三菱ふそう、今度の新型車「キャンター」のウリは”低燃費”
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:オートックワン編集部
都心の喧騒を離れ、海辺のリゾートで行われた発表・披露会
三菱ふそうは4月26日、神奈川県で小型トラックの 新型「キャンター」2016年モデルを発表した。
2010年にフルモデルチェンジを果たしてから6年ぶりの初マイナーチェンジとあって、報道陣向けに開かれたお披露目の場は、都心を離れた湘南の有名リゾート地。三菱ふそうが新型キャンターにかける強い意気込みが感じられる発表会となった。
総所有コストにも大きく影響を及ぼす「燃費性能」を改善
新型キャンター、第一の改良点に挙げられるのが「燃費性能の向上」だ。
これは、小型トラック最大のライバル「いすゞ エルフ」のディーゼルモデルが、2014年秋のマイナーチェンジで11.4km/Lの低燃費をマークした点が少なからず影響している。
今回のキャンター マイナーチェンジでは、数値上はわずか0.2km/Lながら、三菱ふそうは11.6km/Lと上回る結果を得た。
会場ではさらに、実際の使用条件下における実用燃費についても言及。公道などでのテストの結果、社内データでは、従来モデルに対し7%もの向上を果たし、またライバルモデルに対しても十分なアドバンテージを持つ実力をみせたと胸を張る。
なにせ業務用として長い距離を走るトラック。また多くの台数を扱う物流業者も多く、わずかな燃料コストの差も、企業にとっては見逃せない。
三菱ふそうではこれを「TCO」(Total Cost of Owenership:総所有コスト)として重要視。同社の試算では、小型トラックTCOの実に24%が燃料費になるとし、今後も更なる燃費低減を目指していくとした。
さらに近い将来の代替駆動方式として、100%電気駆動化の道も模索中だ。現在、日本のみならずポルトガルやドイツにおいて、EVトラック「キャンター E-CELL」の実証実験を行っており、実際の使用現場からのフィードバックを元に、次世代モデルの研究・開発をすすめる。
ドライバーズシートのサポート性などを改善
第二の改良点はインテリア。ドライバーが一日の大半を過ごす運転席シートを改良した。具体的には、サイド(腰周り)のホールド性能を高め、座面クッションのサイズを拡大することで、ドライバーの疲労を軽減させる。
またインテリアのカラーリングもブラックとシルバーの落ち着いた色合いへ変更され、上質さを増した。収納スペースも拡大し、伝票や帳簿ファイルなど、何かと散らかりがちな車内を整頓し、機能性も高める効果も得た。
そして2ペダルのデュアルクラッチトランスミッション「DUONIC」搭載モデルには、新たに「ヒルスタートアシスト」機能も追加。2015年9月に先行して実施されたDUONICのバージョンアップ(「DUONIC2.0」)とあわせ、よりスムーズな走りの実現を果たした。このほか外装の質感向上も図るなど、その改良点は多岐に渡る。
燃費改善や質感向上など、新たな魅力を得て、シェア拡大を目指す新型キャンター。
ただし、日野・トヨタの小型トラックなどは先日、事故被害軽減の先進技術「プリクラッシュセーフティ」機能などを標準装備化すると発表したばかり。三菱ふそうの関係者もこの件については課題と認識しており、できる限り早期の装備化を目指すとした。
[Photo&レポート:トクダ トオル(オートックワン編集部)]
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