内でSST車(*)の生産を終える。ランエボの終焉が三菱と日本の自動車界に与える影響は限りなく大きい。
(*)SST車とは、ツインクラッチのトランスミッション採用車のこと。MT車については、来年度以降も生産を続ける方針。
第2世代のランエボIVは1996年夏にベールを脱いでいる。初めて280psレベルに到達した記念すべきモデルだが、左右後輪への駆動力を変化させ、旋回性能を高めるAYCを採用したことでも注目を集めた。
1998年に登場したランエボVは、ブレーキやタイヤを大径化するために3ナンバーの凛々しいワイドボディをまとった。WRCでも破竹の快進撃を続けるなど、世界に誇る2.0リッタースーパー4WDスポーツへと成長を遂げている。
ランエボSST車の最終モデルを手に入れるのは、今しかない
2度目のモデルチェンジを行い、第3世代にバトンを託すのは、21世紀になった2001年2月だ。新しいボディは剛性が高く、ハンドリングも軽快だった。最大のニュースは、前後輪の差動制限を電子制御で行うACDを採用したことである。
路面状況によって3つのモードを切り換えることができ、意のままの気持ちいい走りを満喫できた。
また、この3代目では6速MTを投入するとともに、スポーツモード付き5速ATも設定している。日本のセダンに初めてカーボン製リアスポイラーやアルミ製ルーフを採用したのは、ランエボVIIIのときだ。最大トルクもついに40kgm台に乗っている。最終型のランエボIXでは、初のワゴンもリリースした。
ランエボはWRCの世界から退いた後も真摯に精進を続け、2.0リッターという排気量の枠のなかで最高のパフォーマンスと走りの速さを追求している。開発陣の高い志がクルマから伝わってくるのがランエボシリーズだ。数多くの栄光と神話に彩られたランエボSST車の最終モデルを手に入れるのは、今しかない。
TEXT:片岡英明
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