MINI クラブマンの新型と旧型を比較してみた(3/3)

安全装備比較

安全装備では現行型ミニ クラブマンのメリットが際立つ。緊急自動ブレーキを作動できる安全装備が用意され、カメラ方式を採用した。衝突の危険が生じた時には、車両に加えて歩行者も検知して警報を発し、衝突不可避の状況が近づくと緊急自動ブレーキを作動させる。車間距離が不足した時の警報機能も備わる。

また付加的な機能として、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも採用した。正しく作動している時は、ドライバーのペダル操作が軽減される。

進化度数：9点（超絶的に進化した）

燃費性能比較

燃費性能は現行型になって向上した。1.5リッターターボを搭載するクーパーのJC08モード燃費は17.1km/L。1.6リッターの自然吸気を搭載する先代クーパーは13.2km/Lだから、動力性能と併せて燃費も良くなった。

進化度数：8点／10点（大幅に進化した）

グレード構成＆価格比較

グレード構成は現行型になって充実した。自然吸気エンジンは用意されず、すべてターボだが、ガソリンが1.5リッターと2リッター、これにディーゼルの2リッターも加わる。

価格をクーパー同士で比べると、先代型は300万円以下の設定があり、現行型は358万円と高い。ただし現行型は299万円でミニワンを用意する。装備が充実したので現行型は割高にはなっておらず、ディーゼルが加わったことで選びやすい。

進化度数：4点／10点（比べてようやく気付くレベル）

旧型と比べて分かった新型の総合評価

先代ミニクラブマンは、ミニをベースに制約のある中で開発された。右側だけに観音開きのドアを備えたボディも使いにくい。通常、後席に同乗者を乗せた時は、助手席にも必ず人が座っている。となれば同乗者を降車させる時は、歩道に降りやすい場所に停車する。この時に先代型では、後席の乗員は車道側へ降りる必要が生じるので危険を感じた。

その点で現行型は普通の5ドアボディだから安全で便利だ。最初から商品企画があったと思われ、走行性能から居住性まで機能のバランスが取れていて使いやすい。

ただし先の項目でも述べたように、ミニの個性は薄れた。機能はVWゴルフヴァリアントなどに近い。特に日本では5ナンバー車が使いやすく、先代型には「5ナンバーサイズの輸入ワゴン」という独特の魅力があった。

ミニクラブマンの新旧モデルを比べると、機能は現行型が圧倒的に優れ、装備の充実を考えれば価格も割安になったが、失われた価値もある。そこを寂しく感じるミニのファンも少なくないだろうと思う。

総合進化度数：6点／10点（順当に進化した）

[レポート：渡辺陽一郎]