「レクサス」はなぜ「メルセデス・ベンツ」に勝てないのか(4/4)

「レクサス」はなぜ「メルセデス・ベンツ」に勝てないのか
レクサス GS レクサス SC レクサス RC/RC F 初代トヨペットクラウン キャデラック 452A 初代カローラ レクサスディーラーのイメージ 2006年に発売されたレクサスLS トヨタ 新型クラウン レクサス LC500 画像ギャラリーはこちら

30~40代の輸入車ユーザーがターゲットだが・・・

メルセデス・ベンツ Eクラス E300BMW 7シリーズ

なぜトヨタが日本でレクサスを開業したかといえば「30代から40代の顧客にクラウンなどトヨタ車の人気がいまひとつで、メルセデス・ベンツやBMWが支持されている」からだ。

それならばセルシオ(以前のレクサスLSの日本版)、アリスト(同じくGS)の販売に力を入れれば良さそうだが、トヨタはメルセデス・ベンツやBMWという「ブランド」に対抗すべくレクサスを国内に導入した。

ただし、メルセデス・ベンツを買うということはスゴロクでいえば“アガリ”であって、レクサスには代替えしない。

レクサスのビジネスチャンスは「日本車から欧州車に代替え“しそう”な顧客」を、上手くレクサスに向かわせることだ。その中にはトヨタの顧客も多く、前述の慇懃無礼は逆効果になってしまう。トヨタと同様のサービスを、レクサスにも適用する必要がある。

そこで、接客態度と併せて重要なのが「店舗数」だ。トヨタの4系列は日本国内で約4900店舗を展開するが、レクサスは約170店舗だから3%にとどまる。しかも輸入車に対抗することを重視して出店は「都市部」が中心となっているため、東京都には新車販売店舗が20箇所以上あるのに、わずか1店舗しかない県も存在する。レクサスは日本車だが、日本で購入の困難な地域があるのだ。

最近は出店母体の販売会社が工夫して、整備だけは地元のトヨタ店などで受けられたりするが、これも一種の差別だろう。

レクサスの店舗が少ない地域では、トヨタ店やトヨペット店の大型店舗に「レクサスコーナー」を設けて対応すれば良いと思うが、トヨタはこれも認めていない。

日本では「トヨタあってのレクサス」を考えるべきでは

レクサス LC500h

今の状態では、レクサスが日本の多くの人達に歓迎されるようなブランドになり得ないと思う。

読者諸兄の中にも「レクサス?関係ないね」と感じている方は少なくないだろう。接客態度とか販売網は間口を広げ、中古車ユーザーを含めて多くの人達に優しくなるべきだ。これには販売会社というより、トヨタの理解が求められている。

また、メルセデス・ベンツなどとは違うサービスも考えたい。例えば、複数の車両を持つファミリーユーザーに向けたレクサスならではの対応だ。

レクサスと複数のトヨタ車を所有する顧客には、レクサスの担当者がコンシェルジュになり、残価設定ローンなどを活用してすべての車両の面倒を見る。クルマのことは担当者に任せておくと、一定のコストでオトクに使えるようなシステムを構築すれば、複数の車両を持つ富裕層に喜ばれるだろう。

このほか、トヨタはトヨタホームとして住宅事業も行っている。同社で新築するとレクサスに特別低金利が設定されたり、トヨタファイナンスの住宅ローンに車両のローンを割安に組み込めるサービスがあれば、メルセデス・ベンツなどとは異なる利便性が生まれる。

日本のユーザーにとってのレクサスは、プレミアムブランドとしては新入りで、メルセデス・ベンツを追いかける存在。となれば多くのユーザーがメルセデス・ベンツを選ぶのは当然として、トヨタは国内市場に適した「トヨタあっての日本のレクサス」をもっと真剣に考えるべきだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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