ミニ ミニクラブマン 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
ミニ ミニクラブマン 試乗レポート
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“ミニクラブマン”ようこそ日本へ

各地のモーターショーでコンセプトカーが展示され、今か今かと待ち望まれていた“ミニクラブマン”がいよいよ日本に上陸した。このクルマをひと言で説明するならば、ミニのワゴンというのが率直に解りやすいと思う。

しかしそれにしては、かなり中途半端で短い長さだ。というのもクラブマンは正確に言うとワゴンではなく、クラシックミニの時代に照らし合わせれば、トラベラーやカントリーマンというモデルに相当するもの。かつてイギリスにあった、シューティングブレークという、狩猟に出かけるときに乗るカテゴリーのクルマなのだ。「森の奥深くへ出掛けても動きやすく、猟犬と猟銃が積めるだけのユーティリティがあれば良い」、というのがコンセプトなので、必要な分しか長くなっていないのがポイントだ。ちなみに現代版シューティングブレークに与えられたのは、全長+24cm、ホイールベースは+8cmという長さだった。

キュートな観音リアゲートと、ユニークなリアドアで利便性向上

まず、エクステリアの特長としては、リアに“ぐるり”と施された縁取りが真っ先に挙げられる。シルバーorブラックをチョイスできるこの縁取りは、かつてのカントリーマンに施されていた木枠を現代風に解釈したものだ。

ちなみにルーフはボディ同色か、シルバーかブラックが選択できるので、好みに合わせてコーディネートしたいところだが、3ドアのクーペにはシルバーというルーフは存在しない(ブラックorホワイトor同色)という事を念のため、ご報告しておこう。

次に目が行くのが、リアゲート。なんともキュートな左右観音開きのドアが採用されているのである。ラッチの関係で、右左と順番に開けるようになるので、左だけという開け方はできないのと、ダンパーが付いているので手で押さえていない限り、一度開けたら途中で止まらないのには注意が必要だが、とにかくカワイイ。二段階で止まれば、さらに利便性が向上するということに違いはないが、これだけ可愛ければ使う側がクルマに合わせていい気にさせられてしまう。そこがミニの凄いところだ。

さて続いてユニークなのが、運転席側ドアの後ろに付けられた、クラブドアだろう。これは後席へアクセスするための、ユニークなリアドアなのだ。ちなみに、運転席のドアを開けてからでないと開かないという、小さな観音開きのドアとなっているが、このおかげで私の運転席シートポジションの位置や、さらに私の体格ならば前席の背もたれを倒さなくても、乗り込めるくらいの余裕が生まれた。つまり、非常に利便性が向上したと言って良いだろう。

燃料タンクの関係上、右側にしか付けられなかったこのリアドアは、左側通行の日本の場合少々残念に思えてしまうところだが、同じく左側通行のミニの発祥の地であるイギリスの方々は、この点をどのように感じているのかな?と気に掛けるのは私だけだろうか…。

“鉄砲ダマ小僧”大きくなっても走りの期待は裏切らない

クラブマンのラインナップは、クーパーとクーパーS。パワートレインは、クーペのクーパーとクーパーSは、まったく同じものが採用されている。となると気になるのは、ボディが長くなった分、増加してしまった70kgの重量だ。しかし、このパワートレイン、重くなったボディをまったく感じさせないほど、力強かったのである。街中は言うまでもなく、高速を主体としてのロングドライブでも、NAエンジンモデルのクーパーで十二分。

一方、ターボエンジンモデルのクーパーSは、ラフなアクセルコントロールでは、ホイールスピンを起こすくらい余力たっぷりなのである。もちろんDSCも標準装備で上手くチューニングされているので、トルクステアが出るほどではないが、その気になったらまだまだパワーを秘めていそうなパワーユニットなのである。

ちなみに試乗車は、クーペに比べるとエンジンとATのマッチングが、いまひとつであったというのが気になった点だが、まだ当たりが付いていなかった様子で、長くお付き合いすれば、いずれクーペと同じ文句ナシのフィーリングになるハズだ。

ハンドリングは、相変わらずミニは“ミニ”。普通ワゴンスタイルというと、もう少し乗り心地重視に振ったりするものだが、そこは我が道を行くといったミニらしいゴーカートフィーリングが健在。ランフラットタイヤを履いているせいで、余計にアタリの強さを感じる乗り心地はタマにキズだが、ハンドリングのキビキビ感とボディの一体感はそのままに、ボディ剛性もバッチリなのでワインディングで振り回しても十分楽しめるモデルに仕上がっている。

さらに、8cm伸ばされたホイールベースのおかげで、高速走行では、より直進安定性が増し、ツーリングツアラー雰囲気を満喫できるようになったのも美点だ。特に高速域で以前よりドッシリ感が出て、ラクにロングドライブを楽しめるようになったのは嬉しいところである。

まさにこれは何でも積める“ミニ版 ノアの箱舟”だ

クーペと比べるとフロント周りはほぼ同じ。インテリアも基本的にはまったく同じである。伸ばされた8cmはすべて、後席とラゲッジに使われたのだ。おかげで後席のニースペースは、握り拳2個半くらい膝前に余裕が生まれた。

横幅はもうひとつだが、しっかり座れるようになったと言って良いほどの広さである。クーペでは正直、体格のいい人だと真っ直ぐ前を向いて座ることが難しいくらいだったので、これは大きな改善点である。

さらにラゲッジもかなり広くなった。50:50分割可倒式の後席背もたれをワンアクションで倒したときにフラットになるよう、ラゲッジフロアは2重底になっている。

また、このラゲッジフロアアンダーカバーを、お風呂のフタのようにパタパタと折り畳むと、キャリーバッグも余裕で積めてしまうくらいの広さが生まれる。もちろん後席の背もたれを倒せば、通常260Lのスペースも930Lへアップし、かなりの広さが生まれる。しかもフラットなので、クーペ(160L-680L)と比べると、その差は歴然である。ミニのスタイルは好きだけれど、室内はコンパクトだし3ドアだし…と、敬遠していた人にもピッタリの1台だと言えそうだ。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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