三菱 新型スーパーハイトワゴン「eKスペース」 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂幸正/オートックワン編集部
三菱 新型スーパーハイトワゴン「eKスペース」 試乗レポート/渡辺陽一郎
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シート座面の大きさに加えリアサーキュレーターも装着され、リアシートの居住性は抜群

三菱「eKスペース カスタム T」[2WD] インテリア三菱「eKスペース カスタム T」[2WD] インテリア

ekスペースのフロントシートはサイズに余裕があり、座面の柔軟性も適度だから、座り心地は優れた部類に入る。走行中の着座姿勢も乱れにくい。軽自動車としては、背もたれの高さにも余裕を持たせた。

残念なのは、運転席の着座位置の調節機能が座面のみの上下調節にとどまること。背もたれは固定されるので、着座位置を下げると座面との間に隙間が生じてしまう。

「eKワゴン」、三菱「ミラージュ」、日産「マーチ」なども同様の方式だが、今のシートリフターには、他メーカーの軽自動車を含めてシート全体が上下するタイプが増えた。体の支え方にも影響するので、シートリフターは改めて欲しい。座面は並行に上下するため、後方のみが動くタイプに比べると、持ち上げた状態でも着座姿勢が不安定にならないのはメリットだ。

リアシートはコンパクトに格納して、後方視界も確保するために背もたれの高さが低い。その代わり座面は長く、フロント側を30mm上まわる。床と座面の間隔も十分に確保され(eKワゴンを42mm上まわる)、着座姿勢は良好だ。座り心地は少し硬めだが不満はない。

三菱「eKスペース カスタム T」[2WD] インテリア三菱「eKスペース カスタム T」[2WD] インテリア

ただし小柄な同乗者が座ると、大腿部を押された印象を受けることもあるだろう。リアシートを含めて居住性は確認しておきたい。

頭上や足元の空間には、かなり余裕を持たせた。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ3つ少々。4つ弱を確保するN-BOXやタントに比べれば狭いが、コブシが3つ少々収まれば実用的には十分だ。Lサイズセダンでも2つ半程度だから、広々とした印象を受ける。座り心地を含めて、軽自動車のリアシートでは快適な部類。視線の位置が適度に高く、見晴らしが利くことも特徴だ。

天井を見上げると軽自動車では初となるリアサーキュレーターが装着され、広いリアシートにも新鮮なエアコンの空気が行きわたるように配慮されている。サイドウインドーにはロールサンシェードも装着され、リアシートの居住性は快適だ。

ライバル車にも負けないシートアレンジ

三菱「eKスペース カスタム T」[2WD] インテリア

シートアレンジは多彩。リアシートは床面へ落とし込むように格納できて、前後方向のスライドも可能。これらの機能は左右独立式になる。

タントやスペーシアも同様のアレンジを可能にするが(N-BOXのみリアシートのスライド機能がない)、使い勝手はとても良い。リアシートの左側にチャイルドシートを装着した時、前側に寄せると親子の間隔を縮められる。信号待ちの時など、親が子供の世話をしやすい。

その後部にはベビーカーなどを積める空間が確保され、右側は後方に寄せると足元が広がって大人が快適に座れる。助手席の背面には、カップを置ける格納式の小さなテーブルも設けた。

選ぶ時に注意したいのは、リアシートを畳むとフロントシートのスライド量が制限されること。

身長170cm程度のドライバーであれば支障はないが、180cmくらいになると、リアシートのヘッドレストをはずして畳んでもスライド量が不足する。体がハンドルやペダルに近づくので、リアシートを畳んだ状態で最適な運転姿勢を得られるか確認したい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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