2代目に進化した「ミニ クロスオーバー」には、より幅広い層に支持される多様性がある
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:和田清志
ミニシリーズの人気モデル「ミニ クロスオーバー」が2代目に進化
2011年にデビューし、MINIシリーズの4割を占めるようになった人気モデルへと発展を遂げたコンパクトSUV「ミニ クロスオーバー」が、2017年2月に初のフルモデルチェンジを果たした。2代目は新プラットフォームを採用し、ボディサイズを拡大。質感も大幅に向上させたことで、よりプレミアム度を増した。そんな新型ミニ クロスオーバーに早速試乗してくれたのは”フジトモ”こと人気モータージャーナリストの藤島知子さん。ディーゼルのフィーリングや乗り心地など、気になる新型のインプレッションを速報でお届け!
MINI(ミニ)と言われて頭に浮かぶモデルは・・・どっち!?
MINI(ミニ)と言われて頭に浮かぶクルマといえば、ひと昔前なら小粒ですばしっこい英国のローバー・ミニが当たり前。でも今ではすっかり、BMWグループの傘下で勢いに乗る新生”MINI”シリーズの姿を想像するようになりました。
もちろん、往年のミニファンからすれば「大きくなって」「変わってしまった」ミニの姿は未だに違和感を覚える人も少なくないみたい。
でも一方で現代のミニは、オープンや5ドア、ワゴン(MINI クラブマン)など多種多様なボディスタイルを展開。そうすることで、ライフステージの変化にとらわれずとも、ミニ特有のゴーカートフィールやユニークなデザインを手に入れやすくなりました。
つまり、大きく変わることで新たな価値が生まれ、より広く受け容れられた。それもまた事実なんです。
初代ミニ クロスオーバーのデビューは2011年
今回ご紹介するミニ クロスオーバー(欧州名:ミニ カントリーマン)は、日本では初代モデルが2011年にMINIシリーズ第4のモデルとして登場。まさに「MINIの価値を大きく変えた」一台でした。
ルーフが低く、運転席主体で作られた「3ドア」というそれまでのMINIの常識を打ち破り、ミニ クロスオーバーは後席用のドアを設け、4枚ドア仕様のSUV的なキャラクターで登場しました。前輪駆動のほかに4輪駆動のALL4をミニとして初めて設定。それまでのミニでは得られなかった後席の広さや荷室スペースといった実用性の高さが、お洒落でアクティブに乗りこなせるクルマを求めるコダワリ層の心を捉えました。
さらに2014年には、やはりシリーズ初のクリーンディーゼル搭載モデルも追加。世のコンパクトSUVブームとも相まって、着実に市民権を得てきたのです。
■参考:MINI 新型 ミニクロスオーバー・ミニペースマン「ディーゼル」試乗レポート/藤島知子[2014/10/16]
あれから6年、ミニ クロスオーバーがフルモデルチェンジした
2017年2月。そんなミニ クロスオーバーに2代目モデルが登場しました。
新型ミニ クロスオーバーのボディサイズを見ると、全長は+195mm、全幅は+30mm、全高は+45mm拡大。MINIのアイコンといえば丸型ヘッドライトですが、今回のモデルはそれに上下から押し潰したようなスクエア形状に。冒険的なキャラがニヒルな眼差しを送るギャップに「どうしたの~?」と思わず話かけたくなってしまったりして。
ボディのワイド化に伴って迫力が増したスタンスと、水平方向に強調されたデザインの効果で存在感は確実にアップ。全高が高くなったからといってSUV色が強まったワケではなく、サイドから眺めるとガラスエリアがある上半身はコンパクトに、ボディパネルは広く取った配分で安定感のあるスタイルになりました。
結果、従来のモデルよりもスポーティさが強調され、むしろMINIのラインナップでは最も辛口な雰囲気に仕立てられているのです。
MINIらしいカジュアルさの中でも確実に感じられる質感の向上
新型ミニ クロスオーバーは、SUV的であるわりにシートは乗り降りしやすい座面の高さに設定されていて、女性でも日常的に乗りこなしやすいポイントです。
インテリアは円形デザインをモチーフにしながらクロームパーツをふんだんにあしらい、ゆとりの室内空間を生かして、インパネ周りのデコラティブパネルの面積が他のMINIよりも広くとられた設計。
メーター類はドライバーの正面に、インパネ中央部には8.8インチのモニターを配置。従来通りナビや車両設定の操作はセンターコンソールのコントローラーで扱えるだけでなく、画面に直接触れるタッチ操作にも対応しています。
カジュアルに乗りこなせる存在でありながら、パーツのクオリティは一級品なので、個々のコダワリで好みのパーツをコーディネートする楽しみを与えてくれそう。ちなみに新型ミニ クロスオーバーのカタログやWebサイトでも、多数の内外装色と装飾の組み合わせを観ることが出来るので必見ですよ。
