HVが得意なのはトヨタだけじゃない、欧州版プラグインハイブリッドの衝撃(2/2)

HVが得意なのはトヨタだけじゃない、欧州版プラグインハイブリッドの衝撃
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エンジンを得意とするメーカーが熟考したHV車は自動車の未来を切り拓く

ポルシェ パナメーラ S E-ハイブリッド

自動車史上初のハイブリッド車を開発した創業者フェルディナンド・ポルシェ博士のDNAが息づくポルシェは、とりわけハイブリッド車に思いの強いメーカーだ。スポーツカーのパナメーラには2011年に1モーター・ハイブリッドモデルが登場したが、2013年モデルからPHEVに進化した。

PHEVかどうかは外観からなかなか見分けがつかないが、アシッドグリーン(ライム)色のブレーキキャリパーが何とも眩しい。黄色はカーボンブレーキだ。アシッドグリーンはポルシェ918のブレーキと同じでPHEVのアイコンとなる。

PHEVのパナメーラに実際に試乗してみて感じたのは非常にユニークな存在だということ。従来型ハイブリッドでは存在感がなかったが、PHEVだとEVとして36km(欧州モード)も走ることができる。9.4kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーを搭載することで、都市の中心部ではゼロエミッションで走行可能なのだ。

しかも、エンジンを動かすことなく、時速120kmまで出せる。先代の1モーター・ハイブリッドのパナメーラと比べて、2倍ものパワーを持つ70kWのモーターが大活躍してくれるのだ。

気になる充電システムは、急速充電には対応せず、200Vで充電するのが基本だ。BMWの新しいEV「i3」は日本市場のためだけにチャデモを搭載すると発表している。

メルセデス・ベンツのクリーンディーゼル・ハイブリッド「S300h」

テスラもアダプターを開発し、チャデモに対応させるかもしれない。日本の200V充電は「3kW」を上限とする自主規制が壁となりそうだ。

ユニークな機能としては充電モードが用意されていること。つまり、パナメーラPHEVは充電しながら走行できるのだ。ポルシェは充電設備がなくてもユーザーに不便さを感じさせないと考えている。EV走行のおかげで、走行時の環境性能も高い。

欧州ルールではEV走行はゼロエミッションで計算できるので、1km走行時のCO2排出量はなんと71g。きっと日本の都市部でも新しいライフスタイルを提供してくれるだろう。

先に述べたメルセデスのPHEV「S550e」は3.5リッターV6ガソリンエンジンのハイブリッドだが、トランクルームの床下に約8.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行は40km前後を可能とする。

パナメーラやカイエンと並んでSクラスのPHEVを見ると、なんだかレクサスLS600hが霞んでしまいそうだ。

BMW i8

BMWはどんな戦略なのだろうか。新しい「i」ブランドを立ち上げ、製造から使用・破棄までトータルで環境に優しいクルマ作りを目指している。

スーパーカーのようなたたずまいの「i8」のPHEVについては、間違いなく新しい自動車の価値を提供してくれる。エンジンと駆動用ビッグモーターとSMGの3つのコンビネーションが走行状況に応じて様々な性能を実現する。効率だけでなく「持続可能かつ駆け抜ける歓び」がそこにあった。

やはりエンジンを得意とするメーカーが熟考したハイブリッド車は自動車の未来を切り拓くと確信できたのである。

[Text:清水和夫]

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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