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自動車評論家コラム 2016/12/6 21:16

世界最高峰で安売りが生んだ誤解、親子ワールドチャンピオン誕生の裏で事件が(1/2)

関連: メルセデス・ベンツ Text: 山口 正己 Photo: メルセデス・ベンツ/フェラーリ
世界最高峰で安売りが生んだ誤解、親子ワールドチャンピオン誕生の裏で事件が

史上2組目の親子でF1ワールドチャンピオン

F1 GP 2016 最終戦 アブダビGP

2016F1GPが終わった。21戦で闘われた最後のレースは、ヤス・マリーナ・サーキットを夕暮れ時にスタートしたアブダビGP。ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトンが終始リードして優勝したが、ニコ・ロズベルグが2位に入って2016ワールドチャンピオンを決めた。父ケケ・ロスベルグとのチャンピオンは、グラハム/デイモン・ヒルに続く史上二組目の親子ワールドチャンピオンの偉業になった。

そのレースの終盤のルイス・ハミルトンの“動き”が話題になっている。

最終戦でポイントリーダーのロズベルグとハミルトンの差は12点。ハミルトンが逆転するには、優勝してロズベルグが4位以下という厳しい条件の中で、ハミルトンはレースをリードして終盤を迎えたが、ロズベルグは2位。このままいけばレースで優勝しても年間チャンピオンへ逆転はできない。しかし、ハミルトンはあきらめなかった。残り15周辺りから、ペースをコントロールし始めた。チームから、「ペースを上げろ」の指示が出たが無視。ハミルトンは自分のペースでレースを制御し続けた。タイヤ交換を終盤まで引っ張ってペースが速いフェラーリとレッドブルがロズベルグの後ろに迫っていた。ハミルトンはペースを落としてロズベルグに3位以下を近づけて、ロズベルグを抜かせようと企んだのだ。

「正々堂々としていない汚い手だ」という意見もあったが、「ワールドチャンピオンを命懸けでも取ろうとして、そんな手もあったのか!」という称賛の意見も多かった。メルセデスにしてみれば、余計なリスクを背負わずに、キレイに最終戦を飾りたかった。だからハミルトンのペースアップを命じたのだが、ハミルトンは無視した。チャンピオンを取るために走っているのだから当然。僅かでも可能性が残っているなら、そこにかけるのが闘う者の使命だ。ハミルトンはそれを全うした。

そもそも、F1GPはドライバー選手権として始まり、いまでもそれがベースに息づいている。

>>F1GP2016最終戦 アブダビGPの様子を写真でみる

2016年F1チャンピオンの答えはニコ・ロズベルグ

F1 GP 2016 最終戦 アブダビGP

以前もお伝えしたフォーミュラカーのタイヤが飛び出している理由も、ドライバーの闘いであることの裏付けだ。タイヤ同士が当たって危険な状況になるのを避けるのはドライバーの仕事。いや、テクノロジーでタイヤ同士の接触を防げる、という意見は正しい。しかし、だとしたら、タイヤをむき出しにしておく意味がない。さっさとカバーして、空力的にも有利になるようにした方がいい。

第一スポンサーのための面積も増える。しかし、フォーミュラカーは、むき出しのタイヤで、接触しないようにギリギリの闘いをドライバーがするところにこそ存在意義がある。どこまで行っても優先されるべきは“人”ということだ。ここがタイヤがカバーされているスポーツカーのWEC(世界耐久選手権)と違うところだ。

2016年のF1のチャンピオンと聞かれれば、答えは「ニコ・ロズベルグ」だ。「メルセデス」ではない。コンストラクター・チャンピオンには違いないが、F1GPのチャンピオンと聞かれたらドライバーの名を挙げるのが普通だ。反対に、WECの2016年チャンピオンは、「ポルシェ」であって、「マーク・ウェバー」ではない。ドライバーの能力も重要だが、順列はメーカーが前。

ところが、“ハミルトン事件”では、状況が違う方向に動く噂が出回っている。メルセデスがハミルトンを“造反”のカドで解雇する、という。これが本当なら世の中狂ってしまったとしか言いようがない。

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