デビュー当初はディーゼルモデルのみの設定という大胆さ
発売初期にデリバリーされる仕様のエンジンは直列4気筒2リッターのツインパワー・ターボ・ディーゼルのみに絞るという大胆な設定。つまり、一般的なガソリンエンジン仕様はありません。
ただし今後の展開としては、2017年秋にプレミアムコンパクトSUVとしては初となる新世代のプラグイン・ハイブリッド・システム(PHV)を搭載した「MINI Cooper S E Crossover」が姿を現す予定で、こちらは直列3気筒1.5リッターのツインパワー・ターボ・ガソリンエンジンにモーターを組み合わせているとか。
ちなみに、ディーゼル・ターボ・エンジンのJC08モード燃費のカタログ値は先代よりも約37%改善しており、仕様によって20.8km/L~21.3km/Lという数値に。
ディーゼル大国の欧州は軽油の価格が安くありませんが、日本はハイオクよりも軽油が圧倒的に安価な国。ディーゼルがもつクルマを押し出す分厚いトルクと低燃費、軽油で燃料代も抑えられるということで、すでにこの時点でディーゼルモデルに乗るメリットが大きいことが分かります。
新型ミニ クロスオーバー、新型ディーゼルの走りはどうなのか
では、肝心のドライブフィールはどうなのでしょう?
今回試乗するのはMINI Cooper SD Crossover ALL4と呼ばれるハイスペックなモデル。2リッターのターボディーゼルに8速ATを組み合わせたもので、最高出力は190馬力。最大トルクは400Nmで3.5リッターのガソリンエンジン並みのトルクを発生するというから驚きです。
出足の反応に注目してみると、アクセルペダルの踏みだしに対して力がみなぎってくる感覚。ただし、街乗りの速度域まで加速していくと、クーパーSDの四駆モデルの1630kgという、少々重い車重もあって、重厚な乗り味に変わっていきます。
こんなに上質な乗り味ならロングドライブの快適さも期待出来そう
力を少し溜め込んで徐々に車速を伸ばしていったころ、驚かされたのは車速が高まるごとに実感させられていくフラットライドな走り。そして路面の凹凸を乗り越えてもビクともしない強固なボディ。シマシマに舗装された路面を通過するときなど、タイヤが路面を滑らかに捉えて乗り越える感触が得られます。
試乗車のODOメーター(距離計)をみると、まだ1550kmしか走っていないおろしたての個体でしたが、乗り心地やボディのしっかり感は従来のモデルを遙かに超えていると実感できます。タイヤの前後左右の間隔が拡がって、安定感のある構えに変わっていることもあって、長距離移動時の快適性も期待できそう。
ひとクラス車格が上のクルマに乗っているかのようにゆったりクルージングできる点では凄さを見せつけられたものの、ちょっとMINIらしくないなと感じたのは交差点やカーブを通過する時のコントロール性。
ブレーキを踏み、操舵、カーブを立ち上がっていく一連の動きで車体の揺れの収まりが悪く、「意のままの走り」を期待すると少し精度に欠ける気も。このあたりの理由については、まだ他のグレードに試乗していないので、様々なラインナップで展開されることにおける共通性が影響しているものなのか、まだ走行距離の浅い試乗車単体の問題なのか、まだ確かなことは言えないけれど、走りに夢中にさせるゴーカートフィールが魅力のMINIの一員だとすれば、今後の熟成に期待していきたいものです。
より幅広い層に受け入れられそうな個性派、新型ミニ クロスオーバー
MINIがもつ世界観を多くのユーザーに広めてくれたMINI クロスオーバー。
しっかり使える後席を求める子育て層や、荷室の実用性を求める趣味の多いユーザーが積極的に選べるMINIであるという点では、今後も幅広い層に受け容れられていく個性派クロスオーバーモデルとして支持されていきそうです。
BMWグループにあるMINIの立場としては、ベースとなるアーキテクチャーの共用(実は構造の一部について新型「BMW X1」と共有化を図っています)で、例えば年々厳しくなる衝突安全性能や、相反する軽量化や燃費技術の向上といった基本設計技術の面で、どちらのブランドにとっても多くのメリットが得られます。その一方で、例えばVWグループにあるアウディとポルシェのクルマづくりがそうであるように、ますます両者の文化や個性を際立たせたクルマ作りが行われていって欲しい。個性派のミニだけに、もっともっと次なる一手にも期待してしまいますね。
[レポート:藤島知子/Photo:和田清志]
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