三菱 新型eKワゴン/eKカスタム(3代目・2013年モデル)新型車解説(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は先代eKワゴンが2,340mmだったが、新型eKワゴンは90mm伸びて2,430mmとなっている。新型eKワゴンに寸法が最も近いのは“スズキ ワゴンR”で、全長と全幅は同じ。全高はeKワゴンが20mm低く、ホイールベースは5mm長いが、ほぼ同じ大きさとなる。
外観は従来のeKワゴンが水平基調のシンプルなデザインを採用したのに対し、新型eKワゴンはサイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げた。従来型の特徴だった優れた後方視界は損なわれたが、新型eKワゴンでは外観に躍動感が伴った。流行に沿った変更ともいえるだろう。
フロントマスクは、新型eKワゴンが切れ長のヘッドランプを備え、新型eKカスタムは大胆なメッキグリルと薄型にデザインされたディスチャージヘッドランプが目を引く。精悍な顔立ちに仕上げられた。
燃費性能の向上を目的に、ボディ各部の空気抵抗を軽減。空気抵抗係数のCd値は0.32と優れている。
インテリアの注目は、タッチパネルと広々としたリアシート
インパネは丸みのあるデザインで、ATレバーはその下側に装着される。スイッチを含めて配置の仕方は先代eKワゴンに近いが、オートエアコンはタッチパネル式を採用した。操作性と併せて質感も向上させている。
他の車種では、スズキ MRワゴンや日産 モコのオーディオがタッチパネル式だ。シートは前後席ともにベンチタイプ。フロント側は座面の奥行寸法やバックレストに余裕を持たせ、座り心地にボリューム感がある。
リア側は床と座面の間隔が若干少なめだが、座面の奥行寸法は535mmとかなり長い。前後席の乗員間隔は900mmだから、ワゴンRを100mm下まわるものの、足元の空間は十分に広い。
身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先には握りコブシ2つ半~3つ分の余裕がある。
eKカスタムには新開発のMIVECインタークーラーターボエンジンを搭載
エンジンは直列3気筒のツインカムで、吸気バルブの開閉タイミングを走行状態に応じて連続可変させるMIVECの機能を備える。三菱アイに搭載されるエンジンの発展型だ。
ノーマルタイプの最高出力は49馬力(6,500rpm)、最大トルクは5.7kg-m(5,500rpm/2WDでアイドリングストップのオートストップ&ゴー装着車)。ターボは64馬力(6,000rpm)・10kg-m(3,000rpm)になる。
JC08モード燃費は前述のように「29.2km/L」。
MIVEC、水冷クーラー付きEGR(排気ガスの一部を燃焼室に環流させる機能)などにより、燃焼効率の向上、吸気抵抗の低減などを図った。圧縮比も12まで高め、ピストンの抵抗なども抑えられている。オートストップ&ゴーは、減速時には13km/hを下まわるとエンジンが停止。アイドリングを停止している時間を長引かせている。
ATはCVT(無段変速AT)を採用。トルクコンバーターも併用するが、ロックアップさせて燃費性能の向上を図るために扁平タイプとした。
サスペンションはフロント側がストラットの独立式、リア側はトルクアーム式3リンクの車軸式。先代型と同様のオーソドックスなメカニズムだが、チューニングを見直すことで、走行安定性と乗り心地のバランスを改善した。軽量化も図られている。
安全装備は4輪ABSと運転席&助手席エアバッグは全車に標準装着したが、横滑り防止装置/フロントスタビライザー/ブレーキアシスト/ヒルスタートアシストは、ターボを装着したエンジンを搭載するeKカスタムTのみのオプション設定。eKワゴンやカスタムのノーマルエンジン車には装着できない。
サイド&カーテンエアバッグも設定がない。特徴的な装備としてリアビューモニターを組み込んだルームミラーが挙げられる。ただし、日産が取り扱うデイズと違って、アラウンドビューモニターは用意されない。
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